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歌の国『オルカストラ』編
最悪の『襲撃者』
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鳴り響く鐘の大音量を聞いて屋敷から飛び出てきたロウさんの「ロン! お前らは村の連中が『北』に逃げ切るまで魔族が近づかねえように抑えとけ!」という言葉に従い、腰に差していた剣を引き抜いた僕とロンは『北方』を背にした中央公園にて、こちらに進軍して来ているという魔族を待ち構えた。荷支度をするために各々の家に散らばってしまっていた村人達を保護するために、村の防衛を担っていた数少ない防衛団員達は村の中を彼方此方へと奔走してしまっており、実質、ミファーナへと向かう人達の集合場所であった『アエルさんの屋敷』と、魔族が進軍して来ている南方とは真逆の『北方向』へと逃げるために用意されている、深い雑木林を使った『避難路』を守っているのは、僕とロン、そして、防衛隊長を務めるロウさんと、屋敷で村人に避難を指示しているアエルさんの四人だけであった。
しかし、村長のアエルさんに至っては、予想だにしていなかった『早期の魔族強襲』における、村人への緊急避難を先導する立場にあるから、数多い村人達を牽引する彼に魔族との戦闘を行う余裕は無いに等しいに違いない。もしも『アエルさんを除いた』僕達の三人の守衛を突破されて、逃走中の人々がいる方に魔族軍を進軍させてしまった場合、先頭に立っているアエルさんが『一人』で、魔族と戦えない村人達を守ることになってしまう。そうなってしまうと、いくら歴戦の強者であるアエルさんであっても、キャパシティを超えてしまえば『複数の犠牲』を出してしまうことが想像に難くはない。だから、守る——死んでも、迫り来る血に飢えた魔族を、逃げる人々の背に追い付かせる訳にはいかない。その意思を確固とした僕は、足を震えさせているロンよりも前に出て、南方の木柵を軽く飛び越えてきた魔獣達に眼光を放ち、圧倒的な殺意と戦意を打ち付けた。
「ロン! 残るって言うなら気合を入れて! 来るよ!」
「——っ! せっ、背中は任せてくれ!」
我先にと先陣を切って『三メートル』はある村の木柵を飛び越えて来た複数の影を超人的な視力で追って視認した僕は、その影の正体が脚力に秀でている『犬型魔獣』五匹であると認める。見張り台の上から監視者が居なくなったせいで、魔族の大群の全体的な数が分からなくなってしまったけれど、村を一夜で滅ぼしたということは、人間の手に負えない数が一斉に攻め込んできたってことで——百? 二百? 三百? 全然分かんないし、魔獣侵攻なんて経験の無いことだから全く想像もつかないんだけど、魔族の数が想像を絶するくらい多いってことだけは確かなはずだ。
まあ『全部殺すだけ』だから、数なんか関係無いけどな。
僕が発している刺々しい殺意の眼光に全身を突き刺され、その殺意の主である僕を最大最強の『敵』として認識した五体の犬型魔獣は、殺戮する優先順位を戦意を立ち昇らせながら臨戦態勢を取っている僕を最高とし、その一等首級を上げるため、我先にと走る速さを最大まで上げ切って、口端から汚い涎を撒き散らしながら猛速の突撃を開始する。
『『『『『グルゥラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』』』』』
「来いよ……!」
真っ赤な殺意に濡れた咆哮を空に打ち上げながら、凄まじい速さで猛進してくる魔獣達に向けて、雲の隙間から漏れ出ている陽光を反射した、眩い光を放つ鏡面剣を構えた僕は『魔速斬』の用意を即座に済ませ、数多の命を屠ろうとしている魔獣に一歩も引かない胆力を堂々と見せ付ける。
