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第2章 最初の開拓
街の見物
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私は路上ライブで体力を消費し、街の勇者としての民への信仰活動や伝達事項に関する件はこの世界へと一緒に召喚された彼、霧山頭に任せて街中を歩き始めた。
この街における民の表情を見て思うのは常々まだ残ってる。
私の歌で民は確かに『笑顔』と『面白さ』を与えられてきたという実感は感じられつつあった。
だけど、まだ足りないのは顕著に表れてる。
崩壊や被害を受けた区域の民の中にはまだ歌が終わってすぐにその現実を前にがっくりと肩を落としているのが数人いる。
疲弊した表情で復興作業を行う騎士たちの姿。
力仕事に関しては彼らの仕事。
私たちには私たちなりの仕事をこの異世界では契約したために私は救いの手を出さずそのまま歩き去っていく。
街の端にまであるいてなんとなく街の地図が頭の中で思い浮かんでくる。
この街は全体的に外壁に囲まれているわけでもないが、かわりに街の防衛策をするように端の周囲に魔防壁のような透明な結界のような壁があった。その壁枠の外に深い溝と先には広大な砂漠地帯。
溝と結界に囲まれた国。
国の中には一つの街しかないのだ。
建物には平均的には食材や武具店が基本的でそのほかの店といえばギルド請負所や修理店だけのようなものだけ。
とにかく、つまらないという表現が正しい。
「案外、広いように見えてそうでもないし、つまらない街ね」
街の境界門付近まで歩いてきて感想がひっそりと口から出る。
境界門にいた門兵がこちらをみてひそひそと話をしている。
街の中は情報の出回りが早い。
それは街の区域がそこまで広いからじゃないからだろう。
門兵の視線から逃げるように離れて街並みを見物していく。
見れば見るほどに異世界だという実感がわいてくる。
地上と上空にそれぞれ出入り口扉があるけれども基本的には2階にどれも出入り口がある。
この世界の人たちが魔法という能力を有して浮遊した生活をしているからなのだろう。
「わかっていたことだけど改めて思うとすごいって感じね。ただ、この感じをどう活かすかね」
見物に来たのもただ町を把握しておきたいからだけではない。
私は今後のことで見据えて街の雰囲気を生かした魔法とライブのハイブリットを考える。
「あの人だけにすべてを押し付けるのもかわいそうだもんね」
ふと、彼の笑顔が頭をよぎる。
不思議と嫌な感じはしない。
「本当に私、男の人駄目なはずだったのに何で彼だけ平気なんだろう」
この街に一緒に飛ばされた境遇がそうさせているのかと当初は考えたがどこかそれとは別の気持ちもある。
彼には信頼さを寄せてしまっていた。
それは自分を救ってくれたからなのだろうか。
「馬鹿よ、私単純すぎるじゃない」
純真な自分の心におもわず呆れてしまった。
「種村様?」
背後から声をかけられて振り返ると数人の騎士を従えた王女様がいた。
「このようなところで一人で何をしているんですか? 護衛もつけずに危険ですよ」
「護衛なんか必要ないわ。ちょっと、街のこと見学しているだけなんだし」
「見学ですか?」
「そう。今後の活動に役立てるためにね」
「そうですか。それがどのようなものであるのかは存じ上げませんわ。ですが、しっかりと町のためになることをしてくださるなら私も文句は言いませんわ。ただ、無意味な行動だけはしないようお願いしますわ」
「ええ、わかってる。そういう約束したんだから」
私は王女に背中を向け歩く。
「ど、どちらへ?」
「彼、霧山さんのところ。王女も来てくれないかしら?」
「はあ?」
「彼には申し訳ないことしたわ。まさか、王女が外出中だったとは思わなかった」
「何か?」
「いいえ」
私は今頃彼が必死で王女のことを探している様子が想像できてちょっとだけ申し訳なく思いながら彼女を連れ添って彼の元へと向かい元来た道を戻り始めた。
この街における民の表情を見て思うのは常々まだ残ってる。
私の歌で民は確かに『笑顔』と『面白さ』を与えられてきたという実感は感じられつつあった。
だけど、まだ足りないのは顕著に表れてる。
崩壊や被害を受けた区域の民の中にはまだ歌が終わってすぐにその現実を前にがっくりと肩を落としているのが数人いる。
疲弊した表情で復興作業を行う騎士たちの姿。
力仕事に関しては彼らの仕事。
私たちには私たちなりの仕事をこの異世界では契約したために私は救いの手を出さずそのまま歩き去っていく。
街の端にまであるいてなんとなく街の地図が頭の中で思い浮かんでくる。
この街は全体的に外壁に囲まれているわけでもないが、かわりに街の防衛策をするように端の周囲に魔防壁のような透明な結界のような壁があった。その壁枠の外に深い溝と先には広大な砂漠地帯。
溝と結界に囲まれた国。
国の中には一つの街しかないのだ。
建物には平均的には食材や武具店が基本的でそのほかの店といえばギルド請負所や修理店だけのようなものだけ。
とにかく、つまらないという表現が正しい。
「案外、広いように見えてそうでもないし、つまらない街ね」
街の境界門付近まで歩いてきて感想がひっそりと口から出る。
境界門にいた門兵がこちらをみてひそひそと話をしている。
街の中は情報の出回りが早い。
それは街の区域がそこまで広いからじゃないからだろう。
門兵の視線から逃げるように離れて街並みを見物していく。
見れば見るほどに異世界だという実感がわいてくる。
地上と上空にそれぞれ出入り口扉があるけれども基本的には2階にどれも出入り口がある。
この世界の人たちが魔法という能力を有して浮遊した生活をしているからなのだろう。
「わかっていたことだけど改めて思うとすごいって感じね。ただ、この感じをどう活かすかね」
見物に来たのもただ町を把握しておきたいからだけではない。
私は今後のことで見据えて街の雰囲気を生かした魔法とライブのハイブリットを考える。
「あの人だけにすべてを押し付けるのもかわいそうだもんね」
ふと、彼の笑顔が頭をよぎる。
不思議と嫌な感じはしない。
「本当に私、男の人駄目なはずだったのに何で彼だけ平気なんだろう」
この街に一緒に飛ばされた境遇がそうさせているのかと当初は考えたがどこかそれとは別の気持ちもある。
彼には信頼さを寄せてしまっていた。
それは自分を救ってくれたからなのだろうか。
「馬鹿よ、私単純すぎるじゃない」
純真な自分の心におもわず呆れてしまった。
「種村様?」
背後から声をかけられて振り返ると数人の騎士を従えた王女様がいた。
「このようなところで一人で何をしているんですか? 護衛もつけずに危険ですよ」
「護衛なんか必要ないわ。ちょっと、街のこと見学しているだけなんだし」
「見学ですか?」
「そう。今後の活動に役立てるためにね」
「そうですか。それがどのようなものであるのかは存じ上げませんわ。ですが、しっかりと町のためになることをしてくださるなら私も文句は言いませんわ。ただ、無意味な行動だけはしないようお願いしますわ」
「ええ、わかってる。そういう約束したんだから」
私は王女に背中を向け歩く。
「ど、どちらへ?」
「彼、霧山さんのところ。王女も来てくれないかしら?」
「はあ?」
「彼には申し訳ないことしたわ。まさか、王女が外出中だったとは思わなかった」
「何か?」
「いいえ」
私は今頃彼が必死で王女のことを探している様子が想像できてちょっとだけ申し訳なく思いながら彼女を連れ添って彼の元へと向かい元来た道を戻り始めた。
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