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英雄の意志を継ぐ者たちVSグラフォルの娘 1
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切裂かれるシリカの身体。
血しぶきを上げて地面に倒れシリカをグラフォルの娘は踏みつけた。
そして、血を滴らせる鎌を振り上げて勝どきの余韻に哄笑をする。
「ざまぁ! ようやく、ようやくお母さまの仇を討ちとりました!」
グラフォルの娘は崩れ落ちる船に目を向けた。
冷めたような目つきで「あーあー」とまるで気持ちのこもらない声を出す。
「まぁ、落とされたら落とされたで私には関係ないです。そもそも、母のことを守りもしなかった組織に加担する気もない。私はただこの女を殺せればよかった。その目的も果たした。さて、この後はどう――」
次なる目的を思考する彼女に一斉に英雄の子孫たちは殺到する。
左右からミーシャとイリスが斬りかかる。
ミーシャの手には双刀の白と青の二振りの刀。
イリスは銅色をした大槌を振り上げて攻撃を仕掛けた。
グラフォルの娘は左右からの攻撃を見極めており、しゃがみ込み二人の攻撃をかみ合わせる。
二人が仲間同士で撃ちあった衝撃で弾かれて隙を作る。
グラフォルの娘はシタリ顔で二人の腹へ大鎌を振るい斬撃をくらわせた。
二人の絶叫が響く。
斬られて腹部から血を吹き出し崩れ行く二人を見ながら、3人目が追撃を仕掛けた。
3人目のミリアは赤い髪を風になびかせて疾駆し、赤き穂先の槍を構えて刺突。
だが、それさえも彼女は見切っている。
甘いといわんばかりに、穂先を手でつかみ食い止めた。
衝撃を受けるミリアの顔面に彼女の鎌の長柄が強打した。
顔に受けた衝撃で目をふさぎこんだ。
彼女の頭上へ鎌の刃先が迫った。
それにミリアは気づいていない。
――キリューはすかさずミリアを突き飛ばすようにして抱き留めて転がり込んで回避した。
グラフォルーの娘は鎌が空を切って意外だとでも言うように瞬く。
「そうか、そういえばまだ一人残っていましたね。お母さまが要注意人物と目していたアンメシア」
「俺はキリュー・グレイシアだ。アンメシアって呼ぶな。きちんと名前がある」
「ふん、アンメシアはアンメシアです。名前など覚える価値もない。異端の存在が!」
グラフォルの娘は地を蹴って一瞬で詰め寄る。
鎌の刃先がキリューの横合いから斬りこんでくる。
キリューは腰鞘に収めた剣を引き抜き刃先を受け止める。
「あははは、笑わせます。その剣、模擬剣ですか? アハハハ! そんな練習用の剣で受け止められるはずないでしょう!」
キリューが使用した剣は学生に多く支給されている授業で使用するための模擬用の剣だ。
刃先は丸みを帯びているために相手を切裂くのに特化したものではない。
だからこそ、模擬用の剣。
耐久度は弱く、一瞬で鎌に弾かれた衝撃で刀身にヒビが走る。
「っ!」
「バァカガ! その軟弱な剣でこの『強欲の鎌』が防げるわけがない!」
「ごうよくのかま?」
彼女が大仰に三度振るう、地面を抉って衝撃波が殺到する。
キリューは右手をかざした。
魔法障壁を展開し、衝撃波を防いだ。
「ちっ、さすがはベルフィスの学生か。魔法はお手の物ってか。だったら、こいつはどうだい!」
頭上でぐるぐると遠心力をかけて振り回す彼女。
まるで、竜巻でも起こすかのようにぐるぐると回し続ける。
徐々に上空に暗雲が立ち込めだした。
ゴゴと稲光の発光、そして電の音が響く。
「サンダー――――」
鎌を地面に突き刺したと同時に暗雲から一筋の光がみちる。
「スリーム!」
キリューに向け轟風雷が一筋の矢となって落ちた。
ミリア共々キリューの身は焼き裂かれる。
死を実感して意識を失い始めていくキリュー。
「さて、これで終わりだ」