普段であれば、僕自身が魔族に向かって肉薄するところなのだが、今回だけは北方を背にした状態での『守備』が最優先。だから、自らこの『場から離れる』なんていう愚の骨頂とも言える馬鹿げた行動を進んで行うことは不可能。僕が魔族の数に押し負けて、魔族侵攻が手に負えなくなってしまうという『最悪の場合』が現実に起きたとしたら、どうにかロンを逃して、僕が肉壁になるしかないのだろう。
やれるのか? できるのか? 目の前にある恐怖から背を向けて逃げ続けていた僕なんかに、生物にとって最大の恐怖である『死』を正々堂々と受け入れるなんて、本当に、弱すぎる僕なんかに可能なのだろうか? そこまで静止した時の中で思考した僕は、この緊迫した状況に全く似付かわしくないような『不敵な笑み』を唇に浮かべ、目前まで迫って、僕を目掛けて飛び掛かった二体の犬型魔獣に向けて、剣を持った右腕が霞むほどの『豪速の一閃』を放った。
「…………やるしかねえよな」
魔獣が目で追えないほどの超速で繰り出された『煌めく二つの斬閃』は、極限の集中力を遺憾無く発揮していた僕の頸部を狙って、鋭利な牙を剥き出しにし、左右に分かれて挟み込む形で跳躍していた二体の魔獣を空中で斬断する。一体目の魔獣は隙だらけの頭部に横一閃の斬撃を食らって即死し、二体目の魔獣は斜め一閃の斬撃で胴体を『上と下』の二つに斬断された後、喉奥から掠れた断末魔を零しながら、時間を掛けて目から光を消した。瞬く間に殺された二体の魔獣は、汚い赤血を辺りに撒き散らしながら煉瓦畳みの地面に落下し、ボトボト——という重低音を鳴らす。
『『『……!』』』
返り血を浴びず、まるで『何事もなかった』かのように悠然と地に立つ僕を四つの眼で見た残りの魔獣達は、地を蹴って駆けていた脚を急停止させ、僕への攻撃を中断する。残り三体の魔獣が取った、煌めく剣によって命を絶たれ、物言わぬ残骸と化してしまった元仲間と同じ道を辿らないようにした判断は、一見して正しいことのように思えてしまうものの、僕に余裕を与えるという攻撃の中断は、生死を決する『命を奪い合う戦場』においては致命的であった。
一度『人間への勝鬨』を上げて勢い付いていた魔獣達は、最大の敵である僕が発する『圧倒的な殺意』に当てられて、培われてきた獣の本能が絶対に勝てないと訴えている最強の敵への挑戦を、肉体の芯から拒絶してしまっていた。
時すでに遅し——
一度でも戦場で立ち止まってしまった『弱物』に、戦意を絶やさない最強への挑戦を果たすことは不可能。この時、魔獣が積み重ねてきた『捕食者』としてのプライドは、ガラガラという音を立てて崩壊した。完全に戦意と殺意を喪失させてしまった、意気揚々と先陣を切ってきた魔獣達は、絶対の恐怖である『死』と相対することなどできず、敵対者に背中を見せながら逃走を図りだす。しかし——
「フウゥッッッ!!」
それを見逃してやるほどの甘さは、今の僕には一切存在しない。僕は戦場から逃げ出した愚かな小物が晒している隙だらけの背中に向かって、足元に敷き詰められていた煉瓦を踏み砕いて作り出した『拳大の破片』を、ウォルスルス柔剣術の腕をしならせる動きに倣いながら、ミシミシッ——腕を筋張らせるほどの剛力を持って、全力で投擲した。
『『『——グアキャアッ!?』』』
空気が嘶くほどの豪速で、僕の左手から発射された三つの煉瓦片は、瞬く間に『謎に足が遅くなっている』魔獣の背中に炸裂し、必死に逃走していた魔獣の背を貫通し——真っ赤な鮮血と臓物を穿たれた穴から溢れ出させる『物言わぬ肉片』へと変貌させた。
犬型とか熊型くらいなら何体きても余裕なんだが……。
僕に遠く及ばない実力でありながら、無謀にも命のやり取りを所望していた五体の犬型魔獣を『一分弱』という超短期決戦で鏖殺し切ったにも関わらず、それはただの余興だったと言わんばかりに、苦し気な表情で開かれた僕の視線の先では、頑丈な木柵を難なく破壊して来た『五十』を超えている魔族の大群が続々と村への侵入を果たしていた。濁流かのように村に流れ込んでくる魔族軍の中には、僕が戦ったことのない『完全初見』である個体がチラホラと見受けられ、攻撃方法や毒などの特性の有無が全く分からない『未知の個体への対処を強制されている』現状から生み出された緊張感のせいで、僕は頬に一筋の汗を伝わせる。
