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第2章 最初の開拓
同盟国交渉案 前編
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急ぎ足で王城の廊下を突き進む。
その道中に王城内にいる兵士や士官などの目が自分に向けられていたのは十分理解していた。
瞳に宿るのは哀れみ。
ここの王城の住まう人々が向ける他人への目はそればかりだと今更ながらに気付いた。
(民へと向けていたのもコイツらは自らは安全圏にいるとわかってるから哀れみを向けた行動だったわけか)
虫唾が走るほどに嫌気がさす。
怒り任せに発言をすれば今度こそすべてが台無しになるのをわかっていた。
怒りを抑えて、玉座の間に繋がる扉の前に立ち、一呼吸つきその取っ手に触れた。
軋む音が響く。
ゆっくりと明けて中に堂々と入ると高位士官たちの蔑む目が向けられた。
構わず進んでいくと騎士たちがその行く手を阻む。
「勇者様、いくらあなた様でも無断の謁見の行動は避けていただきたい! 今は重要な皇族会議中でして」
玉座の間に先ほどまでなかったはずのものが存在しているのが見られた。
円卓だ。
その円卓を囲うように座る高位士官と王女が座っている。
「いいのですわ。彼を通してくださいませ」
「殿下、これは皇族でない異界の勇者が関わってはならぬ案件で――」
「いいえ、彼はこれに関わる話ではないものをしたいと思いますわ。そうでしょう?」
彼女の目が何かを悟りきった眼差しを向けていた。
俺は深呼吸をして騎士の間を通り抜ける。
「会議なんかに興味はないのはごもっともだよ。何の話をしてようが俺たち勇者をどうやって戦いに身を通させる計画を算段しようがご勝手にしろ。そんなのにはこっちは動かされない」
「ええ、わかっていますわ。それに今の議題は復興と他国への今後の対応作戦をどうするかという議題でしたわ」
「他国か……。なぁ、王女様この世界に国は幾つ存在しているんだ?」
俺はもう彼女へと敬意の欠片もない発言をする。
それに高位士官たちの怒りに触れて騎士への処罰の命令を下すが――
「黙りなさい!」
王女の一喝で周囲が沈み、静寂へと包まれた。
「すみません、ここの者たちの経緯が駆けているようでして」
「はぁ。つくづく、王女がお前のような人柄の優しい人で良かったと思うよ」
「あら、あなたを陥れましたのに?」
「確かに腹は立つさ。でも、国を思っての行動だろ?」
「ええ」
真摯な目を向けられると俺もそれ以上の怒りは抑える。
「殿下、不躾ながらこの勇者の口などこれ以上聞いてはなりませぬ! 先の話にしても本日行われた奇妙な行動にしても世界を混乱に落としいれる!」
「黙りなさい、クレアス宰相」
青髪のカールヘアーをした美女の宰相らしき人は王女に窘められ沈黙をした。
一番、俺に対してあたりがキツイ人物。
宰相であるという役職ならば納得のいく。
「すみません、彼女も王国を思い、私の尊敬を憂いているのですわ」
「それが女王の存在ってやつなのはゲームやアニメでなんとなくわかってるから別に気しないさ」
「?」
「あー、こっちの話だ。それより、本題だ」
一つ咳払いをして周囲を見る。
「もう一度、例の件を考えてほしい」
「それはあの珍妙な食べ物を配給することですわね?」
「ああ。あとそれだけじゃない。ステージの一件もだ」
「そういえば、そんな話をしていましたわね」
「していたんじゃなく、元はそれが本命だ。元々は闇ギルドの場所をライブのステージ場所にする作戦の上でカレースープを提供する案だ。けど、この国の資金が足りないからこの国の配給として踏まえて、食の偉大さを認知させ、他国への情報も少し流して資金交渉を考えていた策案をカレースープの配給をストップされてすべて台無しさ」
「そこまで考えていたのですわね」
最初からすべてを考えた策案だったのにあの発言と勇者召喚の真相がすべてをうやむやになった。
本質を尋問し口を割らせてしまったオレ自身の自業自得ともいえる。
「考えていたんだよ。だからこそ、もう一度この作戦案を考え直してくれ」
「勇者様、それは何度も言うように――」
「契約……」
「はい?」
「契約しただろう」
「…………しかし、契約を放棄したからと言ってこちらに非はありません」