グラフォルーの娘の鎌がキリューに向けて振り下ろされキリューの意識はそこで失われた。
血しぶきを上げて地面に倒れシリカをグラフォルの娘は踏みつけた。
そして、血を滴らせる鎌を振り上げて勝どきの余韻に哄笑をする。
「ざまぁ! ようやく、ようやくお母さまの仇を討ちとりました!」
グラフォルの娘は崩れ落ちる船に目を向けた。
冷めたような目つきで「あーあー」とまるで気持ちのこもらない声を出す。
「まぁ、落とされたら落とされたで私には関係ないです。そもそも、母のことを守りもしなかった組織に加担する気もない。私はただこの女を殺せればよかった。その目的も果たした。さて、この後はどう――」
次なる目的を思考する彼女に一斉に英雄の子孫たちは殺到する。
左右からミーシャとイリスが斬りかかる。
ミーシャの手には双刀の白と青の二振りの刀。
イリスは銅色をした大槌を振り上げて攻撃を仕掛けた。
グラフォルの娘は左右からの攻撃を見極めており、しゃがみ込み二人の攻撃をかみ合わせる。
二人が仲間同士で撃ちあった衝撃で弾かれて隙を作る。
グラフォルの娘はシタリ顔で二人の腹へ大鎌を振るい斬撃をくらわせた。
二人の絶叫が響く。
斬られて腹部から血を吹き出し崩れ行く二人を見ながら、3人目が追撃を仕掛けた。
3人目のミリアは赤い髪を風になびかせて疾駆し、赤き穂先の槍を構えて刺突。
だが、それさえも彼女は見切っている。
甘いといわんばかりに、穂先を手でつかみ食い止めた。
衝撃を受けるミリアの顔面に彼女の鎌の長柄が強打した。
顔に受けた衝撃で目をふさぎこんだ。
彼女の頭上へ鎌の刃先が迫った。
それにミリアは気づいていない。
――キリューはすかさずミリアを突き飛ばすようにして抱き留めて転がり込んで回避した。
グラフォルーの娘は鎌が空を切って意外だとでも言うように瞬く。
「そうか、そういえばまだ一人残っていましたね。お母さまが要注意人物と目していたアンメシア」
「俺はキリュー・グレイシアだ。アンメシアって呼ぶな。きちんと名前がある」
「ふん、アンメシアはアンメシアです。名前など覚える価値もない。異端の存在が!」
グラフォルの娘は地を蹴って一瞬で詰め寄る。
鎌の刃先がキリューの横合いから斬りこんでくる。
キリューは腰鞘に収めた剣を引き抜き刃先を受け止める。
「あははは、笑わせます。その剣、模擬剣ですか? アハハハ! そんな練習用の剣で受け止められるはずないでしょう!」
キリューが使用した剣は学生に多く支給されている授業で使用するための模擬用の剣だ。
刃先は丸みを帯びているために相手を切裂くのに特化したものではない。
だからこそ、模擬用の剣。
耐久度は弱く、一瞬で鎌に弾かれた衝撃で刀身にヒビが走る。
「っ!」
「バァカガ! その軟弱な剣でこの『強欲の鎌』が防げるわけがない!」
「ごうよくのかま?」
彼女が大仰に三度振るう、地面を抉って衝撃波が殺到する。
キリューは右手をかざした。
魔法障壁を展開し、衝撃波を防いだ。
「ちっ、さすがはベルフィスの学生か。魔法はお手の物ってか。だったら、こいつはどうだい!」
頭上でぐるぐると遠心力をかけて振り回す彼女。
まるで、竜巻でも起こすかのようにぐるぐると回し続ける。
徐々に上空に暗雲が立ち込めだした。
ゴゴと稲光の発光、そして電の音が響く。
「サンダー――――」
鎌を地面に突き刺したと同時に暗雲から一筋の光がみちる。
「スリーム!」
キリューに向け轟風雷が一筋の矢となって落ちた。
ミリア共々キリューの身は焼き裂かれる。
死を実感して意識を失い始めていくキリュー。
「さて、これで終わりだ」
グラフォルーの娘の鎌がキリューに向けて振り下ろされキリューの意識はそこで失われた。
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