この乱戦状況での『毒』は本当にヤバイ。
一撃でも真面に食らえば、その時点で戦いの『結果』が決まってしまう。
僕なら、しばらくの間だけ耐えられるかもしれないけど、ロンが食らってしまうと致命傷になってしまう。特にあのデカイ蛇に『人の腕』が生えている魔族は、紫色の体皮に黄色の斑点が散りばめられた胴体——どう見ても『毒』を使うような形をしているし、槍っぽい鋭利な樹木を『武器として装備』しているから、通常の魔獣なんかとは比較できないくらい危険度が高い。こっちに向かって走って来てる全長二メートルはある『鶏型の体に蛇の尾』の魔獣——コカトリスは、トウキ君の言う話だと蛇尾の牙に毒があるらしいから、この乱戦の中での接近戦は可能な限り避けなくては——
『ゴケエエエエエエエエエエッ!!』
「チッ——騒がしい!」
僕は少しだけ『とろい』と感じてしまう蛇鶏の前蹴りを身体を逸らすことで悠々と回避し、勢いを殺さずに白毛を茂らせる丸い胴体に肉薄——攻勢を取った僕を毒殺するために足元から這うように飛んできた鋭利な歯牙を見せつける蛇の尾を、『その動きは読めていた』と伝える冷酷な瞳を眼前まで迫って来ていた蛇に見せ付けながら冷静に捌く。
『ゴケエッ!?』
僕は右手に持っていた剣を鶏の胴体の奥深くに突き刺し、空いた両手で開かれていた蛇の上顎と下顎を掴み止め——
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
腕を筋張らせながら人間離れした怪力を全開にし、蛇の体を上と下の二つに引き裂いた! ビリビリと紙のように容易く引き裂かれた蛇は抵抗虚しく光を消し、分身たる尾を引き裂かれ、内臓と肉を貫かれて致命傷を負った鶏は身を襲う死の予感を解放し、悪足掻きとして出鱈目に暴れ回ろうとする。しかし、それを許してやるほどの余裕がない僕は、鶏に胴体に深く突き刺さっていた剣を即座に引き抜き、吹き出る鮮血を『風の膜』で防ぎながら鶏の首を断つ。
そして視界の邪魔をする死骸を退けるために、左の掌に風を溜めて肌触りの良い白毛に押し付けた。加護の力で前方に吹っ飛んでいく死骸を避けて迫り来る第二、第三の敵に眉尻を吊り上げた僕は、剣に付着している鮮血を一振りで全て飛ばし、間合いまで迫ってきた魔獣に向けて振るう。
『ジャジュアアアアアアアアアアアア!!』
「テメエ、人間の真似をしてんじゃねえよ……!」
僕は、手に持った木槍を突き出して攻撃してくる『人手蛇』を見て、人間のように生活していたイカ魔族のことを思い出し、不快感を隠さない盛大に歪んだ表情を浮かべる。 そして、コンマ一秒でも早く、僕の視界を汚す邪悪を殺戮してやろうと、さらに剣速を上げる。魔族が目で追えないほどの『高速斬撃』を持って、鮮血を散らしながら切り刻まれていく魔族を眼前で視認していた僕は、何故か心に満ちてくる『快感』のせいで唇を吊り上げてしまっていた。
しかし、この状況を良しとしない人手蛇は、着実に死が迫りつつある窮地を打開するための『奥の手』を行使する。自身が持ち使う『槍』以上の武器——どんな物であっても食らえば一溜まりもないだろう、効果絶大の『毒液』を口内にある器官から勢いよく噴き出し、冷酷かつ鮮烈に剣を振るう僕の全身に浴びせ掛けようとする。しかし、その攻撃結果を見た魔族は、左右に閉じる瞼を限界まで剥いた。
「残念だったな——」
小馬鹿にするように口角を吊り上げた僕は、自身の死を確信した魔族の頭部に向けて剣突を繰り出す。打つ手なしの状況に時を止めていた魔族は、その攻撃を防ぐ術もなく、顎下から頭部に向かって豪速を伴う剣身で貫通させられて、呆気なく白目を剥いて絶命した。わざと『回避行動を取らなかった』僕に向かって無慈悲なほどに降り掛かってきた毒液の大雨は、僕の頭頂部に到達する寸前で、まるで『見えない傘が差されていた』かのように、バケツ一杯分ほどあった毒液を全て散り散りに弾き返した。僕への毒液攻撃を防いだのは、僕が無意識に纏っている風の膜——風神の守りによるものであった。僕はただ、生まれた時から一緒にいたと思える風に、全幅の信頼を置いただけ。言ってしまえば『ただの賭け』だったのだが、結果としては僕の想像通り、人手蛇の奥の手を風の守りは完全に無効化してくれた。
「——ハハッ!」
風の守りを間近で認めて『魔族に負けるわけがない』という全能感が全身に満ち満ちてきた僕は、若干『ハイ』になりながら、突っ込んできた四体の魔族を瞬く間に屠った。 少なからず存在した『不安』が綺麗さっぱり取り除かれた僕は留まることを知らないと言わんばかりに、僕に襲い掛かってきた『百に近い魔族軍』を鏖殺し続ける。それを、僕の背後で撃ち漏らしを狩っていたロンは見ており、積み重ねられていく魔族の屍の山に『希望の光』を見たかのように不安気だった表情を明るくした。そして——
「お前ら、村の連中は全員逃がした! 全力で撤退しろ! 絶対に死ぬんじゃねえぞォッ!!」
ロウさんの決死の叫び声を聞いたロンは「ソラ! 逃げよう!」と言って、正面に立つ僕を『迂回して』飛び掛かってきていた犬型魔獣を一振りで斬り裂き、一歩後退する。彼等の声音を、魔獣の汚い叫声を真正面から聞きながら、超人的な聴力を使って聞き取ることに成功していた僕は、この場にいる魔族全てを『斬殺してやりたい』という負の欲求に全身を駆られるものの、ロンの命が最優先だと断じ、魔族の大群が濁流のように流れ込んで来ている南方に向けて——左掌に溜め込んでいた暴風を撃ち込む。
「風撃——ッ!」
僕が撃ち放った暴風は、前方から突き進んできていた魔族軍を村の家屋ごと全て飲み込み、徹底的に害悪を殲滅せんと暴虐の限りを尽くした。まるで巨大な竜巻が村の南方に突如として顕現したかのように、吹き荒ぶ風は標的全てを巻き込んで、陰鬱とする灰の空へと向かって昇っていく。 僕が行使した『尋常ではない風の威力』に目を限界まで剥いていたロンとロウさんは、風が吹き止んだ村の中から、南方からこれでもかと進軍して来ていた魔族の大群が『跡形もなく吹き飛ばされた』ことを認める。一気にしんと静まり返った村を視界に映していた僕は、これが当然の結果であると言わんばかりに一切の動揺することなく、固まってしまっているロンに視線を向けて言葉を発した。
「家を吹き飛ばしちゃった村の人には申し訳ないけど『人が巻き込まれる心配がないなら』どんどん風を使っていく、だから余裕で魔族軍から逃げ切れるはずだ。行こう!」
「——あ、ああ!」
ハッと肩を跳ねさせて僕の言葉を聞いたロンは、風の加護が付いているという希望の光を目に灯し、力強く頷いた。
「遅えぞ! 早く逃げんだよ!」
「は、はははっ! 行こう、ソラ!」
「うん!」
そして、ロンさんの声に従うように、僕達は彼が待っている『北の雑木林』に足先を向けて駆け出そうとして——
「ロンッ! 伏せろォッッッ!!」
西側から猛速で迫って来ている『邪悪な気配』に感付き、先を行くロンに向かって僕は必死な叫び声を上げた。
「——っ!? ごああっっ!?」
その必死な叫びを聞いたロンは、反射で僕の言葉に従い、勢いよく地に伏せる。しかし、それに反応してのけた『人影』は、地に伏せた彼の腹部に向けて強烈な蹴りをめり込ませる。それを目前で視認した僕は、訳の分からない状況への混乱を燃える盛る激怒で抑え込み、手に持った『短刀』を投擲しようとする『桃髪の男』に向けて豪速で剣を振るった。
「誰だ、テメエは!!」
