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第3章 同盟
明日のための厨房 前編
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厨房につくと俺は種村さんにお願いごとを頼むことにした。
「え、私が一人で?」
「ああ、無理を承知だけどそこを頼むよ」
「でも、配給の係はどうするの?」
「それは彼女にお願いを考えています」
種村さんと一緒についてきてくれた騎士団長のノエラさんの存在。
彼女は重々承知しているというように頷いた。
「私の知らないところで話を進めるのはやめてくれない?」
「すみません。でも、これもなるべく情報を漏洩させないためと考えてほしいとしか」
「はぁ、わかってるわよ。わかってる」
ちょっと不満ありげな面持ちで彼女は頷いて承諾した。
「じゃあ、さっそく私たちは昼休みのほうにかかればいいのね?」
「そうですね。雪菜さんは料理ってできますか?」
「馬鹿にしないで。これでも一人暮らしはしていたの。料理はしていたわ」
「それなら、明日の昼休み用のカレースープをお願いできますか? 材料は教えますから」
「それはいいけど、私に頼まずとも料理人に頼めばいいんじゃない?」
「ここの料理人にはここの飯を見てわかる通り調理技術が足りていないどころか知識がない。だから、こういうのも申し訳ないんですがカレースープを種村さんが作ってそれを騎士団長と料理人に教えてあげると」
「そんな面倒なこと押し付けて……それって何か意味あるの? もしかして、自分が手を離せないから押し付けるって事じゃ……」
「もちろん、それも一つ」
「ちょっと!」
「いやいや、勘違いをしないで。一つです。大元は違う。ここの人たちは勇者への信仰心が強い。だから、その中でも雪菜さんに目を奪われた民草は多いと思っている」
俺はカレースープの材料をキッチン台に用意しながら説明をする。
あらゆる食材を出し終えて、彼女に任せる魂胆たる理由を述べた。
「それは一つの魅力になっているからこそ、あなたの手で作ったものというのは一つのブランドになるんです」
「えっと、つまりは私の手作り料理で魅了しろってこと?」
「そうです! 女性の手作りってのは何よりもうれしいものです! 特にあこがれの対象から授かるものほどうれしいものはない!」
「とんでもない偏見と断言ね」
「いいえ、これは芯に的を射ていると自負している」
雪菜さんは頭痛でも患ったのか頭を抑える。
「とんでもない理論だけど、まぁわからないでもないわ」
「じゃあ……」
「やってあげる。けど、あなたが今からしていることもしっかりと全部教えて」
「わかりました。それじゃあ、その前にノエラさん、そこの奴隷を外に出してください」
俺は即座に情報漏えいの対策として奴隷を外へと出すようにノエラさんへとお願いをした。
だが、これに猛反発をしたのはやはりジルだ。
「おいおい、勇者ぁ。アタシはアンタの奴隷になったんだぜ。そのアタシを信用しないってのかい?」
「いくら奴隷で、魔法に縛られていようとおまえにはまだ信用性ってものが足りていないんだよ。奴隷なら素直に主人のいうことを聞け。命令だ」
「チッ、わぁったよ。命令って言われたら従うしかないか」
隷属魔法で彼女に『命令』の一言を言うと自ずということを聞かざる得なくなる。
ジルは素直にその『命令』に従ってノエラと共に退室する。
「それで? どうするの?」
俺は作戦を説明した。
彼女は暫くしてから、納得いった様子で「わかった」という。
「確かにジルさんとかの傭兵の助けは欲しいところだし、そのブツを作るとして本当に効果はあるの?」
「闇ギルドに入ったときにまず第一に彼らの手には水しかなかった。そこからこの世界の食の事情を推察するにないというのが濃厚に考えられるのでそれをつくって提供し、アイドルの美声で行けば完璧」
「そう、うまくいくの?」
「勇者の力を信じます。それにファンタジー世界はご都合主義が多いですから」
「そんなご都合主義もいつまで続くかわからないわよ」
「わかってる。だけど、これに賭ける」
「了解」
彼女は頷きながらキッチン台にある食材に目を通す。
「なるほど、これらがカレースープを作れる材料になるのね。スパイスとかはこの小瓶の奴?」
「そうです。それらをうまく調合すればできるので」
「敬語になってる」
「あ、すまん」
「……ふふっ、まったく」
かわいらしいふとした笑みにおもわずどきりと胸が高鳴る。
マジのアイドルとキッチンで立ってるという絵面におもわず感動が今更ながらに込み上げた。
「ちょっと、どうしたの!?」
「いえ、少し感動して。アイドルとこうしてキッチンに一緒に立てる日が来るとは」
「いや、こんなことで感動しないでよ。もっとすごいこと経験したじゃない」
「そうだけど……」
「まったく、さっさと始めよう」
「はい」
さっそくカレースープの調理法を伝授し始め、そして明日のための作戦の調理をも開始した。
「え、私が一人で?」
「ああ、無理を承知だけどそこを頼むよ」
「でも、配給の係はどうするの?」
「それは彼女にお願いを考えています」
種村さんと一緒についてきてくれた騎士団長のノエラさんの存在。
彼女は重々承知しているというように頷いた。
「私の知らないところで話を進めるのはやめてくれない?」
「すみません。でも、これもなるべく情報を漏洩させないためと考えてほしいとしか」
「はぁ、わかってるわよ。わかってる」
ちょっと不満ありげな面持ちで彼女は頷いて承諾した。
「じゃあ、さっそく私たちは昼休みのほうにかかればいいのね?」
「そうですね。雪菜さんは料理ってできますか?」
「馬鹿にしないで。これでも一人暮らしはしていたの。料理はしていたわ」
「それなら、明日の昼休み用のカレースープをお願いできますか? 材料は教えますから」
「それはいいけど、私に頼まずとも料理人に頼めばいいんじゃない?」
「ここの料理人にはここの飯を見てわかる通り調理技術が足りていないどころか知識がない。だから、こういうのも申し訳ないんですがカレースープを種村さんが作ってそれを騎士団長と料理人に教えてあげると」
「そんな面倒なこと押し付けて……それって何か意味あるの? もしかして、自分が手を離せないから押し付けるって事じゃ……」
「もちろん、それも一つ」
「ちょっと!」
「いやいや、勘違いをしないで。一つです。大元は違う。ここの人たちは勇者への信仰心が強い。だから、その中でも雪菜さんに目を奪われた民草は多いと思っている」
俺はカレースープの材料をキッチン台に用意しながら説明をする。
あらゆる食材を出し終えて、彼女に任せる魂胆たる理由を述べた。
「それは一つの魅力になっているからこそ、あなたの手で作ったものというのは一つのブランドになるんです」
「えっと、つまりは私の手作り料理で魅了しろってこと?」
「そうです! 女性の手作りってのは何よりもうれしいものです! 特にあこがれの対象から授かるものほどうれしいものはない!」
「とんでもない偏見と断言ね」
「いいえ、これは芯に的を射ていると自負している」
雪菜さんは頭痛でも患ったのか頭を抑える。
「とんでもない理論だけど、まぁわからないでもないわ」
「じゃあ……」
「やってあげる。けど、あなたが今からしていることもしっかりと全部教えて」
「わかりました。それじゃあ、その前にノエラさん、そこの奴隷を外に出してください」
俺は即座に情報漏えいの対策として奴隷を外へと出すようにノエラさんへとお願いをした。
だが、これに猛反発をしたのはやはりジルだ。
「おいおい、勇者ぁ。アタシはアンタの奴隷になったんだぜ。そのアタシを信用しないってのかい?」
「いくら奴隷で、魔法に縛られていようとおまえにはまだ信用性ってものが足りていないんだよ。奴隷なら素直に主人のいうことを聞け。命令だ」
「チッ、わぁったよ。命令って言われたら従うしかないか」
隷属魔法で彼女に『命令』の一言を言うと自ずということを聞かざる得なくなる。
ジルは素直にその『命令』に従ってノエラと共に退室する。
「それで? どうするの?」
俺は作戦を説明した。
彼女は暫くしてから、納得いった様子で「わかった」という。
「確かにジルさんとかの傭兵の助けは欲しいところだし、そのブツを作るとして本当に効果はあるの?」
「闇ギルドに入ったときにまず第一に彼らの手には水しかなかった。そこからこの世界の食の事情を推察するにないというのが濃厚に考えられるのでそれをつくって提供し、アイドルの美声で行けば完璧」
「そう、うまくいくの?」
「勇者の力を信じます。それにファンタジー世界はご都合主義が多いですから」
「そんなご都合主義もいつまで続くかわからないわよ」
「わかってる。だけど、これに賭ける」
「了解」
彼女は頷きながらキッチン台にある食材に目を通す。
「なるほど、これらがカレースープを作れる材料になるのね。スパイスとかはこの小瓶の奴?」
「そうです。それらをうまく調合すればできるので」
「敬語になってる」
「あ、すまん」
「……ふふっ、まったく」
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「ちょっと、どうしたの!?」
「いえ、少し感動して。アイドルとこうしてキッチンに一緒に立てる日が来るとは」
「いや、こんなことで感動しないでよ。もっとすごいこと経験したじゃない」
「そうだけど……」
「まったく、さっさと始めよう」
「はい」
さっそくカレースープの調理法を伝授し始め、そして明日のための作戦の調理をも開始した。
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