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ハザマの国・編
複雑な家庭の事情
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早朝——春の暖かな日差しが借りている部屋の、カーテンを開けた窓から燦々と差し込んでくる。
ついさっき目を覚ました僕は、窓から見える景色を、ボーッと眺めながら、ゆっくりと白い靄が満ちてしまっている頭の中を晴らしていく。
明るい朝日が寝ぼけている僕の目に刺さり、目の奥をググッと刺激してくる。
そうして段々と靄が晴れて頭が冴えていった僕は、今ある問題を思考し始めた。
今の僕には、何一つ武器がない。
ソルフーレンには全然いなかった『魔獣』が、これから先の旅路には多く出てくると思われる。
その場合、僕の自衛手段として武器が必要なのは間違いないだろう。……正直に言おう、僕は『刀』が欲しい。
どういう物なのか僕は全く知らないんだけど、なんかメチャクチャ強そうだし、名前が『カッコいい』からな。
その刀を手に入れようとする場合、大金が必要なはずだ。
近日中に仕事を探して金を稼ぎ、自衛の武器を入手する。
それが今、僕がやるべきことな気がする。
今こうして窓から外を見た感じ、この町はかなり広い。
この街は多分だけど、僕みたいに国境を超えてきた人や、僕とは逆にハザマの国から風の国に行く人が中継地点として利用する『宿場町』のような場所なんだと思う。
チラホラと商人みたいな人達が歩いているし、もしかしたらその中に武器商人がいるかもしれないな。
今日は職探しも兼ねて、町を散策してみよう。
武器商人がいたら、ちょっと話をしてみたいな。
思考を終えた僕は、寝巻きを着替えた後に顔を洗い「行ってきます」と宿から出た。
そして『ぶらぶら』と特に当てもなく町を散策していると、町の中心にある大広場の方が「やいやい!」と活気付いていた。
何だ何だ? と僕が歩いて近づいていくと、そこには沢山の商人と一般人が溢れており、商人達は地面に布を広げ、そこに何やら商品を置いているようだった。
この催しは、所謂『フリーマーケット』と言うやつに違いないだろう。
「いらっしゃい、いらっしゃい!」
「お客さん! こっちの方が安いって!」
「買った買った!」
僕は賑わってるなぁ——と、フリマの中を歩いていく。
そして、とある売り物の前で、ふと立ち止まった。
これは何だ? 小箱に入ってる『土』……? 粘土みたいだけど、これって食べ物なのかな?
「これ、なんですか?」
「ああこれね、これは味噌ってんだ! ウマイいぜ~? 買ってってくれよ! 四十ルーレン! 安いだろ!」
「味噌?」
って、結局なんなんだ?
その『味噌』というものの詳細を聞こうと僕が前のめりになると、商品を売っていたおじさんは、買う気配のない僕のことが邪魔に思ってしまったのか、ぶっきらぼうに言い放つ。
「買わないならあっち行った!」
「は、はいっ」
いやいや、味噌のことくらい教えてくれよ……。
分かんない物を「よく知らないけど買った!」なんて言う人少ないと思うぞ。
まあ、いいさ。今は武器商人を探さないといけないからな。
「ソラくん!」
「あ、マルムットさん!」
声を掛けられた方を見ると、フリマに参加している僕をここまで運んでくれた花商人のマルムットさんがいた。
どうやら、マルムットさんは馬車に積んでいた花を売っているようで、その花は結構売れているっぽく、花を入れていたのだろう空になったバケツが、彼の周りに幾つか置かれている。
商品が商品だからか、品物を見ているのは『お洒落』をしている人達ばかりだった。
この人達は、朝早くから花を買いに来たのだろう。
マルさんが用意した『大きな薔薇の花束』を両手で持っている男性は、鼻息が離れている僕は聞こえてしまうくらい気合が入っている様子だ。あれか、プロポーズってやつなのだろうか? いや、記念日なのかもしれないな。
「ソラくん、ちょっと手伝ってくれませんかね? いやぁ、嬉しいくらい忙しくてですねぇ」
「良いですよ! 何をすれば良いんですか?」
「いやぁありがたい! 頼みたいのはですねぇ、荷台にある花を降ろして持ってきて欲しいのですよ! 売り物なので慎重にお願いしますねぇ! 給金は弾みますから!」
「分かりました!」
僕はマルさんの話に勢いよく頷き、少し離れたところに停めてある馬車の方へ走って向かった。
「ヤッホー、マルムットジュニア、ガール!」
『『ぶるる』』
僕は縄で繋がれている白馬の『マルムットジュニア』達に挨拶をし、商品の花が積まれている荷台に移動する。
在庫を思われる大量の見知った花が入っている水入りバケツを見て、僕は「おー」っと声を出した。
これは全て『風の国』で栽培されたものなのだろう。
えっと、どれを持っていけば良いんだ?