「そうだな。だったら、こちらにも考えがあるさ」
王女の騎士たちが構えたが、最初から何もこの場ではするつもりはなかった。
代わりに王女たちへと背中を向ける。
「イスア国以外に国があるとするならば俺は勇者として他国へと出向くまでだ。この足で」
『っ』
その場にいる全員が唖然となり、王女が即座に席を立った。
「何を馬鹿なことを言うんですの! そのようなことをしたらどうなるか!」
「その国が強大な発展国へとなるだけだ」
「いいえ、それだけではありませんわ! 下手したらイスア国が滅んで――」
「そうなるかもな」
その発言は全員を敵に回すものだとわかっていた。
だけれど、こうでもしないと動かないと思ったのだ。
「俺は何も間違えていないと思うぞ。大体、この世界に勝手に呼び出して俺らを傀儡のように扱ったのはお前らだ。だったら、こっちだってこの国を利用することが許される」
それに高位士官たちの反論が飛び交った。
「黙れよ、あんたらに利用されてこっちは酷い経験をした。人間はな都合のいい人形じゃないんだよ。おかげで傷ついたんだぞあの人は!」
「それは謝りますわ……」
「ああ、謝るか……あはは。その誠意での契約者だったんじゃないのか?」
「…………」
「俺らの意思を尊重して活動を自由にする。この国での活動を自由にする許可をいただいたと俺は受け取った。だけど、それが反故になったんだったらこの国を出てどうにか生活するまでだ」
「そのようなことできるはずもありませんわ! 勇者様はこの世界を何もご存じありませんわ!」
「そうかもな。だけど、ある程度自分たちの知識も生かせることはこの身をもって多少理解できただけで十分なんだよ」
出ていったとしても何もわからずじまいだろう。
けれど、ある程度の世界のことを知れた今ならばできうる対処はできる。
死ぬことはないという断言もあった。
しかし、そうだとしても衣食住が安定してある場所にいたほうが心は安らぐ。
なるべくならこのまま押し通したい気持ちでいっぱいだ。
「もしも、この交渉を受け入れないなら俺は他国へ亡命に行く」
高位士官と王女が渋った表情で難儀した。
俺はほくそ笑む。
「そう渋る気持ちもわかる。あなた方が怖いのは変化と戦争だろう。特に戦争のほうが怖い」
「そうですわ。戦争は変革をもたらしたら回避できないのがこの世界ですわ」
「らしいな。勇者召喚された俺らがそれに巻き込まれたわけだし」
「…………」
「一つ聞きたい。その勇者召喚の情報を魔王のほうへと流したのはどうやったんだ? いいや、この際教え方なんかどうだっていい。 流すやり方がしっかりとあるんだろう?」
「……ええ。ギルドに所属する冒険者や傭兵などに情報を流すように依頼をしています。彼らは唯一のならず者集団ですから」
その伝手で魔王の兵士に知れ渡ったんだろう。
「むろん、今回の騒動も他国へともう伝わり我が国は当分戦争はしないで安泰しています」
「そもそも、戦力を一番有しているあんたらが戦争をしたがらないのはどうしてだ? 普通なら戦争をしてでも勝てる要因を持っているのに」
「好き好んで戦争をするほど我が国は愚かではありません。国の存亡の危機とあらば戦争を講じていただけです。あくまで防戦で勝ち続けてきた結果とでもいえますわ」
この国の一番の要は防御力の高さだったのか。
「そういうことか。なら、よりこの情報作戦は役に立つか」
「はい?」
「改革を行っても戦争をしない方法があるといっただろう」
「聞きましたけど、そのようなことは無理ですわ」
「いや、できるさ。偽の情報を流せば」
「偽の情報?」
「たとえば、勇者が民たちへ宗教を始めてるとか、勇者は戦争の負傷で病死したとかね」
「そのような情報すぐにばれてしまいますわ!」
「でしょうね。中には真相を漏らす奴も出てくるでしょう。でも、都合がいいことにこの国は防戦力も高く、民への信仰心も強い」
「何が言いたいんですの?」
「民衆力を高めるんですよ、強度にね」
「はい? それはどうやって?」
「例のスープにライブです」
「あのようなものでどうして……。第一あれを先にしてしまったらそれこそ他国への攻撃を……」
「そのとおりです。スープとライブを使い共同の国を作るんですよ」
俺はそこから本題を持ち上げる。
