41 / 45
第3章 同盟
玉座の裁判
しおりを挟む
脂汗を額に浮かべながら俺は玉座の間で王女と騎士団長のノエラさん、雪菜さんと一緒に一人の女を囲んで鎮座していた。
その女とは件の医療室で侍女を襲った俺の奴隷としていたジルだ。
「ジル、どうしてあんなことをしたのかもう一度説明をしろ」
「だぁかぁらぁ、何度も言ってんだろう。アタシは襲われたから逆に自衛の行動権で彼女から生気を吸い取ったにすぎないってんだ。第一殺していなかっただろう」
「いい加減にしなさいませ! いくら殺していなくともあなたは我が国の侍女を一人怪我をさせたというんですわよ! それに、あなたを信じて彼女を奴隷にしましたけどこのような行動をしては彼女を殺すしかありませんわよ勇者トウ」
「怒る気持ちもわかるけど待ってくれ。ジルだって襲われたって話もあるし」
「嘘の可能性が大ですわ」
さながら裁判でも起こってるかのような状況。
王女のその言葉には賛同するように雪菜さんとノエラさんも大きく頷いた。
彼女を未だに必死で擁護しようとしているのはこの場にいる俺だけである。
そもそも、俺だって擁護なんてもうしたくないって気持ちもあるがこの先のことを考えればどうにかして彼女の身の安全を守ることもある。
「確かに彼女が嘘を言っている可能性大だ。だけど、彼女は奴隷だ。だから、俺に対してはウソは言えない」
「それはそうですわね」
「ジル、さっきのことは真実なんだな?」
「そうだっていってんだろ」
ジルに施された隷属魔法が発動を示さないとことをみてそれが真実だという証明はなされた。
「だったら、なぜ侍女がジルを襲うのであろう? 彼女が何かをしたからではないのか?」
最もな疑問をノエラさんが追求した。
それに対してジルは小ばかにした笑いで答え始める。
「そりゃぁ、あの侍女ってのがアタシを消しに来た刺客だからに決まってんだろうがぁ」
「馬鹿を言いますわね。我が国の王城に刺客などいませんわ」
「ハッ、どっからその自信があるんだか。あの女は魔王の兵士の一人に違いねぇっての。アタシを雇ったあの魔王の幹部だかに雇われた傭兵ってところだろうぜ」
「王女様、今倒れた侍女はどこにいるんですか?」
「医療室で眠っていますわ」
「だったら、今すぐ彼女のことを確認しに行ってください」
「なぜですの? まさか、彼女の話を勇者ともあろう人がまだ信じているんですの!? 彼女はあなたを最初に殺そうとした女でもあるんですわよ」
俺は飽きれたような視線を向けられながらも意志は絶対に曲げなかった。
その場から離れて医療室に行こうとするその先を雪菜さんがふさいだ。
「何を考えてそこまで彼女を信用して擁護しようとしているの? あなたは本気でその女を擁護したいわけでもないんでしょ。私は信じてるわよ」
「雪菜さん……」
彼女の真摯な瞳に俺は胸を締め付けられた。
「あなたの言うとおりです。俺だってこんな女に守る価値なんかないってわかっています」
「だったら、なぜそうまでしてやるのか説明をして!」
「………」
周囲の視線に当てられて俺はあきらめたように吐息を零した。
「わかりました。でも、このことは露呈する恐れがあると考えてずっと口を閉ざしていましたしノエラさんには一部は語っております。でも、全部はまだです」
「いいから、話をして」
彼女に勧められるままに俺はこれから起こそうとする作戦を語った。
その女とは件の医療室で侍女を襲った俺の奴隷としていたジルだ。
「ジル、どうしてあんなことをしたのかもう一度説明をしろ」
「だぁかぁらぁ、何度も言ってんだろう。アタシは襲われたから逆に自衛の行動権で彼女から生気を吸い取ったにすぎないってんだ。第一殺していなかっただろう」
「いい加減にしなさいませ! いくら殺していなくともあなたは我が国の侍女を一人怪我をさせたというんですわよ! それに、あなたを信じて彼女を奴隷にしましたけどこのような行動をしては彼女を殺すしかありませんわよ勇者トウ」
「怒る気持ちもわかるけど待ってくれ。ジルだって襲われたって話もあるし」
「嘘の可能性が大ですわ」
さながら裁判でも起こってるかのような状況。
王女のその言葉には賛同するように雪菜さんとノエラさんも大きく頷いた。
彼女を未だに必死で擁護しようとしているのはこの場にいる俺だけである。
そもそも、俺だって擁護なんてもうしたくないって気持ちもあるがこの先のことを考えればどうにかして彼女の身の安全を守ることもある。
「確かに彼女が嘘を言っている可能性大だ。だけど、彼女は奴隷だ。だから、俺に対してはウソは言えない」
「それはそうですわね」
「ジル、さっきのことは真実なんだな?」
「そうだっていってんだろ」
ジルに施された隷属魔法が発動を示さないとことをみてそれが真実だという証明はなされた。
「だったら、なぜ侍女がジルを襲うのであろう? 彼女が何かをしたからではないのか?」
最もな疑問をノエラさんが追求した。
それに対してジルは小ばかにした笑いで答え始める。
「そりゃぁ、あの侍女ってのがアタシを消しに来た刺客だからに決まってんだろうがぁ」
「馬鹿を言いますわね。我が国の王城に刺客などいませんわ」
「ハッ、どっからその自信があるんだか。あの女は魔王の兵士の一人に違いねぇっての。アタシを雇ったあの魔王の幹部だかに雇われた傭兵ってところだろうぜ」
「王女様、今倒れた侍女はどこにいるんですか?」
「医療室で眠っていますわ」
「だったら、今すぐ彼女のことを確認しに行ってください」
「なぜですの? まさか、彼女の話を勇者ともあろう人がまだ信じているんですの!? 彼女はあなたを最初に殺そうとした女でもあるんですわよ」
俺は飽きれたような視線を向けられながらも意志は絶対に曲げなかった。
その場から離れて医療室に行こうとするその先を雪菜さんがふさいだ。
「何を考えてそこまで彼女を信用して擁護しようとしているの? あなたは本気でその女を擁護したいわけでもないんでしょ。私は信じてるわよ」
「雪菜さん……」
彼女の真摯な瞳に俺は胸を締め付けられた。
「あなたの言うとおりです。俺だってこんな女に守る価値なんかないってわかっています」
「だったら、なぜそうまでしてやるのか説明をして!」
「………」
周囲の視線に当てられて俺はあきらめたように吐息を零した。
「わかりました。でも、このことは露呈する恐れがあると考えてずっと口を閉ざしていましたしノエラさんには一部は語っております。でも、全部はまだです」
「いいから、話をして」
彼女に勧められるままに俺はこれから起こそうとする作戦を語った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる