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ー試練ー

DAY 2-6

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―――――――――――――――――――

 ~ボーナスチャレンジ~

「1.“許された罪”を1度行使すること。」

「2.“最後の1人”まで殺されないこと。」

「3.“殺人罪が許された者”を見つけ出すこと。」

 以上ミッションを1つクリアにつき、報酬額に1000万円加算されます。

―――――――――――――――――――


 何だ、このメールは。ボーナスチャレンジ、だと?

「紀香さん!」

「えぇ、私の所にも来たわ。恐らく、全く同じ内容の。」

「これは、一体…」


 ピンポンパンポン。

 遠くのスピーカーから、あのメイドのアナウンスが流れ出す。

「只今皆様のスマートフォンに、ボーナスチャレンジというものをお送り致しました。文面の通り、それぞれの項目を達成する毎に、アルバイト報酬に+1000万円を加算させていただきます。尚、1項目につき1度の加算とさせていただきますので、ご了承くださいませ。それでは、皆様の健闘をお祈りしております」

 加算…つまり、エクストラの報酬という訳か。達成するだけで1000万円、というのはかなり美味しい話だ。しかし、全ての項目において達成は難しい。

「…どうします?紀香さん」

 俺は紀香の方を見る。

「どうって…これが来たからって何か直ぐに出来ること、ある?」

「いや、この中の1つ達成するだけで1000万貰えるって、すげえ良い話じゃないですか?特に許された犯罪をするだけって、俺はちょっとあれですけど、紀香さんの場合は住居侵入罪なんで、死んだ人の家とかにちょこちょこっと入れば、」

「幸太郎!!!」

 紀香の声が周囲に響く。1秒後に、俺が紀香に怒鳴られていることを認識した。紀香は真顔で、こちらを見ていた。

「例えお金が貰えたとしても、犯罪は犯罪。いつ如何なる場面でも、許されるものではないんだよ。それに、亡くなった人に対して不謹慎。」

 ふと、自らの過ちに気付く。無意識のうちに、とても失礼な事を言っていた。更に金を手に入れられるチャンスに釣られ、気が抜けたのだ。この期に及んで…

「すみません。つい、気が緩んで口が滑ってしまいました。」

 生死を彷徨うこんな状況でも、やはり金は欲しい。自分の能天気さに嫌気がさした。

「…うん。次から気をつけて。」

 紀香は微笑んではくれたが、その目は笑っていなかった。
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