菊——いや、あの男性が沢山買っていたから、ここは薔薇かな。さっきの男の人を見るに、そういうことのはず! よしっ運ぶか!
* * *
「お疲れだよぉ、ソラくん!」
「あ、お疲れ様です! 終わりですかね?」
「残っている『菊』は他の所で売りますから、これで終わりですね」
朝から開催していた町のフリーマーケットは完売御礼で、商品を売っていた人達は設営の後片付けに追われていた。
朝から昼まで沢山いたお客さんは、フリマ終わると同時に、まるで蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった。
それを「うおっ!」と見て驚いた僕は、花を入れていたバケツを片付けた後、他の人達の片付けを手伝った。
「はいっ! これねぇ、お給金ですよ!」
「ありがとうございます!」
「いえいえ!」
僕は一仕事を終えて、大広場から歩いて去っていく。
マルムットさんから報酬として受け取った紙袋の中身を見てみると、結構な額のルーレン硬化が入っていた。
三時間くらい荷下ろしと荷運びをやって、給金はルーレン銅貨四枚——計四百ルーレンだ。
食費と宿泊費を合わせても、余裕で一日は持つ額だ。
これは、とてもありがたいな。
僕は当初の予定通り、武器商人探しを始めた。
今の所持金が大体、一万四千ルーレンくらいだから、これで買える武器を商人に聞いてみないといけないな。
町を散策していると、ここが『宿場町』であるということを身をもって実感することができた。
どうやって実感したかというと、それは町に立ち並ぶ家屋のほとんどが『宿屋』だったからだ。
家の屋根は『瓦屋根?』って言うんだった、ずっしりと重圧感のある作りになっている。壁も『土』で作られている様な質感だ。何というか、家が『重そう』だなと思う。
木の柱も太くてしっかりしているし、隣の国だと言うのに、ここまで家の作りって変わるんだなぁ——って違う違う! 家を見て回ってる場合じゃない、僕は武器商人を探さないといけないんだから!
馬小屋、馬小屋——あった。武器を積んでる馬車は……ここにはないな。よし、別の馬小屋を探そう。
今僕がいるのは町の南側だ。とりあえず、町をぐるりと回ってみることにしようと思う。
馬小屋と武器商人を探しながら移動すること、二時間。
馬小屋をあらかた見て回ったが、結局、目的だった武器商人を見つけることはできなかったので、僕は目的を『武器屋』探しに切り替えて、町を散策していた。
そして入り組んだ路地をフラフラと歩いていると「コソコソ」とした話し声が聞こえてきたので、僕は足を止めた。
「まただってさ、不気味よねぇ」
「ええ~」
なんだ、ただの井戸端会議じゃないか。
そういえば僕が住んでいた村でも、サチおばさん達が、真夏日なのに井戸を囲んで、何時間も「ベラベラ」と話をしていたことがあったな。ちょっと懐かしい……。
国は違っても、こういうのは変わらないんだなぁ。
盗み聞きも悪いし、ここから離れるか——
「また子供がいなくなったらしいのよ~」
——え? 子供がいなくなったって……もしかして事件か何かか?
