8 / 11
第1章 監禁生活の始まり
犯罪の始まり
しおりを挟む
優人はあの日から捕らわれていた。
一体どこの場所に捕縛されてしまったのかはわからない。
あれから何日経過したのか。
目を覚ました時にはもう、彼は彼女に捕縛されていたのだ。
自分を捕虜した存在を目の前で睨みつける。
その存在は額から角を生やし、赤い瞳をした凶悪な女。
自分の愛するべき家族を殺した憎き存在だ。
だけど、今の自分は捕虜で彼女に歯向かう力も行動もできない。
自分を書こう鉄格子と首についた首輪に繋がれた鎖。
鎖の先を彼女が手に握っている。
そして、悠々自堕落にテレビを見て笑っていた。
テレビには何かのバラエティ番組だ。
バラエティー番組では時間や日付の確認はできない。
基本的に彼女は日付や時間を確認させないようにニュースは基本的にみる様子がない。
それは考えてのことなのかそれとも、なにか別の要因があるのか。
優人は考えてはいた。
もしも、あの電車の一件が他の人に知らていれば騒ぎになっていて自分を警察が探しているはずだと。
頼みの綱はそれしかない。
でも、警察機関などの動いている気配は全くなかった。
それどころか、この家には誰かが訪れる気配はない。
「ユイカちゃん、ここはどこなのかそろそろ話してよ。もう、僕は歯向かったりしないから」
「優人……悪いがそれはできない」
「どうして!」
「私をお前は一度だました。証明したいなら、私に忠義を示すためにおとなしく何も言わず従え」
「従ってるじゃないか! ユイカちゃんの言われた通り、食事はユイカちゃんが出してくれたものだけ、トイレだってユイカちゃんが指定された時間しか行ってない! もう、僕は逆らわないよ。お願いだよ!」
すると、彼女は座っていたソファから立ち上がるとどこかへ歩き去った。
しばらくして、なにかを引きずる音が聞こえた。
いったい何の音だろうかと訝しんでいると何かが鉄格子へあたり大きな音を立てた。
「っ!?」
それは人間の死体だ。
50歳くらいの男性らしく、もう死んでからだいぶ経過しているのか腐敗が進行していた。
匂いがひどくキツイ。
その男性の死体は腕と両足がなかった。
「ここはその男の家だ。追われる身だから、こうしてその男に借りた」
「借りたって……」
正確には奪ったの間違いじゃないかという言葉を飲み込んだ。
ここで、彼女へ反論すれば優人に対する彼女のあたり触りが強くなる。
「どうした? 私を嫌いになったか」
「いや、そんなことないよ。このお爺さんはどうするの? 酷い匂いだからどうにかしないとまずいんじゃないかな。保冷するとかどっかに埋めてきたほうがいいと思う。このまま臭いが進行すれば近所にばれちゃうよ」
本で得た知識を引っ張って助言を口にする。
自分がなんで、そのような助言を口にしているのかさえわからない。
だけど、このままユイカが捕まってしまうのは良心が咎めた。
すると、ユイカは顔を顰めた。
「なるほど、確かにひどい匂いはバレる可能性があるな」
「ユイカちゃん、僕はもう裏切ったり騙したりしないって証明するから協力させてよ! だから、この鎖やここから出してほしい! お願い!」
一つの賭けで優人は頼み込んだ。
死体の処分という犯罪に手を染める行為を餌に、彼女の信用を獲得する。
彼女は思い悩んだ末に鉄格子に手をかけて優人を牢獄から出してくれた。
「ありがとう」
優人はゆっくりと出て、死体を見下ろす。
「優人、その死体をどうするんだ? 早くしろ」
「そ、そうだね」
優人は目をつぶりながら決意をし、彼女へ声を掛けた。
「まずは冷蔵庫がどこにあるか教えて」
そう、一言彼女へ質問した。
一体どこの場所に捕縛されてしまったのかはわからない。
あれから何日経過したのか。
目を覚ました時にはもう、彼は彼女に捕縛されていたのだ。
自分を捕虜した存在を目の前で睨みつける。
その存在は額から角を生やし、赤い瞳をした凶悪な女。
自分の愛するべき家族を殺した憎き存在だ。
だけど、今の自分は捕虜で彼女に歯向かう力も行動もできない。
自分を書こう鉄格子と首についた首輪に繋がれた鎖。
鎖の先を彼女が手に握っている。
そして、悠々自堕落にテレビを見て笑っていた。
テレビには何かのバラエティ番組だ。
バラエティー番組では時間や日付の確認はできない。
基本的に彼女は日付や時間を確認させないようにニュースは基本的にみる様子がない。
それは考えてのことなのかそれとも、なにか別の要因があるのか。
優人は考えてはいた。
もしも、あの電車の一件が他の人に知らていれば騒ぎになっていて自分を警察が探しているはずだと。
頼みの綱はそれしかない。
でも、警察機関などの動いている気配は全くなかった。
それどころか、この家には誰かが訪れる気配はない。
「ユイカちゃん、ここはどこなのかそろそろ話してよ。もう、僕は歯向かったりしないから」
「優人……悪いがそれはできない」
「どうして!」
「私をお前は一度だました。証明したいなら、私に忠義を示すためにおとなしく何も言わず従え」
「従ってるじゃないか! ユイカちゃんの言われた通り、食事はユイカちゃんが出してくれたものだけ、トイレだってユイカちゃんが指定された時間しか行ってない! もう、僕は逆らわないよ。お願いだよ!」
すると、彼女は座っていたソファから立ち上がるとどこかへ歩き去った。
しばらくして、なにかを引きずる音が聞こえた。
いったい何の音だろうかと訝しんでいると何かが鉄格子へあたり大きな音を立てた。
「っ!?」
それは人間の死体だ。
50歳くらいの男性らしく、もう死んでからだいぶ経過しているのか腐敗が進行していた。
匂いがひどくキツイ。
その男性の死体は腕と両足がなかった。
「ここはその男の家だ。追われる身だから、こうしてその男に借りた」
「借りたって……」
正確には奪ったの間違いじゃないかという言葉を飲み込んだ。
ここで、彼女へ反論すれば優人に対する彼女のあたり触りが強くなる。
「どうした? 私を嫌いになったか」
「いや、そんなことないよ。このお爺さんはどうするの? 酷い匂いだからどうにかしないとまずいんじゃないかな。保冷するとかどっかに埋めてきたほうがいいと思う。このまま臭いが進行すれば近所にばれちゃうよ」
本で得た知識を引っ張って助言を口にする。
自分がなんで、そのような助言を口にしているのかさえわからない。
だけど、このままユイカが捕まってしまうのは良心が咎めた。
すると、ユイカは顔を顰めた。
「なるほど、確かにひどい匂いはバレる可能性があるな」
「ユイカちゃん、僕はもう裏切ったり騙したりしないって証明するから協力させてよ! だから、この鎖やここから出してほしい! お願い!」
一つの賭けで優人は頼み込んだ。
死体の処分という犯罪に手を染める行為を餌に、彼女の信用を獲得する。
彼女は思い悩んだ末に鉄格子に手をかけて優人を牢獄から出してくれた。
「ありがとう」
優人はゆっくりと出て、死体を見下ろす。
「優人、その死体をどうするんだ? 早くしろ」
「そ、そうだね」
優人は目をつぶりながら決意をし、彼女へ声を掛けた。
「まずは冷蔵庫がどこにあるか教えて」
そう、一言彼女へ質問した。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説



(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

素直になる魔法薬を飲まされて
青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。
王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。
「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」
「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」
わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。
婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。
小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる