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ハザマの国・編
男は闇に復讐を誓う
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「コロスゥゥゥ……絶対にコロスゥゥゥッ…………!」
男は『敵』の消えた森を腹這いになりながら進む。
「ゥゥゥ……ひひぃっ……グゥゥゥ…………!」
男の両手両足は本来なら向かないだろう方向に捻れてしまっており、手を地面について身体を起こすことも、足を真っ直ぐにして立ち上がることも出来ないでいた。
「フゥ……フゥ……フゥゥ……」
男の全身は真っ黒く焼け焦げてしまっており、生きているのが不思議なくらいの姿をしている。真正面から雷を浴びてしまったために胸骨や肋が剥き出しになっており、顔から瞼を失い、鼻を失い、唇を失ってしまった男は、まるで火葬途中で逃げ出した『死体』にようであった。全身の服は『大雷』に飲まれた影響で失ってしまい、今は血肉に落ち葉をつけた見窄らしいを通り越した格好。 しぶとくも『生き延びた』男は、顔のあった時よりも恐ろしい凄惨な笑顔で蛇のように血を這い動く。なぜ彼は真正面から大雷を浴びてまともに動けない状態で、茶髪の男から逃げ延びることができたのか——その説明をしよう。
彼は『異能』で突き進んできた大雷の威力を軽減することが可能であった。
透明な蛇を身体に巻きつけて、肉の鎧を装備することができたが、彼はその選択をしなかった。何故なら大雷をまともに浴びれば、蛇の主である男以下の耐久力である蛇は、あっという間に大雷に焼き尽くされてしまうからだ。だからこの男は防御を捨てて、次手を取った。あの大雷を自身が耐え切れると賭けて、蛇を逃げのためだけに使用したのである。雷に飲まれて吹き飛ばされた男は、蛇を使って自身のいる場所の真下に穴を掘らせた。その穴の中で彼の十八番である『気配隠し』を使用。完全に自然と一体化した彼を『圧倒的格下』である茶髪の男が見つけられる訳もなく——逃げ延びて現在に至る。
「フゥ……ひひっ、ひひひ!」
殺してやる。あの白髪角も、妙な風を纏う茶髪の男も……!
手足を切り落として、腹を引き裂いて——腑を引き摺り出して、出てきた糞でアイツらの顔面をグチャグチャにする! 二度と俺に逆らえねえよぉ、魂の奥底まで俺という恐怖を刷り込んで、惨たらしくぶっ殺してやる。
「ひひっひひひひひひははははははははッッッ!」
待ってろ、クソ野郎ども。俺が、必ず殺してやるからなァ……!
底なしの殺意を爆発させる男は、闇が満たす森を這い進む。
瞼を失い閉じない目から真っ赤な血の眼光を発して——
男は『敵』の消えた森を腹這いになりながら進む。
「ゥゥゥ……ひひぃっ……グゥゥゥ…………!」
男の両手両足は本来なら向かないだろう方向に捻れてしまっており、手を地面について身体を起こすことも、足を真っ直ぐにして立ち上がることも出来ないでいた。
「フゥ……フゥ……フゥゥ……」
男の全身は真っ黒く焼け焦げてしまっており、生きているのが不思議なくらいの姿をしている。真正面から雷を浴びてしまったために胸骨や肋が剥き出しになっており、顔から瞼を失い、鼻を失い、唇を失ってしまった男は、まるで火葬途中で逃げ出した『死体』にようであった。全身の服は『大雷』に飲まれた影響で失ってしまい、今は血肉に落ち葉をつけた見窄らしいを通り越した格好。 しぶとくも『生き延びた』男は、顔のあった時よりも恐ろしい凄惨な笑顔で蛇のように血を這い動く。なぜ彼は真正面から大雷を浴びてまともに動けない状態で、茶髪の男から逃げ延びることができたのか——その説明をしよう。
彼は『異能』で突き進んできた大雷の威力を軽減することが可能であった。
透明な蛇を身体に巻きつけて、肉の鎧を装備することができたが、彼はその選択をしなかった。何故なら大雷をまともに浴びれば、蛇の主である男以下の耐久力である蛇は、あっという間に大雷に焼き尽くされてしまうからだ。だからこの男は防御を捨てて、次手を取った。あの大雷を自身が耐え切れると賭けて、蛇を逃げのためだけに使用したのである。雷に飲まれて吹き飛ばされた男は、蛇を使って自身のいる場所の真下に穴を掘らせた。その穴の中で彼の十八番である『気配隠し』を使用。完全に自然と一体化した彼を『圧倒的格下』である茶髪の男が見つけられる訳もなく——逃げ延びて現在に至る。
「フゥ……ひひっ、ひひひ!」
殺してやる。あの白髪角も、妙な風を纏う茶髪の男も……!
手足を切り落として、腹を引き裂いて——腑を引き摺り出して、出てきた糞でアイツらの顔面をグチャグチャにする! 二度と俺に逆らえねえよぉ、魂の奥底まで俺という恐怖を刷り込んで、惨たらしくぶっ殺してやる。
「ひひっひひひひひひははははははははッッッ!」
待ってろ、クソ野郎ども。俺が、必ず殺してやるからなァ……!
底なしの殺意を爆発させる男は、闇が満たす森を這い進む。
瞼を失い閉じない目から真っ赤な血の眼光を発して——
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