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ちょっぴりイジワルな君だけど……。
P143
しおりを挟む「……なんてね」
え?
「一輝くん?」
どうして?
一輝くんは二つ目のボタンを外したところで手を止めた。
「……どうして……
私は……一輝くんとなら……」
「ダメだよ、結菜ちゃん」
え?
「そんなこと簡単に言っちゃ」
「違う、簡単なんかじゃない」
思っている、真剣に。
一輝くんとなら、って。
「大切にしたいんだ」
「え?」
「そういうことは……
結菜ちゃんのことを大切にしたいから
……急がない……」
「一輝くん」
「さっ、今日は寝よ。
僕は結菜ちゃんと、こうしているだけで幸せだから」
一輝くんはそう言って。
私のことをぎゅっと抱きしめた。
「一輝くん」
「なぁに、結菜ちゃん」
「ありがとう」
すごく嬉しい。
一輝くんの言葉が。
それから。
とても幸せ。
そんな言葉を言ってもらえたこと。
「僕、結菜ちゃんから『ありがとう』を言われるようなことしてないよ」
いつも優しい一輝くん。
「そんなことない。
本当に本当にありがとうだよ」
「よくわからないけど、
結菜ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいよ」
本当に本当に嬉しくて幸せで。
本当に本当にありがとうで。
それから。
本当に本当に大好きだよ、一輝くん。
そう思いながら。
一輝くんと一緒に眠りについた。
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