怒りを隠す余裕のない声音をうざったそうに聞き、繰り出された僕の斬撃を軽々と回避した謎の男は、ボサボサの桃髪を掻き毟りながら、気怠げな垂れ目をした表情を僕に向けて——答える。
「あ? 俺ぇ? 俺はぁ——アロンズ」
「————」
「今からお前ら殺すけど、よろしくなぁー……グヒハッ」
その『名』を聞いた僕は、愕然とした驚愕に染まる表情のまま、地を這う虫を弄ぶ子供のような幼稚さを感じさせる雰囲気と、カラスを想起させる絶句してしまうほどに絶大な『殺意』発する男を見て、一筋の汗を顎先から地に落とす……
しかし、村長のアエルさんに至っては、予想だにしていなかった『早期の魔族強襲』における、村人への緊急避難を先導する立場にあるから、数多い村人達を牽引する彼に魔族との戦闘を行う余裕は無いに等しいに違いない。もしも『アエルさんを除いた』僕達の三人の守衛を突破されて、逃走中の人々がいる方に魔族軍を進軍させてしまった場合、先頭に立っているアエルさんが『一人』で、魔族と戦えない村人達を守ることになってしまう。そうなってしまうと、いくら歴戦の強者であるアエルさんであっても、キャパシティを超えてしまえば『複数の犠牲』を出してしまうことが想像に難くはない。だから、守る——死んでも、迫り来る血に飢えた魔族を、逃げる人々の背に追い付かせる訳にはいかない。その意思を確固とした僕は、足を震えさせているロンよりも前に出て、南方の木柵を軽く飛び越えてきた魔獣達に眼光を放ち、圧倒的な殺意と戦意を打ち付けた。
「ロン! 残るって言うなら気合を入れて! 来るよ!」
「——っ! せっ、背中は任せてくれ!」
我先にと先陣を切って『三メートル』はある村の木柵を飛び越えて来た複数の影を超人的な視力で追って視認した僕は、その影の正体が脚力に秀でている『犬型魔獣』五匹であると認める。見張り台の上から監視者が居なくなったせいで、魔族の大群の全体的な数が分からなくなってしまったけれど、村を一夜で滅ぼしたということは、人間の手に負えない数が一斉に攻め込んできたってことで——百? 二百? 三百? 全然分かんないし、魔獣侵攻なんて経験の無いことだから全く想像もつかないんだけど、魔族の数が想像を絶するくらい多いってことだけは確かなはずだ。
まあ『全部殺すだけ』だから、数なんか関係無いけどな。
僕が発している刺々しい殺意の眼光に全身を突き刺され、その殺意の主である僕を最大最強の『敵』として認識した五体の犬型魔獣は、殺戮する優先順位を戦意を立ち昇らせながら臨戦態勢を取っている僕を最高とし、その一等首級を上げるため、我先にと走る速さを最大まで上げ切って、口端から汚い涎を撒き散らしながら猛速の突撃を開始する。
『『『『『グルゥラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』』』』』
「来いよ……!」
真っ赤な殺意に濡れた咆哮を空に打ち上げながら、凄まじい速さで猛進してくる魔獣達に向けて、雲の隙間から漏れ出ている陽光を反射した、眩い光を放つ鏡面剣を構えた僕は『魔速斬』の用意を即座に済ませ、数多の命を屠ろうとしている魔獣に一歩も引かない胆力を堂々と見せ付ける。
普段であれば、僕自身が魔族に向かって肉薄するところなのだが、今回だけは北方を背にした状態での『守備』が最優先。だから、自らこの『場から離れる』なんていう愚の骨頂とも言える馬鹿げた行動を進んで行うことは不可能。僕が魔族の数に押し負けて、魔族侵攻が手に負えなくなってしまうという『最悪の場合』が現実に起きたとしたら、どうにかロンを逃して、僕が肉壁になるしかないのだろう。
やれるのか? できるのか? 目の前にある恐怖から背を向けて逃げ続けていた僕なんかに、生物にとって最大の恐怖である『死』を正々堂々と受け入れるなんて、本当に、弱すぎる僕なんかに可能なのだろうか? そこまで静止した時の中で思考した僕は、この緊迫した状況に全く似付かわしくないような『不敵な笑み』を唇に浮かべ、目前まで迫って、僕を目掛けて飛び掛かった二体の犬型魔獣に向けて、剣を持った右腕が霞むほどの『豪速の一閃』を放った。