それは王女たちにとってとんでもなくありえないことだった。
「あなたが他国へと渡り、交渉へ行くっ!?」
俺が提案したのはまさにそれだったのだ。
その道中に王城内にいる兵士や士官などの目が自分に向けられていたのは十分理解していた。
瞳に宿るのは哀れみ。
ここの王城の住まう人々が向ける他人への目はそればかりだと今更ながらに気付いた。
(民へと向けていたのもコイツらは自らは安全圏にいるとわかってるから哀れみを向けた行動だったわけか)
虫唾が走るほどに嫌気がさす。
怒り任せに発言をすれば今度こそすべてが台無しになるのをわかっていた。
怒りを抑えて、玉座の間に繋がる扉の前に立ち、一呼吸つきその取っ手に触れた。
軋む音が響く。
ゆっくりと明けて中に堂々と入ると高位士官たちの蔑む目が向けられた。
構わず進んでいくと騎士たちがその行く手を阻む。
「勇者様、いくらあなた様でも無断の謁見の行動は避けていただきたい! 今は重要な皇族会議中でして」
玉座の間に先ほどまでなかったはずのものが存在しているのが見られた。
円卓だ。
その円卓を囲うように座る高位士官と王女が座っている。
「いいのですわ。彼を通してくださいませ」
「殿下、これは皇族でない異界の勇者が関わってはならぬ案件で――」
「いいえ、彼はこれに関わる話ではないものをしたいと思いますわ。そうでしょう?」
彼女の目が何かを悟りきった眼差しを向けていた。
俺は深呼吸をして騎士の間を通り抜ける。
「会議なんかに興味はないのはごもっともだよ。何の話をしてようが俺たち勇者をどうやって戦いに身を通させる計画を算段しようがご勝手にしろ。そんなのにはこっちは動かされない」
「ええ、わかっていますわ。それに今の議題は復興と他国への今後の対応作戦をどうするかという議題でしたわ」
「他国か……。なぁ、王女様この世界に国は幾つ存在しているんだ?」
俺はもう彼女へと敬意の欠片もない発言をする。
それに高位士官たちの怒りに触れて騎士への処罰の命令を下すが――
「黙りなさい!」
王女の一喝で周囲が沈み、静寂へと包まれた。
「すみません、ここの者たちの経緯が駆けているようでして」
「はぁ。つくづく、王女がお前のような人柄の優しい人で良かったと思うよ」
「あら、あなたを陥れましたのに?」
「確かに腹は立つさ。でも、国を思っての行動だろ?」
「ええ」
真摯な目を向けられると俺もそれ以上の怒りは抑える。
「殿下、不躾ながらこの勇者の口などこれ以上聞いてはなりませぬ! 先の話にしても本日行われた奇妙な行動にしても世界を混乱に落としいれる!」
「黙りなさい、クレアス宰相」
青髪のカールヘアーをした美女の宰相らしき人は王女に窘められ沈黙をした。
一番、俺に対してあたりがキツイ人物。
宰相であるという役職ならば納得のいく。
「すみません、彼女も王国を思い、私の尊敬を憂いているのですわ」
「それが女王の存在ってやつなのはゲームやアニメでなんとなくわかってるから別に気しないさ」
「?」
「あー、こっちの話だ。それより、本題だ」
一つ咳払いをして周囲を見る。
「もう一度、例の件を考えてほしい」
「それはあの珍妙な食べ物を配給することですわね?」
「ああ。あとそれだけじゃない。ステージの一件もだ」
「そういえば、そんな話をしていましたわね」
「していたんじゃなく、元はそれが本命だ。元々は闇ギルドの場所をライブのステージ場所にする作戦の上でカレースープを提供する案だ。けど、この国の資金が足りないからこの国の配給として踏まえて、食の偉大さを認知させ、他国への情報も少し流して資金交渉を考えていた策案をカレースープの配給をストップされてすべて台無しさ」
「そこまで考えていたのですわね」
最初からすべてを考えた策案だったのにあの発言と勇者召喚の真相がすべてをうやむやになった。
本質を尋問し口を割らせてしまったオレ自身の自業自得ともいえる。
「考えていたんだよ。だからこそ、もう一度この作戦案を考え直してくれ」
「勇者様、それは何度も言うように――」
「契約……」
「はい?」
「契約しただろう」
「…………しかし、契約を放棄したからと言ってこちらに非はありません」
「そうだな。だったら、こちらにも考えがあるさ」
王女の騎士たちが構えたが、最初から何もこの場ではするつもりはなかった。