僕はいつの間にか去ろうとしていた足を向き直し、井戸端会議の内容に聞き耳を立てていた。
「また~?」
「そうなのよ~。あの村やっぱり危ないわよね~」
「呪われてるのかしら~」
全然話が掴めないな。おばちゃん達、もっとハッキリと内容を言ってくれ。
「あ、ご飯作らなきゃ~」
「うちも~」
「またね~」
え、もう終わり⁉︎ まだ何も言ってないじゃん……。
話の核心を突かぬまま井戸端会議は解散してしまい、三人のおばちゃん達は、それぞれ別の道を使って、家に帰って行ってしまった。
「あら、こんにちわ~」
「こ、こんにちわ~」
僕は一人のおばちゃんとすれ違い、汗を掻きながら挨拶を交わす。そして後ろ髪引かれる感覚に見舞われつつ、僕は目的の武器屋探しを再開した。
* * *
「——お!」
井戸端会議を抜けて、一時間が経った頃、金属を叩くような『カーン、カーン』という大きな音が僕の耳に入ってきたので、僕は肩を跳ねさせながら興奮気味に音の鳴る方へ走って向かい、町の中で一際大きな建物の前に到着した。
一階建てのようだが、周りの建物と比べても横に大きな造りになっている。
正面上に掛けられている看板には、目的だった武器屋ではなく『防具屋』と書かれていた。
書いてある通りなら武器屋ではないのは確かだけど、もしかしたら武器を取り扱っている可能性もあるし、僕は好奇心に促されるままに一応覗くことにする。
僕が重厚な両開き扉を押して開けると、カランカランという気持ちの良い音が鳴ったと同時に、凄まじい熱気の波が僕のもとに押し寄せきた。
「うっ……!」
店内は『ムワ~』とした汗の酸っぱい臭い充満してしまっており、鼻の奥側を『ボンッ!』と殴り飛ばすかのような凄まじい臭いに対し、僕は咄嗟に鼻の穴を摘んだ。
どうやらここは鍛冶場に店を併設している様で、屈強な男達が鍛冶をしている様子が店内から丸見えになっていた。
炉の前で屈強な男達が槌を勢いよく振り下ろし、熱されて赤くなった金属を汗を散らしながら鍛えていた。
槌を振り下ろす度に、外以上の耳を劈く爆音が店内に響き渡っているのだが、店内で商品を見ている冒険者らしき人達は特に気にした様子もなく、余裕そうに鎧を吟味していたので、それを見た僕は『さすがだな』と感心した。
僕は息を最小限にしながら陳列された商品を見て歩くが、剣などの武器は一切見当たらなかった。
仕方ないな——と、僕は店番をしている男性に、この店は武器を取り扱っているかという話を聞きに行く。
この爆音だし、声を大きくしないと聞こえなそうだな。
「あの!」
「あ? どうした、坊主!」
「武器って、取り扱ってますか⁉︎」
「ああ? 武器は取り扱ってねえ! 西に行ってみろ! そこに武器屋がある!」
「そうなんですね! ありがとうございます!」
「おう! また来いよ!」
「はいっ!」
僕は教えてもらった武器屋に赴くため、防具屋を出る。
そして西へ進むこと三十分。
途中で昼食を摂りつつ、道行く人に話を聞き、僕はとうとう武器屋に到着した。
建物に取り付けられた看板には『武器屋マイマイ』と書かれているので、ここが武器屋で間違いないだろう。建物は防具屋よりも小さく、全く音がしない……。
建物が小さいと言うより、人家にしか見えないんだよな。
鍛冶場は離れにあるのだろうか?
店をやっているとは雰囲気的に全然思えないけど、もしかして閉店とかしてないよな——という不安を胸の内に抱えつつ、僕は扉に手を掛ける。しかし、扉は押しても引いても『ガチャガチャ』という音を鳴らして動く気配は微塵もなかった。
これは、もしかしなくても『閉まってる』な。
まさかの状況に、僕はガクッと首を折った。ここまで来て、まさかまさかの休店日。僕の二時間は徒労に終わった——かに思われた、その時。 扉の方から、ガチャっと鍵が開いた音がした。
帰り掛けていた僕が『バッ』と振り向くと、ゆっくりと扉が開いていく——
「……誰?」
店から出てきたのは、黒紅色の髪をした一人の少女。
彼女は、店の前に突っ立っている僕を不安気に見つめており、当の僕は、目の前の少女はどう見ても店主じゃないよなぁ——と思いつつ、僕は不安そうな彼女に話しかけた。
「あの、お店の人って居るかな?」
僕の問いに対し、少女は首を横に振った。どうやら、店主は留守のようだ。
「あ、ごめんね。僕は武器が欲しくて来たんだけど、お店の人はいつ帰ってくるのかな?」
「……冒険者?」
理由は不明だが、少女は『何か期待している』様な目をし始めた。一体どうしたのだろうか?