「…………やるしかねえよな」
魔獣が目で追えないほどの超速で繰り出された『煌めく二つの斬閃』は、極限の集中力を遺憾無く発揮していた僕の頸部を狙って、鋭利な牙を剥き出しにし、左右に分かれて挟み込む形で跳躍していた二体の魔獣を空中で斬断する。一体目の魔獣は隙だらけの頭部に横一閃の斬撃を食らって即死し、二体目の魔獣は斜め一閃の斬撃で胴体を『上と下』の二つに斬断された後、喉奥から掠れた断末魔を零しながら、時間を掛けて目から光を消した。瞬く間に殺された二体の魔獣は、汚い赤血を辺りに撒き散らしながら煉瓦畳みの地面に落下し、ボトボト——という重低音を鳴らす。
『『『……!』』』
返り血を浴びず、まるで『何事もなかった』かのように悠然と地に立つ僕を四つの眼で見た残りの魔獣達は、地を蹴って駆けていた脚を急停止させ、僕への攻撃を中断する。残り三体の魔獣が取った、煌めく剣によって命を絶たれ、物言わぬ残骸と化してしまった元仲間と同じ道を辿らないようにした判断は、一見して正しいことのように思えてしまうものの、僕に余裕を与えるという攻撃の中断は、生死を決する『命を奪い合う戦場』においては致命的であった。
一度『人間への勝鬨』を上げて勢い付いていた魔獣達は、最大の敵である僕が発する『圧倒的な殺意』に当てられて、培われてきた獣の本能が絶対に勝てないと訴えている最強の敵への挑戦を、肉体の芯から拒絶してしまっていた。
時すでに遅し——
一度でも戦場で立ち止まってしまった『弱物』に、戦意を絶やさない最強への挑戦を果たすことは不可能。この時、魔獣が積み重ねてきた『捕食者』としてのプライドは、ガラガラという音を立てて崩壊した。完全に戦意と殺意を喪失させてしまった、意気揚々と先陣を切ってきた魔獣達は、絶対の恐怖である『死』と相対することなどできず、敵対者に背中を見せながら逃走を図りだす。しかし——
「フウゥッッッ!!」
それを見逃してやるほどの甘さは、今の僕には一切存在しない。僕は戦場から逃げ出した愚かな小物が晒している隙だらけの背中に向かって、足元に敷き詰められていた煉瓦を踏み砕いて作り出した『拳大の破片』を、ウォルスルス柔剣術の腕をしならせる動きに倣いながら、ミシミシッ——腕を筋張らせるほどの剛力を持って、全力で投擲した。
『『『——グアキャアッ!?』』』
空気が嘶くほどの豪速で、僕の左手から発射された三つの煉瓦片は、瞬く間に『謎に足が遅くなっている』魔獣の背中に炸裂し、必死に逃走していた魔獣の背を貫通し——真っ赤な鮮血と臓物を穿たれた穴から溢れ出させる『物言わぬ肉片』へと変貌させた。
犬型とか熊型くらいなら何体きても余裕なんだが……。
僕に遠く及ばない実力でありながら、無謀にも命のやり取りを所望していた五体の犬型魔獣を『一分弱』という超短期決戦で鏖殺し切ったにも関わらず、それはただの余興だったと言わんばかりに、苦し気な表情で開かれた僕の視線の先では、頑丈な木柵を難なく破壊して来た『五十』を超えている魔族の大群が続々と村への侵入を果たしていた。濁流かのように村に流れ込んでくる魔族軍の中には、僕が戦ったことのない『完全初見』である個体がチラホラと見受けられ、攻撃方法や毒などの特性の有無が全く分からない『未知の個体への対処を強制されている』現状から生み出された緊張感のせいで、僕は頬に一筋の汗を伝わせる。
この乱戦状況での『毒』は本当にヤバイ。
一撃でも真面に食らえば、その時点で戦いの『結果』が決まってしまう。
