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坂田真希
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「はぁ…はぁ…」
今にも消え入りそうな吐息。
《とんでもないことをしてしまった…どうしよう…間に合うのかな……》
コンコン
誰かが扉をノックしている
《…!!》
存在を消すかのように静寂を貫く。
心臓の鼓動が聞こえてしまうのではないかというほど鼓動だけが高まっていく。
コンコンコンコン
《………》
「あのー、いるのはわかってるんだよねー。」
《…》
布団にうずくまりガタガタと震えながらも静寂を保とうと必死になる。
「はぁ…めんどくさっ!いるのはわかってるって言ってるじゃんかー。もーこっちから行くよー」
《……!!!》
涙目になりながらガタガタとふるえがピークに。
「じゃあ、返事がないってことで!」
そう言いながら声の主はどこからか大きい鎌を出し思い切り振りかぶる。
その時…
「すいませーん…お取り込み中申し訳ないんですが…一旦お引き取り願えますか…?」
「なんだお前?そこどけよ」
「いやぁ…そういうわけにもいかなくてですね…まだ正式な依頼と決まったわけではないんですが…まぁ…ほぼ正式に依頼になるとは思うので…わたくし株式会社インバリッドのサトルと申します。以後お見知りおきを…」
「…!インバリッド…」
「はい…というわけで…一旦お引き取り願えます…?またわたくしからあなた様に連絡させていただきますので」
「チッ…クソが!おめぇがわかってて契約したんだろーがよ!!」
そう言いながら声の主は姿を消した。
コンコン
「あのー…聞こえてたとは思うのですが、株式会社インバリッドのものです…依頼相談をいただいたので伺ったのですが…開けていただいてもいいでしょうか…」
《………》
「あのー…」
《体がかたまって動けない…早くドアを開けないと…》
「大丈夫ですか?」
「ひゃっ!!!!」
扉の向こうにいたはずの声の主がいつのまにか自身の横にいる気配がする。
思わず体の緊張がとれ、恐る恐る布団から出る。
顔立ちは整っているが、どこかやる気のないような眠そうな目をした青年が目の前に立っている。
「勝手に入ってきてごめんなさい…ただ、ずっと待ちぼうけってわけにもいかないですし…こうしたほうが早かったので」
「あなたは…あの…」
「わたくし、株式会社インバリッドのサトルと申します。依頼相談された坂田真希さんですよね?」
「は、はい…」
「まだ正式に依頼を受けたわけではなかったですが…先程の状況だとやむおえませんでしたのでご了承くださいね」
《…》
「順序がめちゃくちゃにはなってしまいましたが…詳しく依頼内容をお聞かせいただけますか?」
「えっと…あの…」
先程の恐怖の影響か思考がまわらない。
「うーん、その状態だとなかなか先にすすめないので…とりあえずこちらをどうぞ」
そう言ってサトルと名乗る青年はスーツケースからメロンパンを取り出し少女へ渡す。
メロンパンを受け取った少女はキョトンとし、サトルを見つめる。
「まずは一旦リラックスしましょう」
そう言ってやる気ない表情から穏やかな表情へとかわり少女へ微笑む。
安堵から少女の目から涙がこぼれる。
「それを食べたら早速お話をお聞かせください」
「ありがとうございます…!」
そう言って少女はメロンパンをチビチビと食べ始めた。
今にも消え入りそうな吐息。
《とんでもないことをしてしまった…どうしよう…間に合うのかな……》
コンコン
誰かが扉をノックしている
《…!!》
存在を消すかのように静寂を貫く。
心臓の鼓動が聞こえてしまうのではないかというほど鼓動だけが高まっていく。
コンコンコンコン
《………》
「あのー、いるのはわかってるんだよねー。」
《…》
布団にうずくまりガタガタと震えながらも静寂を保とうと必死になる。
「はぁ…めんどくさっ!いるのはわかってるって言ってるじゃんかー。もーこっちから行くよー」
《……!!!》
涙目になりながらガタガタとふるえがピークに。
「じゃあ、返事がないってことで!」
そう言いながら声の主はどこからか大きい鎌を出し思い切り振りかぶる。
その時…
「すいませーん…お取り込み中申し訳ないんですが…一旦お引き取り願えますか…?」
「なんだお前?そこどけよ」
「いやぁ…そういうわけにもいかなくてですね…まだ正式な依頼と決まったわけではないんですが…まぁ…ほぼ正式に依頼になるとは思うので…わたくし株式会社インバリッドのサトルと申します。以後お見知りおきを…」
「…!インバリッド…」
「はい…というわけで…一旦お引き取り願えます…?またわたくしからあなた様に連絡させていただきますので」
「チッ…クソが!おめぇがわかってて契約したんだろーがよ!!」
そう言いながら声の主は姿を消した。
コンコン
「あのー…聞こえてたとは思うのですが、株式会社インバリッドのものです…依頼相談をいただいたので伺ったのですが…開けていただいてもいいでしょうか…」
《………》
「あのー…」
《体がかたまって動けない…早くドアを開けないと…》
「大丈夫ですか?」
「ひゃっ!!!!」
扉の向こうにいたはずの声の主がいつのまにか自身の横にいる気配がする。
思わず体の緊張がとれ、恐る恐る布団から出る。
顔立ちは整っているが、どこかやる気のないような眠そうな目をした青年が目の前に立っている。
「勝手に入ってきてごめんなさい…ただ、ずっと待ちぼうけってわけにもいかないですし…こうしたほうが早かったので」
「あなたは…あの…」
「わたくし、株式会社インバリッドのサトルと申します。依頼相談された坂田真希さんですよね?」
「は、はい…」
「まだ正式に依頼を受けたわけではなかったですが…先程の状況だとやむおえませんでしたのでご了承くださいね」
《…》
「順序がめちゃくちゃにはなってしまいましたが…詳しく依頼内容をお聞かせいただけますか?」
「えっと…あの…」
先程の恐怖の影響か思考がまわらない。
「うーん、その状態だとなかなか先にすすめないので…とりあえずこちらをどうぞ」
そう言ってサトルと名乗る青年はスーツケースからメロンパンを取り出し少女へ渡す。
メロンパンを受け取った少女はキョトンとし、サトルを見つめる。
「まずは一旦リラックスしましょう」
そう言ってやる気ない表情から穏やかな表情へとかわり少女へ微笑む。
安堵から少女の目から涙がこぼれる。
「それを食べたら早速お話をお聞かせください」
「ありがとうございます…!」
そう言って少女はメロンパンをチビチビと食べ始めた。
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