「えっと、冒険者ではないね」
「……武器、欲しいの?」
「うん。魔獣に襲われた時に武器が必要だと思って来たんだ」
「強い……?」
え、なんの質問? ちょっと雲行きが怪しくなってきた気がするんだが。
「僕は……強くはないかな」
「……来て」
「え?」
「家、入って」
「あ、はい……」
どういうことだ——と訳も分からぬまま、僕は少女に促されて家の中に入った。
* * *
家の中は武器屋と呼ばれるだけあって、品数は多くはないけど、剣や槍、大型の斧まで陳列されていた。
家——武器店の中には誰も居らず『しーん』としてしまっている。僕は少女に導かれるまま、リビングの椅子に腰掛けた。少女はお茶を淹れているのか、キッチンで『カチャカチャ』と音を立てている。
家の中には誰も居ない。小さい女の子一人で留守番って、少し不用心じゃないか? 母親とか父親、大人が用心として誰か居るものなんじゃないのかな……。
うーん、でも僕を家に入れたってことは何か理由があるんだと思うし、もしかして複雑な家庭の事情? いやいや、それを僕にどうしろと。
あの期待した目。僕が解決しろって——こと?
複雑な家庭の事情を、僕なんかが解決できるわけないじゃないか。いや、まだそうと決まった訳じゃない。とりあえず、一度話を聞いてみよう。
「これ……」
「あ、ありがとう」
卓に出されたのは、マグカップ一杯の白湯。少女は僕の前に座り、その白湯を啜った。
「えっと、どうしたのかな?」
「……」
少女は俯いて黙り込み、しばらくして話を始めた。
少し泣きそうな声をしていて、僕は心配な気持ちになる。
「あのね、お父さんが……うっ、うぅ」
「お、お父さんに、何かあったの?」
「お父さんが……連れて行かれちゃった」
僕は無意識に、ゴクっと喉を鳴らす。
「ど、どうして……?」
「お父さん、借金し『怖い人に』連れて……うっ」
しゃ、借金……!?
少女は泣くのを堪えた様子で、頻りに肩を震わせる。
声にも嗚咽が混じっている。僕は堪らず白湯を啜った。
「うっ、う……ドアを夜に壊そうとする人がいて……怖くて。お昼だったから、お祖父ちゃんが帰って来てくれたって思ってぇ……ううぅ、うっ」
ど、どど、どうすればいいんだ……。
「お、お祖父ちゃんも居なくなっちゃったの?」
「うっ、ううぅう。お祖父ちゃん……死んじゃったからぁっ。天国から、帰って、帰って、来てくれたのかもって。ぅぅぅ……思ってぇ」
うわああああああああああああああああああああああ⁉︎ 僕は堪らず頭を抱えた。
「誰もっぉ、助けてくれなくて。だからぁ、優しい人が、来てくれたと思ってぇっ。だから……」
だから、僕を家に招き入れたのか。助けてほしいって、願って……僕が来たのかっ。
僕が辛い時、慰めてくれた人がいた。ドクン、と鼓動が跳ねる。
僕が困っている時、助けてくれた人がいた!
ドクンっと、さらに強く鼓動が跳ねる。僕には何が出来る? ——ドクンッッッ。
《僕は、優しい人間になりたい……!》
ここで、この女の子を見捨てたら男じゃない。だよね、爺ちゃん!
