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第3章 同盟
ギルド作戦 後編
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計画の通りに開始をしたライブは大盛況だった。
種村雪菜の歌に合わせて俺はペンライトを振るう。それらに合わせて全員が事前に作っていたペンライトをもって自分に合わせて振ってくれていた。
サビの場所では激しく俺はペンライトを振るい盛り上げる。
ギルドに心地の良い一体感が生まれた瞬間だった。
大体の曲が終演に近づいてみんなが疲労した顔をしながらも笑顔を見せていた。
「なんだか、とんでもなく興奮したぞ」
「こんなに体が熱くなるのは何年ぶりだ」
生気のなかった顔つきをしていた冒険者たちに活気があふれていく。
俺はすかさずその様子を見た後にこの高揚感を与えた立役者へと手を差し出した。
「お疲れさまでした」
まるでお姫様を出迎える王子のごとく手をだして彼女を舞台から降ろす。
俺は彼女を連れて下に降りていくとバーカウンターの奥へと行く。
バーカウンターの奥はちょうど、キッチンとかある料理場。
その隅っこに大きな箱が3ケース存在した。
その箱を開ける。
そこには紫色の液体入りのボトルが20本収納されている。
それは用意していたもので、1本を引っ張り出す。
「それって……」
「まぁ、ライブの後って言ったら打ち上げってやつですよ。そのためにこれは作っておきましたから」
グラスっぽい容器の中にとぼとぼと注ぐ紫色の液体。
俺は一口飲んで、口の中に渋さと甘さが満ちるような独特な味わいが口の中で風味を広げていく。
かすかに来るアルコール成分。
「まぁまぁかな」
横から妙な視線を感じて俺はそちらを見れば喉を鳴らす雪菜さんの姿があった。
「試しに飲んでみる?」
「べ、別に飲みたいなんて言ってないわよ」
「いえ、あくまで皆さんに提供するものなんで。できるなら、飲んでくれると助かるんだよ」
「それなら、少しだけ」
彼女は一口飲む前に香りを楽しむように鼻を近づけて顔を顰めた。
「あまりいい香りとは言えないわね」
「まぁ、即席で作ったものですから」
彼女はそういうと容器をくるっと回して口先に液体を触れて嚥下する。
「まぁまぁね。でも、あそこの人にこの味を知らせるなら無難じゃない?」
「そう言ってくれると助かるよ。さあてと」
俺はさっそくギルドの受付であるカウンターのマスターを呼んだ。
「コイツは?」
「ワインってやつです。さっそく一つどうですか?」
「わいん? 聞いたこともないが……」
マスターは一口飲むと顔を顰めたが、さすがは大人。
顔をほころばせながら言葉を零す。
「面白い味だ。なんとも独特だが何か東の山地にあるようなしょっぱいものが欲しくなるような感じだ」
「口にあったようでよかったです。さっそくですが、今からコイツを冒険者たちに提供します。協力できますか?」
「最初からそこは了承しておる。君たちにはこの町を救ってもらった恩義があるからな」
「ありがとうございます。じゃあ、まずはさっそくカウンターに座っている例の二人からお願いします」
「わかった」
マスターはさっそくボトルの中身を手際よく容器の中に注ぎ、それらをカウンター席に座っている、俺らの協力者のノエラさんとルーザとローズの二人へもっていった。
俺は裏手から顔をのぞかせながらノエラさんと目配せをして頷く。
「コイツはなんですか?」
「勇者様からの例の提供物です」
「これがそうだっていうのですか!」
隣にいたルーザが便乗するようにそれを一口飲んだ。
「ハハァ! こいつぁ、面白れぇあじだ! なんだか気分が高まるぜぇええ! さすがは勇者の作った代物だってやつだなぁ!」
隣のローズも姉が飲んだならと飲んで、珍しく声を発する。
「これ好き」
