上 下
5 / 27

サキュバス応援団に負けない!

しおりを挟む
「すごい、レックス様の長くて、硬くて、太い……」

「そんなの入れられてずぷずぷってされたら、アタシ絶対にいっちゃうよぉ……」

「レックス君。それでずんずんって突いて? レックス君のいっぱい感じさせて?」

「ただの木剣見ながらいやらしいこと言わないでくれる? 集中できないんだけど?」

 三人のサキュバスメイドがはぁはぁと色気のある呼吸をする。だが実のところなんてことはない。レックスが日課としている、庭で行われるただの剣術修行である。木剣が長くて硬くて太いのは当たり前である。

 いつもの色っぽい言葉だけならレックスは無視するのだが、今回は彼女達から注意をそらせないでいた。

 なぜなら今のサキュバスメイド達は、胸の形を狂暴なほどに表すキツめのタンクトップに、危険なほど短いミニスカートだったからである。
 そしてその両手には、それぞれのパーソナルカラーである桃色、水色、赤色のポンポン。

「ていうかさ、3人とも何その恰好。目に毒なんだけど、本当に集中できないんだけど。何? もしかして邪魔しに来てるの? こんな時にも誘惑してくるの?」

「異国から取り寄せました。『ちありーだー』なる格好だそうです。人を応援する時に着るものらしいです」

「いつもと違って、おへそとか脇とか見えてセクシーでしょ? ヴァネッサお姉ちゃんなんて胸の上半球見えているんだよ?」

「この格好で、がんばれがんばれーって応援してあげるね? 今日も鍛錬、頑張ろうね」

 ちなみに、3人とも性奴隷であることを表すものなのかサキュバス特有のものなのか、ピンクのハートを茨で囲った淫紋が下腹部に存在していた。

 しかも危ないローライズなスカートのため、その全貌がくっきりと見えている。チアリーダーのスタイルと併せて、完全に男を殺しに来ている格好である。

「完全にボクを邪魔しに来ているよね? ねぇ、やっぱり堕落させに来てるよね?」

「サキュバスに惑わされるようでは、立派な人にはなれませんよ? ほら、がんばれ♡ がんばれ♡ いけいけレックス様♡」

 アイヴィはその場でぴょんぴょんと飛び跳ね、両手のポンポンと大きめの胸をゆさゆさと揺らす。
 その声はノリノリだが、相変わらず顔は無表情である。

「ねえ、どうやったら無表情でそんな甘ったるい声出せるの? それもサキュバスのなせる技なの?」

「フレー! フレー! お・に・い・ちゃ・ん! 負けるな負けるなお兄ちゃん!」

「いやサフィア、完全にボクを負かそうとしてるよね? 見てないし負けてないが? くっきり見えるパンツに夢中になんてなってないが?」

 片足をリズムよく高く上げ、水色のポンポンを激しく振るサフィア。そのせいで彼女が履いている水色の紐パンツはレックスの視界にばっちりと映ることになっていた。

「あらっ、サフィアって体すっごく柔らかいのね。お姉ちゃん、そんなに足上がらないなぁ」

「ヴァネッサお姉ちゃんにも特有の武器があるでしょ? その大きなおしりとおっぱいとか、魔眼とか」

「うん、そうだね! じゃあ魔眼でレックス君を強制的に頑張らせて――」

「わー! ダメダメ! そこまでやっちゃ駄目だよヴァネッサお姉ちゃん!」

「駄目ですヴァネッサ姉さん。レックス様が自分で頑張らないと意味がありません」

 次はアイヴィとサフィアがヴァネッサの前に立ち、その魔眼を阻止しようとぴょんぴょん飛び跳ねる。
 おかげでレックスへ彼女達の桃のように柔らかそうな殿部でんぶという強烈な光景が襲いかかるのだが……。

「ふん! ふん! ふん! サキュバスなんかに絶対に負けない! 誘惑なんてされない!」

 もはやかしましい三姉妹は無視。レックスは一心不乱に木剣の素振りをしていた。その木剣を振り下ろす勢いは、同年代の少年達と比べて圧倒的に別物。
 いつもの修行と、サキュバスメイド達による体力向上を目指した行為の成果が、目に見える形となって表れていた。

「レックス様、完全に集中されてますね。この状態をいつでも引き出せれば、他の男の子達に絶対負けないと言ってもいいでしょう」

「おぉ~。でもこれだと、アタシ達がいたずら仕掛けても反応ないかもね」

「頑張るのは良いことだよ。私達は暖かくレックス君を見守ろ? そうだ、終わった後のお菓子とか用意しておこうよ」

 三人は顔を見合わせ、集中しているレックスを置いてチアリーダー姿のまま屋敷の中に戻っていく。
 三人がここからいなくなったことなど気づかずに、レックスはただ無我夢中で剣を振り続ける。

 しばらく時間が経った後、レックスは完全にへばっていた。木剣を芝生の上に置き、大の字で寝転がり放心。同年代の子供と比べて、凄まじい回数の素振りをしていたであろう。

 ぼーっと空を眺めていると、突然頬に冷たい感触。その冷たさに驚いて飛び起きたレックスの近くにいたのは、コップと紙袋を持ったサフィアだった。

「お疲れ様、お兄ちゃん。水とドーナッツ持ってきたよ? さ、飲んで食べてたっぷり休んでよ」

「ん、ありがとサフィア。なんだかんだいって気が利くじゃん」

「にひひひひっ、妹サキュバスはお兄ちゃんのこと何でもわかっちゃうのだ~」
 
 コップに入った水を飲み干した後、ドーナッツをゆっくりと味わう。外はサクサク、中はふんわりとした食感で、溶け出す糖分が疲れた体に染みわたる。一度食べればその美味しさに、一個、もう一個と手が伸びていく。
 だが、途中でドーナッツを食するのがピタリと止まった。

「サフィア……水かドーナッツに何か入れた?」

「にひひっ、気づいた? お母様特製の、び・や・く。修行はこれで終わりだと思った? お兄ちゃん、本番はこれからだよ?」

 水色と赤色のオッドアイが愉悦の色に染まる。ニヤリと笑みまで浮かべられ、ぞっとするほどの恐怖がレックスの体を突き抜けた。

「かっ、下半身がぁ……!? 服も、こすれるだけで体がピリピリして……!」

「ちなみにそれ、満足するまでぴゅっぴゅしないと治らないの。力入らないよね? 辛いよね? ムラムラしてくるよね~? 大丈夫、アタシがしっかりと責任取るから」

「お、お前~! このメスガキがぁ~!」

「次はアタシだけが腰の上でがんばれがんばれ~、お兄ちゃんがんばれ~って応援してあげるね? 今日はお姉ちゃんたちに悪いけど、お兄ちゃんはアタシのモノ。にひひひひっ、アタシのテクでたっぷり癒されようね~」

「ああ゛あ゛ぁ~」

 小柄な体が持っているとは思えない力でレックスはサフィアに引っ張られていく。サフィアが目指す場所は、可愛いものづくしな自分の部屋。

 その日、疲れ果てたレックスはサフィアに優しく撫でられながら眠りについたという。そして次に目覚めた時に語った。
「疲れ果ててないが? サフィアが甘えてくるから付き合ってやっただけだが?」と。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

俺の彼女が『寝取られてきました!!』と満面の笑みで言った件について

ねんごろ
恋愛
佐伯梨太郎(さえきなしたろう)は困っている。 何に困っているって? それは…… もう、たった一人の愛する彼女にだよ。 青木ヒナにだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

処理中です...