「僕に出来ることがあるなら、助けたい」
「うぅうぅ……
「僕は困っている時、色んな人に助けてもらった」
「うぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
「僕は君の力になりたい!」
「う、うわあああああああああん!」
少女は僕に抱きつき、僕の服を涙で濡らした。
僕は優しく頭を撫でて、泣き終わるのを待った……。
正直に言うと、家を出ていける雰囲気ではなかった。
僕は『まるで流されたように』少女を助ける事になった。
ついさっき目を覚ました僕は、窓から見える景色を、ボーッと眺めながら、ゆっくりと白い靄が満ちてしまっている頭の中を晴らしていく。
明るい朝日が寝ぼけている僕の目に刺さり、目の奥をググッと刺激してくる。
そうして段々と靄が晴れて頭が冴えていった僕は、今ある問題を思考し始めた。
今の僕には、何一つ武器がない。
ソルフーレンには全然いなかった『魔獣』が、これから先の旅路には多く出てくると思われる。
その場合、僕の自衛手段として武器が必要なのは間違いないだろう。……正直に言おう、僕は『刀』が欲しい。
どういう物なのか僕は全く知らないんだけど、なんかメチャクチャ強そうだし、名前が『カッコいい』からな。
その刀を手に入れようとする場合、大金が必要なはずだ。
近日中に仕事を探して金を稼ぎ、自衛の武器を入手する。
それが今、僕がやるべきことな気がする。
今こうして窓から外を見た感じ、この町はかなり広い。
この街は多分だけど、僕みたいに国境を超えてきた人や、僕とは逆にハザマの国から風の国に行く人が中継地点として利用する『宿場町』のような場所なんだと思う。
チラホラと商人みたいな人達が歩いているし、もしかしたらその中に武器商人がいるかもしれないな。
今日は職探しも兼ねて、町を散策してみよう。
武器商人がいたら、ちょっと話をしてみたいな。
思考を終えた僕は、寝巻きを着替えた後に顔を洗い「行ってきます」と宿から出た。
そして『ぶらぶら』と特に当てもなく町を散策していると、町の中心にある大広場の方が「やいやい!」と活気付いていた。
何だ何だ? と僕が歩いて近づいていくと、そこには沢山の商人と一般人が溢れており、商人達は地面に布を広げ、そこに何やら商品を置いているようだった。
この催しは、所謂『フリーマーケット』と言うやつに違いないだろう。
「いらっしゃい、いらっしゃい!」
「お客さん! こっちの方が安いって!」
「買った買った!」
僕は賑わってるなぁ——と、フリマの中を歩いていく。
そして、とある売り物の前で、ふと立ち止まった。
これは何だ? 小箱に入ってる『土』……? 粘土みたいだけど、これって食べ物なのかな?
「これ、なんですか?」
「ああこれね、これは味噌ってんだ! ウマイいぜ~? 買ってってくれよ! 四十ルーレン! 安いだろ!」
「味噌?」
って、結局なんなんだ?
その『味噌』というものの詳細を聞こうと僕が前のめりになると、商品を売っていたおじさんは、買う気配のない僕のことが邪魔に思ってしまったのか、ぶっきらぼうに言い放つ。
「買わないならあっち行った!」
「は、はいっ」
いやいや、味噌のことくらい教えてくれよ……。
分かんない物を「よく知らないけど買った!」なんて言う人少ないと思うぞ。
まあ、いいさ。今は武器商人を探さないといけないからな。
「ソラくん!」
「あ、マルムットさん!」
声を掛けられた方を見ると、フリマに参加している僕をここまで運んでくれた花商人のマルムットさんがいた。
どうやら、マルムットさんは馬車に積んでいた花を売っているようで、その花は結構売れているっぽく、花を入れていたのだろう空になったバケツが、彼の周りに幾つか置かれている。
商品が商品だからか、品物を見ているのは『お洒落』をしている人達ばかりだった。
この人達は、朝早くから花を買いに来たのだろう。
マルさんが用意した『大きな薔薇の花束』を両手で持っている男性は、鼻息が離れている僕は聞こえてしまうくらい気合が入っている様子だ。あれか、プロポーズってやつなのだろうか? いや、記念日なのかもしれないな。
「ソラくん、ちょっと手伝ってくれませんかね? いやぁ、嬉しいくらい忙しくてですねぇ」
「良いですよ! 何をすれば良いんですか?」
「いやぁありがたい! 頼みたいのはですねぇ、荷台にある花を降ろして持ってきて欲しいのですよ! 売り物なので慎重にお願いしますねぇ! 給金は弾みますから!」
「分かりました!」
僕はマルさんの話に勢いよく頷き、少し離れたところに停めてある馬車の方へ走って向かった。
「ヤッホー、マルムットジュニア、ガール!」
『『ぶるる』』
僕は縄で繋がれている白馬の『マルムットジュニア』達に挨拶をし、商品の花が積まれている荷台に移動する。
在庫を思われる大量の見知った花が入っている水入りバケツを見て、僕は「おー」っと声を出した。
これは全て『風の国』で栽培されたものなのだろう。
えっと、どれを持っていけば良いんだ?