「おい! 聴いたか! アタイの妹は滅多にしゃべらねぇんだ! それを喋らせた代物だぞ! おい! マスターコイツをもっとくれよ!」
ついにはそこへとジルが乗ってくる。
「へぇー、気になるねぇ。アタシにもよこしてくれるかいマスター」
「ええ、勇者様がぜひとも皆様に用意したものですからお配りします。お待ちください」
全員に随時配っていき各々が俺の自家製のワインに上機嫌な評価をしていく。
高揚のあった効果は上々でまた飲みたいという人たちが続出する。
「おい、お前ら。どうやら口にして気分良いみたいだな!口にあって何よりだ。だけど、コイツももっと飲みてぇって思うならまずは約束が先だ!」
俺の言葉に全員がしかめっ面をする。
「約束ってぇのはあれか、勇者様。例のお手伝いってやつかよ」
合図をあわせたようにジルが威圧的態度の発言をとる。
これも計画のウチ。
「その通りだ。これを今後もこの時間この場所限定でこのワインは提供する予定でもいる。だけど、その手伝いが無ければしない。どうだ? 悪い話じゃないんじゃないか」
その言葉に全員が渋った顔もしながらもジルは先導をとる。
「わりぃ話じゃないな。しかも、特じゃないか。おもしれぇ、いいぜ。アタシは乗った!」
すると、徐々にギルドの全員が乗り始めた。
「手伝いだけならアタイらにだってできるしなぁ。第一、食料調達だってしたっていいぜ」
ルーザの言葉に他の冒険者もやる気を口にした。
「ありがとう! じゃあ、みんなにさらにワインを提供しよう! だけど、コイツはあくまで毒にもなる代物だ。だから、気分が悪くなることもある。その場合は飲むのを注意しろ」
「おいおい、毒って怖いじゃねぇの」
「そうだな。でも、これはウソじゃない。だから、注意も必要なほどに重要な飲み物だってことだ」
「まぁ、水を飲めば解消されるんだろ?」
「ああ」
「なら、今日は盛り上がるってわけか。ここまで気分が良いのは久方ぶりだぜ」
その日、ギルドは大盛り上がりになった。
途中で、俺はジルが消えていたのを後々に知る。
見事俺の作戦はうまくいったのだった。
種村雪菜の歌に合わせて俺はペンライトを振るう。それらに合わせて全員が事前に作っていたペンライトをもって自分に合わせて振ってくれていた。
サビの場所では激しく俺はペンライトを振るい盛り上げる。
ギルドに心地の良い一体感が生まれた瞬間だった。
大体の曲が終演に近づいてみんなが疲労した顔をしながらも笑顔を見せていた。
「なんだか、とんでもなく興奮したぞ」
「こんなに体が熱くなるのは何年ぶりだ」
生気のなかった顔つきをしていた冒険者たちに活気があふれていく。
俺はすかさずその様子を見た後にこの高揚感を与えた立役者へと手を差し出した。
「お疲れさまでした」
まるでお姫様を出迎える王子のごとく手をだして彼女を舞台から降ろす。
俺は彼女を連れて下に降りていくとバーカウンターの奥へと行く。
バーカウンターの奥はちょうど、キッチンとかある料理場。
その隅っこに大きな箱が3ケース存在した。
その箱を開ける。
そこには紫色の液体入りのボトルが20本収納されている。
それは用意していたもので、1本を引っ張り出す。
「それって……」
「まぁ、ライブの後って言ったら打ち上げってやつですよ。そのためにこれは作っておきましたから」
グラスっぽい容器の中にとぼとぼと注ぐ紫色の液体。
俺は一口飲んで、口の中に渋さと甘さが満ちるような独特な味わいが口の中で風味を広げていく。
かすかに来るアルコール成分。
「まぁまぁかな」
横から妙な視線を感じて俺はそちらを見れば喉を鳴らす雪菜さんの姿があった。
「試しに飲んでみる?」
「べ、別に飲みたいなんて言ってないわよ」
「いえ、あくまで皆さんに提供するものなんで。できるなら、飲んでくれると助かるんだよ」
「それなら、少しだけ」
彼女は一口飲む前に香りを楽しむように鼻を近づけて顔を顰めた。
「あまりいい香りとは言えないわね」