代わりに王女たちへと背中を向ける。
「イスア国以外に国があるとするならば俺は勇者として他国へと出向くまでだ。この足で」
『っ』
その場にいる全員が唖然となり、王女が即座に席を立った。
「何を馬鹿なことを言うんですの! そのようなことをしたらどうなるか!」
「その国が強大な発展国へとなるだけだ」
「いいえ、それだけではありませんわ! 下手したらイスア国が滅んで――」
「そうなるかもな」
その発言は全員を敵に回すものだとわかっていた。
だけれど、こうでもしないと動かないと思ったのだ。
「俺は何も間違えていないと思うぞ。大体、この世界に勝手に呼び出して俺らを傀儡のように扱ったのはお前らだ。だったら、こっちだってこの国を利用することが許される」
それに高位士官たちの反論が飛び交った。
「黙れよ、あんたらに利用されてこっちは酷い経験をした。人間はな都合のいい人形じゃないんだよ。おかげで傷ついたんだぞあの人は!」
「それは謝りますわ……」
「ああ、謝るか……あはは。その誠意での契約者だったんじゃないのか?」
「…………」
「俺らの意思を尊重して活動を自由にする。この国での活動を自由にする許可をいただいたと俺は受け取った。だけど、それが反故になったんだったらこの国を出てどうにか生活するまでだ」
「そのようなことできるはずもありませんわ! 勇者様はこの世界を何もご存じありませんわ!」
「そうかもな。だけど、ある程度自分たちの知識も生かせることはこの身をもって多少理解できただけで十分なんだよ」
出ていったとしても何もわからずじまいだろう。
けれど、ある程度の世界のことを知れた今ならばできうる対処はできる。
死ぬことはないという断言もあった。
しかし、そうだとしても衣食住が安定してある場所にいたほうが心は安らぐ。
なるべくならこのまま押し通したい気持ちでいっぱいだ。
「もしも、この交渉を受け入れないなら俺は他国へ亡命に行く」
高位士官と王女が渋った表情で難儀した。
俺はほくそ笑む。
「そう渋る気持ちもわかる。あなた方が怖いのは変化と戦争だろう。特に戦争のほうが怖い」
「そうですわ。戦争は変革をもたらしたら回避できないのがこの世界ですわ」
「らしいな。勇者召喚された俺らがそれに巻き込まれたわけだし」
「…………」
「一つ聞きたい。その勇者召喚の情報を魔王のほうへと流したのはどうやったんだ? いいや、この際教え方なんかどうだっていい。 流すやり方がしっかりとあるんだろう?」
「……ええ。ギルドに所属する冒険者や傭兵などに情報を流すように依頼をしています。彼らは唯一のならず者集団ですから」
その伝手で魔王の兵士に知れ渡ったんだろう。
「むろん、今回の騒動も他国へともう伝わり我が国は当分戦争はしないで安泰しています」
「そもそも、戦力を一番有しているあんたらが戦争をしたがらないのはどうしてだ? 普通なら戦争をしてでも勝てる要因を持っているのに」
「好き好んで戦争をするほど我が国は愚かではありません。国の存亡の危機とあらば戦争を講じていただけです。あくまで防戦で勝ち続けてきた結果とでもいえますわ」
この国の一番の要は防御力の高さだったのか。
「そういうことか。なら、よりこの情報作戦は役に立つか」
「はい?」
「改革を行っても戦争をしない方法があるといっただろう」
「聞きましたけど、そのようなことは無理ですわ」
「いや、できるさ。偽の情報を流せば」
「偽の情報?」
「たとえば、勇者が民たちへ宗教を始めてるとか、勇者は戦争の負傷で病死したとかね」
「そのような情報すぐにばれてしまいますわ!」
「でしょうね。中には真相を漏らす奴も出てくるでしょう。でも、都合がいいことにこの国は防戦力も高く、民への信仰心も強い」
「何が言いたいんですの?」
「民衆力を高めるんですよ、強度にね」
「はい? それはどうやって?」
「例のスープにライブです」
「あのようなものでどうして……。第一あれを先にしてしまったらそれこそ他国への攻撃を……」
「そのとおりです。スープとライブを使い共同の国を作るんですよ」
俺はそこから本題を持ち上げる。
それは王女たちにとってとんでもなくありえないことだった。
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