菊——いや、あの男性が沢山買っていたから、ここは薔薇かな。さっきの男の人を見るに、そういうことのはず! よしっ運ぶか!
* * *
「お疲れだよぉ、ソラくん!」
「あ、お疲れ様です! 終わりですかね?」
「残っている『菊』は他の所で売りますから、これで終わりですね」
朝から開催していた町のフリーマーケットは完売御礼で、商品を売っていた人達は設営の後片付けに追われていた。
朝から昼まで沢山いたお客さんは、フリマ終わると同時に、まるで蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった。
それを「うおっ!」と見て驚いた僕は、花を入れていたバケツを片付けた後、他の人達の片付けを手伝った。
「はいっ! これねぇ、お給金ですよ!」
「ありがとうございます!」
「いえいえ!」
僕は一仕事を終えて、大広場から歩いて去っていく。
マルムットさんから報酬として受け取った紙袋の中身を見てみると、結構な額のルーレン硬化が入っていた。
三時間くらい荷下ろしと荷運びをやって、給金はルーレン銅貨四枚——計四百ルーレンだ。
食費と宿泊費を合わせても、余裕で一日は持つ額だ。
これは、とてもありがたいな。
僕は当初の予定通り、武器商人探しを始めた。
今の所持金が大体、一万四千ルーレンくらいだから、これで買える武器を商人に聞いてみないといけないな。
町を散策していると、ここが『宿場町』であるということを身をもって実感することができた。
どうやって実感したかというと、それは町に立ち並ぶ家屋のほとんどが『宿屋』だったからだ。
家の屋根は『瓦屋根?』って言うんだった、ずっしりと重圧感のある作りになっている。壁も『土』で作られている様な質感だ。何というか、家が『重そう』だなと思う。
木の柱も太くてしっかりしているし、隣の国だと言うのに、ここまで家の作りって変わるんだなぁ——って違う違う! 家を見て回ってる場合じゃない、僕は武器商人を探さないといけないんだから!
馬小屋、馬小屋——あった。武器を積んでる馬車は……ここにはないな。よし、別の馬小屋を探そう。
今僕がいるのは町の南側だ。とりあえず、町をぐるりと回ってみることにしようと思う。
馬小屋と武器商人を探しながら移動すること、二時間。
馬小屋をあらかた見て回ったが、結局、目的だった武器商人を見つけることはできなかったので、僕は目的を『武器屋』探しに切り替えて、町を散策していた。
そして入り組んだ路地をフラフラと歩いていると「コソコソ」とした話し声が聞こえてきたので、僕は足を止めた。
「まただってさ、不気味よねぇ」
「ええ~」
なんだ、ただの井戸端会議じゃないか。
そういえば僕が住んでいた村でも、サチおばさん達が、真夏日なのに井戸を囲んで、何時間も「ベラベラ」と話をしていたことがあったな。ちょっと懐かしい……。
国は違っても、こういうのは変わらないんだなぁ。
盗み聞きも悪いし、ここから離れるか——
「また子供がいなくなったらしいのよ~」
——え? 子供がいなくなったって……もしかして事件か何かか?