僕なら、しばらくの間だけ耐えられるかもしれないけど、ロンが食らってしまうと致命傷になってしまう。特にあのデカイ蛇に『人の腕』が生えている魔族は、紫色の体皮に黄色の斑点が散りばめられた胴体——どう見ても『毒』を使うような形をしているし、槍っぽい鋭利な樹木を『武器として装備』しているから、通常の魔獣なんかとは比較できないくらい危険度が高い。こっちに向かって走って来てる全長二メートルはある『鶏型の体に蛇の尾』の魔獣——コカトリスは、トウキ君の言う話だと蛇尾の牙に毒があるらしいから、この乱戦の中での接近戦は可能な限り避けなくては——
『ゴケエエエエエエエエエエッ!!』
「チッ——騒がしい!」
僕は少しだけ『とろい』と感じてしまう蛇鶏の前蹴りを身体を逸らすことで悠々と回避し、勢いを殺さずに白毛を茂らせる丸い胴体に肉薄——攻勢を取った僕を毒殺するために足元から這うように飛んできた鋭利な歯牙を見せつける蛇の尾を、『その動きは読めていた』と伝える冷酷な瞳を眼前まで迫って来ていた蛇に見せ付けながら冷静に捌く。
『ゴケエッ!?』
僕は右手に持っていた剣を鶏の胴体の奥深くに突き刺し、空いた両手で開かれていた蛇の上顎と下顎を掴み止め——
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
腕を筋張らせながら人間離れした怪力を全開にし、蛇の体を上と下の二つに引き裂いた! ビリビリと紙のように容易く引き裂かれた蛇は抵抗虚しく光を消し、分身たる尾を引き裂かれ、内臓と肉を貫かれて致命傷を負った鶏は身を襲う死の予感を解放し、悪足掻きとして出鱈目に暴れ回ろうとする。しかし、それを許してやるほどの余裕がない僕は、鶏に胴体に深く突き刺さっていた剣を即座に引き抜き、吹き出る鮮血を『風の膜』で防ぎながら鶏の首を断つ。
そして視界の邪魔をする死骸を退けるために、左の掌に風を溜めて肌触りの良い白毛に押し付けた。加護の力で前方に吹っ飛んでいく死骸を避けて迫り来る第二、第三の敵に眉尻を吊り上げた僕は、剣に付着している鮮血を一振りで全て飛ばし、間合いまで迫ってきた魔獣に向けて振るう。
『ジャジュアアアアアアアアアアアア!!』
「テメエ、人間の真似をしてんじゃねえよ……!」
僕は、手に持った木槍を突き出して攻撃してくる『人手蛇』を見て、人間のように生活していたイカ魔族のことを思い出し、不快感を隠さない盛大に歪んだ表情を浮かべる。 そして、コンマ一秒でも早く、僕の視界を汚す邪悪を殺戮してやろうと、さらに剣速を上げる。魔族が目で追えないほどの『高速斬撃』を持って、鮮血を散らしながら切り刻まれていく魔族を眼前で視認していた僕は、何故か心に満ちてくる『快感』のせいで唇を吊り上げてしまっていた。
しかし、この状況を良しとしない人手蛇は、着実に死が迫りつつある窮地を打開するための『奥の手』を行使する。自身が持ち使う『槍』以上の武器——どんな物であっても食らえば一溜まりもないだろう、効果絶大の『毒液』を口内にある器官から勢いよく噴き出し、冷酷かつ鮮烈に剣を振るう僕の全身に浴びせ掛けようとする。しかし、その攻撃結果を見た魔族は、左右に閉じる瞼を限界まで剥いた。
「残念だったな——」
小馬鹿にするように口角を吊り上げた僕は、自身の死を確信した魔族の頭部に向けて剣突を繰り出す。打つ手なしの状況に時を止めていた魔族は、その攻撃を防ぐ術もなく、顎下から頭部に向かって豪速を伴う剣身で貫通させられて、呆気なく白目を剥いて絶命した。わざと『回避行動を取らなかった』僕に向かって無慈悲なほどに降り掛かってきた毒液の大雨は、僕の頭頂部に到達する寸前で、まるで『見えない傘が差されていた』かのように、バケツ一杯分ほどあった毒液を全て散り散りに弾き返した。僕への毒液攻撃を防いだのは、僕が無意識に纏っている風の膜——風神の守りによるものであった。僕はただ、生まれた時から一緒にいたと思える風に、全幅の信頼を置いただけ。言ってしまえば『ただの賭け』だったのだが、結果としては僕の想像通り、人手蛇の奥の手を風の守りは完全に無効化してくれた。
