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第2章 最初の開拓

文化の革命交渉

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 「闇ギルド跡地をすてーじなるものにしたいですか?」

 種村雪菜と並び、俺は目の前の王女を前にして彼女と共に進言した。
 王女にはその『ステージ』というものがどういうものかはやはり理解に乏しく困惑した表情を浮かべた。
 この世界は娯楽という文化が元から少なく、ないといっても良いレベルの世界。
 『ステージ』というよりも『ライブ』や『演劇』という習慣がない。
 もしかすれば、そこから説明を踏まえていく必要がある。

「それは勇者様方がこの世界を変えていくのに必要なものとなるのですわね?」
「ええ、なります」

 堂々と隣の雪菜さんの発言に俺は度肝を抜かれた思いで、目を瞬いた。

(宣言していいのか? だいたいステージあるだけでライブで民に笑顔をできるものでもないような気がしちゃうんだけど)

 ライブをするのは彼女だ。
 その彼女を舞台で輝かせるのは俺の仕事にあるからその期待もある宣言なのだろうか。

「あ、あの雪菜さん、本当に大丈夫なんですか?」
「ひゃっ」

 突然の耳打ちに驚いたのか彼女が耳元を抑えて羞恥に顔を赤らめてこちらを睨みつけてきた。

「あ、すみません。耳敏感であったとは知らず……」
「突然、女性の耳元で囁くのはセクハラよ。変態」
「うぐっ」

 オタク心とはどうしようもない。
 その発言が至福の喜びにさえ感じてしまうのだから。
 その喜びの笑顔を噛み殺しながら、王女の前に俺は向き直る。

「殿下、私のほうからも一つ」
「なんですの?」
「今回、闇ギルド跡地を利用してステージを立ててほしいというのはもちろんです。私たちの目的は世界を変える、それはすなわち、民人に笑顔をまずは取り戻させてくのが当面の目的であるのです。ですが、ステージがあれば確かに民を盛り上げることは可能となりますけれど、民の全員を盛り上げることは難しいです。この世界の民は未だに疲弊した心を持っている」
「なるほど、つまりは完全とはいかずともまずは1歩とはしたいということですか?」
「その通りです。ですが、王女殿下もそれでは不服もありますよね?」
「たしかに、ステージなるものがどれほどの予算がかかるかはわかりません。民からの信頼性もありますし、魔道路がまだ動かせてません。建築作業も時間を要します。体力を消耗していく騎士や人々も増えていっては作り上げた後でもリスクはデカくなると予想できますわね」

 俺の言い分に正直に申した王女の言葉。
 となりの種村さんが鋭く睨みつけてきて小声で「どうしてそういうこと言ってしまうのよ」と文句を垂れていた。
 俺には策略がもう一つあった。

「そこで、私に一つ提案があります。私たちはこの世界を復興させ、世界に笑顔を届けるためにこの国を基盤としたもので文化の革命を考え始めています」
「ぶんかの革命ですか? ぶんかなるものがわかりませんけど、それはどのように……」
「まず、王女殿下、一つある飲食店の厨房をお借りできませんでしょうか?」
「はい?」

 俺はその申し出をしたときにその場にいた全員が首を傾げた。
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