僕はいつの間にか去ろうとしていた足を向き直し、井戸端会議の内容に聞き耳を立てていた。
「また~?」
「そうなのよ~。あの村やっぱり危ないわよね~」
「呪われてるのかしら~」
全然話が掴めないな。おばちゃん達、もっとハッキリと内容を言ってくれ。
「あ、ご飯作らなきゃ~」
「うちも~」
「またね~」
え、もう終わり⁉︎ まだ何も言ってないじゃん……。
話の核心を突かぬまま井戸端会議は解散してしまい、三人のおばちゃん達は、それぞれ別の道を使って、家に帰って行ってしまった。
「あら、こんにちわ~」
「こ、こんにちわ~」
僕は一人のおばちゃんとすれ違い、汗を掻きながら挨拶を交わす。そして後ろ髪引かれる感覚に見舞われつつ、僕は目的の武器屋探しを再開した。
* * *
「——お!」
井戸端会議を抜けて、一時間が経った頃、金属を叩くような『カーン、カーン』という大きな音が僕の耳に入ってきたので、僕は肩を跳ねさせながら興奮気味に音の鳴る方へ走って向かい、町の中で一際大きな建物の前に到着した。
一階建てのようだが、周りの建物と比べても横に大きな造りになっている。
正面上に掛けられている看板には、目的だった武器屋ではなく『防具屋』と書かれていた。
書いてある通りなら武器屋ではないのは確かだけど、もしかしたら武器を取り扱っている可能性もあるし、僕は好奇心に促されるままに一応覗くことにする。
僕が重厚な両開き扉を押して開けると、カランカランという気持ちの良い音が鳴ったと同時に、凄まじい熱気の波が僕のもとに押し寄せきた。
「うっ……!」
店内は『ムワ~』とした汗の酸っぱい臭い充満してしまっており、鼻の奥側を『ボンッ!』と殴り飛ばすかのような凄まじい臭いに対し、僕は咄嗟に鼻の穴を摘んだ。
どうやらここは鍛冶場に店を併設している様で、屈強な男達が鍛冶をしている様子が店内から丸見えになっていた。
炉の前で屈強な男達が槌を勢いよく振り下ろし、熱されて赤くなった金属を汗を散らしながら鍛えていた。
槌を振り下ろす度に、外以上の耳を劈く爆音が店内に響き渡っているのだが、店内で商品を見ている冒険者らしき人達は特に気にした様子もなく、余裕そうに鎧を吟味していたので、それを見た僕は『さすがだな』と感心した。
僕は息を最小限にしながら陳列された商品を見て歩くが、剣などの武器は一切見当たらなかった。
仕方ないな——と、僕は店番をしている男性に、この店は武器を取り扱っているかという話を聞きに行く。
この爆音だし、声を大きくしないと聞こえなそうだな。
「あの!」
「あ? どうした、坊主!」
「武器って、取り扱ってますか⁉︎」
「ああ? 武器は取り扱ってねえ! 西に行ってみろ! そこに武器屋がある!」
「そうなんですね! ありがとうございます!」
「おう! また来いよ!」
「はいっ!」
僕は教えてもらった武器屋に赴くため、防具屋を出る。
そして西へ進むこと三十分。
途中で昼食を摂りつつ、道行く人に話を聞き、僕はとうとう武器屋に到着した。
建物に取り付けられた看板には『武器屋マイマイ』と書かれているので、ここが武器屋で間違いないだろう。建物は防具屋よりも小さく、全く音がしない……。
建物が小さいと言うより、人家にしか見えないんだよな。
鍛冶場は離れにあるのだろうか?
店をやっているとは雰囲気的に全然思えないけど、もしかして閉店とかしてないよな——という不安を胸の内に抱えつつ、僕は扉に手を掛ける。しかし、扉は押しても引いても『ガチャガチャ』という音を鳴らして動く気配は微塵もなかった。
これは、もしかしなくても『閉まってる』な。
まさかの状況に、僕はガクッと首を折った。ここまで来て、まさかまさかの休店日。僕の二時間は徒労に終わった——かに思われた、その時。 扉の方から、ガチャっと鍵が開いた音がした。
帰り掛けていた僕が『バッ』と振り向くと、ゆっくりと扉が開いていく——
「……誰?」
店から出てきたのは、黒紅色の髪をした一人の少女。
彼女は、店の前に突っ立っている僕を不安気に見つめており、当の僕は、目の前の少女はどう見ても店主じゃないよなぁ——と思いつつ、僕は不安そうな彼女に話しかけた。
「あの、お店の人って居るかな?」
僕の問いに対し、少女は首を横に振った。どうやら、店主は留守のようだ。
「あ、ごめんね。僕は武器が欲しくて来たんだけど、お店の人はいつ帰ってくるのかな?」
「……冒険者?」
理由は不明だが、少女は『何か期待している』様な目をし始めた。一体どうしたのだろうか?