「——ハハッ!」
風の守りを間近で認めて『魔族に負けるわけがない』という全能感が全身に満ち満ちてきた僕は、若干『ハイ』になりながら、突っ込んできた四体の魔族を瞬く間に屠った。 少なからず存在した『不安』が綺麗さっぱり取り除かれた僕は留まることを知らないと言わんばかりに、僕に襲い掛かってきた『百に近い魔族軍』を鏖殺し続ける。それを、僕の背後で撃ち漏らしを狩っていたロンは見ており、積み重ねられていく魔族の屍の山に『希望の光』を見たかのように不安気だった表情を明るくした。そして——
「お前ら、村の連中は全員逃がした! 全力で撤退しろ! 絶対に死ぬんじゃねえぞォッ!!」
ロウさんの決死の叫び声を聞いたロンは「ソラ! 逃げよう!」と言って、正面に立つ僕を『迂回して』飛び掛かってきていた犬型魔獣を一振りで斬り裂き、一歩後退する。彼等の声音を、魔獣の汚い叫声を真正面から聞きながら、超人的な聴力を使って聞き取ることに成功していた僕は、この場にいる魔族全てを『斬殺してやりたい』という負の欲求に全身を駆られるものの、ロンの命が最優先だと断じ、魔族の大群が濁流のように流れ込んで来ている南方に向けて——左掌に溜め込んでいた暴風を撃ち込む。
「風撃——ッ!」
僕が撃ち放った暴風は、前方から突き進んできていた魔族軍を村の家屋ごと全て飲み込み、徹底的に害悪を殲滅せんと暴虐の限りを尽くした。まるで巨大な竜巻が村の南方に突如として顕現したかのように、吹き荒ぶ風は標的全てを巻き込んで、陰鬱とする灰の空へと向かって昇っていく。 僕が行使した『尋常ではない風の威力』に目を限界まで剥いていたロンとロウさんは、風が吹き止んだ村の中から、南方からこれでもかと進軍して来ていた魔族の大群が『跡形もなく吹き飛ばされた』ことを認める。一気にしんと静まり返った村を視界に映していた僕は、これが当然の結果であると言わんばかりに一切の動揺することなく、固まってしまっているロンに視線を向けて言葉を発した。
「家を吹き飛ばしちゃった村の人には申し訳ないけど『人が巻き込まれる心配がないなら』どんどん風を使っていく、だから余裕で魔族軍から逃げ切れるはずだ。行こう!」
「——あ、ああ!」
ハッと肩を跳ねさせて僕の言葉を聞いたロンは、風の加護が付いているという希望の光を目に灯し、力強く頷いた。
「遅えぞ! 早く逃げんだよ!」
「は、はははっ! 行こう、ソラ!」
「うん!」
そして、ロンさんの声に従うように、僕達は彼が待っている『北の雑木林』に足先を向けて駆け出そうとして——
「ロンッ! 伏せろォッッッ!!」
西側から猛速で迫って来ている『邪悪な気配』に感付き、先を行くロンに向かって僕は必死な叫び声を上げた。
「——っ!? ごああっっ!?」
その必死な叫びを聞いたロンは、反射で僕の言葉に従い、勢いよく地に伏せる。しかし、それに反応してのけた『人影』は、地に伏せた彼の腹部に向けて強烈な蹴りをめり込ませる。それを目前で視認した僕は、訳の分からない状況への混乱を燃える盛る激怒で抑え込み、手に持った『短刀』を投擲しようとする『桃髪の男』に向けて豪速で剣を振るった。
「誰だ、テメエは!!」
怒りを隠す余裕のない声音をうざったそうに聞き、繰り出された僕の斬撃を軽々と回避した謎の男は、ボサボサの桃髪を掻き毟りながら、気怠げな垂れ目をした表情を僕に向けて——答える。
「あ? 俺ぇ? 俺はぁ——アロンズ」
「————」
「今からお前ら殺すけど、よろしくなぁー……グヒハッ」
その『名』を聞いた僕は、愕然とした驚愕に染まる表情のまま、地を這う虫を弄ぶ子供のような幼稚さを感じさせる雰囲気と、カラスを想起させる絶句してしまうほどに絶大な『殺意』発する男を見て、一筋の汗を顎先から地に落とす……
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