「まぁ、即席で作ったものですから」
彼女はそういうと容器をくるっと回して口先に液体を触れて嚥下する。
「まぁまぁね。でも、あそこの人にこの味を知らせるなら無難じゃない?」
「そう言ってくれると助かるよ。さあてと」
俺はさっそくギルドの受付であるカウンターのマスターを呼んだ。
「コイツは?」
「ワインってやつです。さっそく一つどうですか?」
「わいん? 聞いたこともないが……」
マスターは一口飲むと顔を顰めたが、さすがは大人。
顔をほころばせながら言葉を零す。
「面白い味だ。なんとも独特だが何か東の山地にあるようなしょっぱいものが欲しくなるような感じだ」
「口にあったようでよかったです。さっそくですが、今からコイツを冒険者たちに提供します。協力できますか?」
「最初からそこは了承しておる。君たちにはこの町を救ってもらった恩義があるからな」
「ありがとうございます。じゃあ、まずはさっそくカウンターに座っている例の二人からお願いします」
「わかった」
マスターはさっそくボトルの中身を手際よく容器の中に注ぎ、それらをカウンター席に座っている、俺らの協力者のノエラさんとルーザとローズの二人へもっていった。
俺は裏手から顔をのぞかせながらノエラさんと目配せをして頷く。
「コイツはなんですか?」
「勇者様からの例の提供物です」
「これがそうだっていうのですか!」
隣にいたルーザが便乗するようにそれを一口飲んだ。
「ハハァ! こいつぁ、面白れぇあじだ! なんだか気分が高まるぜぇええ! さすがは勇者の作った代物だってやつだなぁ!」
隣のローズも姉が飲んだならと飲んで、珍しく声を発する。
「これ好き」
「おい! 聴いたか! アタイの妹は滅多にしゃべらねぇんだ! それを喋らせた代物だぞ! おい! マスターコイツをもっとくれよ!」
ついにはそこへとジルが乗ってくる。
「へぇー、気になるねぇ。アタシにもよこしてくれるかいマスター」
「ええ、勇者様がぜひとも皆様に用意したものですからお配りします。お待ちください」
全員に随時配っていき各々が俺の自家製のワインに上機嫌な評価をしていく。
高揚のあった効果は上々でまた飲みたいという人たちが続出する。
「おい、お前ら。どうやら口にして気分良いみたいだな!口にあって何よりだ。だけど、コイツももっと飲みてぇって思うならまずは約束が先だ!」
俺の言葉に全員がしかめっ面をする。
「約束ってぇのはあれか、勇者様。例のお手伝いってやつかよ」
合図をあわせたようにジルが威圧的態度の発言をとる。
これも計画のウチ。
「その通りだ。これを今後もこの時間この場所限定でこのワインは提供する予定でもいる。だけど、その手伝いが無ければしない。どうだ? 悪い話じゃないんじゃないか」
その言葉に全員が渋った顔もしながらもジルは先導をとる。
「わりぃ話じゃないな。しかも、特じゃないか。おもしれぇ、いいぜ。アタシは乗った!」
すると、徐々にギルドの全員が乗り始めた。
「手伝いだけならアタイらにだってできるしなぁ。第一、食料調達だってしたっていいぜ」
ルーザの言葉に他の冒険者もやる気を口にした。
「ありがとう! じゃあ、みんなにさらにワインを提供しよう! だけど、コイツはあくまで毒にもなる代物だ。だから、気分が悪くなることもある。その場合は飲むのを注意しろ」
「おいおい、毒って怖いじゃねぇの」
「そうだな。でも、これはウソじゃない。だから、注意も必要なほどに重要な飲み物だってことだ」
「まぁ、水を飲めば解消されるんだろ?」
「ああ」
「なら、今日は盛り上がるってわけか。ここまで気分が良いのは久方ぶりだぜ」
その日、ギルドは大盛り上がりになった。
途中で、俺はジルが消えていたのを後々に知る。
見事俺の作戦はうまくいったのだった。
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