「えっと、冒険者ではないね」
「……武器、欲しいの?」
「うん。魔獣に襲われた時に武器が必要だと思って来たんだ」
「強い……?」
え、なんの質問? ちょっと雲行きが怪しくなってきた気がするんだが。
「僕は……強くはないかな」
「……来て」
「え?」
「家、入って」
「あ、はい……」
どういうことだ——と訳も分からぬまま、僕は少女に促されて家の中に入った。
* * *
家の中は武器屋と呼ばれるだけあって、品数は多くはないけど、剣や槍、大型の斧まで陳列されていた。
家——武器店の中には誰も居らず『しーん』としてしまっている。僕は少女に導かれるまま、リビングの椅子に腰掛けた。少女はお茶を淹れているのか、キッチンで『カチャカチャ』と音を立てている。
家の中には誰も居ない。小さい女の子一人で留守番って、少し不用心じゃないか? 母親とか父親、大人が用心として誰か居るものなんじゃないのかな……。
うーん、でも僕を家に入れたってことは何か理由があるんだと思うし、もしかして複雑な家庭の事情? いやいや、それを僕にどうしろと。
あの期待した目。僕が解決しろって——こと?
複雑な家庭の事情を、僕なんかが解決できるわけないじゃないか。いや、まだそうと決まった訳じゃない。とりあえず、一度話を聞いてみよう。
「これ……」
「あ、ありがとう」
卓に出されたのは、マグカップ一杯の白湯。少女は僕の前に座り、その白湯を啜った。
「えっと、どうしたのかな?」
「……」
少女は俯いて黙り込み、しばらくして話を始めた。
少し泣きそうな声をしていて、僕は心配な気持ちになる。
「あのね、お父さんが……うっ、うぅ」
「お、お父さんに、何かあったの?」
「お父さんが……連れて行かれちゃった」
僕は無意識に、ゴクっと喉を鳴らす。
「ど、どうして……?」
「お父さん、借金し『怖い人に』連れて……うっ」
しゃ、借金……!?
少女は泣くのを堪えた様子で、頻りに肩を震わせる。
声にも嗚咽が混じっている。僕は堪らず白湯を啜った。
「うっ、う……ドアを夜に壊そうとする人がいて……怖くて。お昼だったから、お祖父ちゃんが帰って来てくれたって思ってぇ……ううぅ、うっ」
ど、どど、どうすればいいんだ……。
「お、お祖父ちゃんも居なくなっちゃったの?」
「うっ、ううぅう。お祖父ちゃん……死んじゃったからぁっ。天国から、帰って、帰って、来てくれたのかもって。ぅぅぅ……思ってぇ」
うわああああああああああああああああああああああ⁉︎ 僕は堪らず頭を抱えた。
「誰もっぉ、助けてくれなくて。だからぁ、優しい人が、来てくれたと思ってぇっ。だから……」
だから、僕を家に招き入れたのか。助けてほしいって、願って……僕が来たのかっ。
僕が辛い時、慰めてくれた人がいた。ドクン、と鼓動が跳ねる。
僕が困っている時、助けてくれた人がいた!
ドクンっと、さらに強く鼓動が跳ねる。僕には何が出来る? ——ドクンッッッ。
《僕は、優しい人間になりたい……!》
ここで、この女の子を見捨てたら男じゃない。だよね、爺ちゃん!
「僕に出来ることがあるなら、助けたい」
「うぅうぅ……
「僕は困っている時、色んな人に助けてもらった」
「うぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
「僕は君の力になりたい!」
「う、うわあああああああああん!」
少女は僕に抱きつき、僕の服を涙で濡らした。
僕は優しく頭を撫でて、泣き終わるのを待った……。
正直に言うと、家を出ていける雰囲気ではなかった。
僕は『まるで流されたように』少女を助ける事になった。
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