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4本目 女子バスケットボール部の合宿

ゴメンなさい 48-8

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 やがて、小さな公園というか休憩所のような所に差し掛かった。テイクアウトした軽食なんかをベンチに座って食べるのに、ちょうど良さそうな一画だ。

 公衆トイレが併設されている。観光客を見込んでか、休憩所の規模のわりに大きい造りになっていた。照明が点いている。

 成美さんが僕の手を引いたまま、そのトイレへ向かっていく。

 用を足していくのかな、と思っていたら、彼女は僕にだけ聞こえるくらいの声で囁いてきた。
「誰か使ってないかだけ見てきて」
 そうして手を離して女子トイレへと入っていってしまう。

 男子トイレの中には個室も含め誰もいないことを、僕は確かめた。そして言われた通りに、ひとまず引き返す。

「どうだった?」
 成美さんもすぐに出てきた。用を足すような時間はかかっていない。

「誰もいないけど」

「じゃ、入ろ」
 と、今度は手首を掴んで、男子トイレへと僕を先導していく。

「ちょ、そっち男性用だよ?」

「近所に聞こえるような声、出さないで」
 空いている手の指を唇の前に立てながら言われる。

「女子の方だと、男女グルになってカメラでも仕掛けたんじゃないかって疑われる可能性があるでしょ。男の方なら、気付かれても察してもらえるかもしれないし」
 言いながら、どんどんと男子トイレに踏み入っていくギャル。

 並んだ小便器の前を通過していく成美さんというのは奇妙な光景だった。
「友達と来た時も思ったんだけど、ここ観光客のために周囲のお店がこまめに掃除してくれてるんだよね。新しいし」

 その通りで、公衆トイレといっても本当にきれいだった。頭が下がる。

 一番奥の個室も、ペーパーの端が三角に折られていて、清掃後は誰も使用していないことが明らかだった。ベビーチェアや手すりも設置された広めの造りになっている。

 彼女はそこへ僕を引っ張り込んだ。

 そして扉を閉めて鍵をかけた次の瞬間、抱き着いて唇を合わせてきたのだ。

 おそらく数十秒もの間、僕を固く抱きしめて舌まで入れてきた後、「ぷはぁっ」と息を吐きながら彼女は顔を離してくれた。

「成美さん……」

「下、おろして、それ出して」
 と僕の下半身を指差される。

「ここで?」

「トイレなんだから出していいでしょ?」

 命令は絶対なので議論しても意味はない。僕は従順に下半身の衣服を下ろし、密着とキスによってすっかり反応している部分を晒した。

 彼女はそれを注視しながら膝を曲げてしゃがみ込み、そして口でくわえてくれた。

 妄想していた光景を、実際に目にすることになってしまった。しかも当事者として。

 成美さんも、片手を自分のジャージのズボンの中に入れて動かしている。

 合宿中に彼としているかもしれないと思っていたことを、僕にもしてくれている。トイレに女子と一緒に入って、違うものを出そうとしている。

 そんな認識が妙な興奮をかきたてて、まだ大丈夫だと思っていたところから急に昇りつめてしまった。

「あ、ダメ、出るっ、成美さん、マズいよ、このまま出ちゃう」

 僕も、まさか彼女の口をそんなふうに使うつもりはなかったのだ。達する前に他の行為に移るだろうと思っていた。

 でも気付いた時には、もう口を離してもらっても止まらない段階になっていた。無理に引き抜くと、彼女に向けて放出してしまう。ここには着替えもないし、合宿所では生徒の入浴時間が終わっている。

 そのまま、自分では制御できない体の作用が生じるのに任せるしかなかった。

 途中で気付いて、トイレットペーパーを巻き取って渡してあげるのが精いっぱいだった。

「げほっ……ごほっ……うぇぇ……」
 震えながらも何とかそれをジャージにこぼさずに耐えきった彼女は、むせながら口からトイレットペーパーへ僕の排出物を大量に垂らした。

「ごめん、成美さん、ほんとごめん! ちょっと待ってて、すぐに戻るから」

 慌ててズボンを上げてトイレを飛び出し、すぐ近くにあった自動販売機でミネラルウォーターを買って舞い戻る。
「成美さん、これ……!」

 キャップを開けて渡すと、彼女は幾度も口をゆすいでは便器にそれを吐き出した。
「うぇー……ぺっ……」

 涙を浮かべて うめく彼女の背中を、謝りながらさすり続ける。

 口に入ったものは残らず吐き出しているけれど、胃から戻したりまではしていないようなのが、せめてもの救いだった。

「ほんとにごめんね……」
 ひとしきり口をすすぎ終えて口元もペーパーで拭き、少し落ち着いて呼吸できるようになった彼女の頭を撫でる。余計に刺激して叩かれるかもしれないと思いながらも、できることといったら、それくらいしかなかった。

「だいじょぶ……水、お金払う……」
 そう つぶやく彼女に、さすがにそれはできないと首を振った。

 幸い、トイレから出られるようになるまでに、誰かがやって来ることはなかった。

「うぇー……ひっどい味だし、出しすぎじゃない? まだ口の中が変な感じ……」
 舌を突き出す彼女に、僕はペコペコするしかない。

「まあ、そんだけ気持ち良かったんならいいけど……」

 彼女の側も、そういうスイッチが入った状態ではなくなってしまったようだ。改めて男女別に普通にトイレを使ってから、コインランドリーに向かって歩きだした。

   ●

 途中のコンビニで、僕はストレートティを、成美さんはコーラを買った。

「後で歯は磨くからー」
 きかれてもいないのに彼女はそう答えた。

 洗濯物の乾燥まで済ませて、コインランドリーを後にする。

 もう、手は繋がなかった。このあたりまで来ると野球部員も出歩いているかもしれない。

 来た時よりも少しゆっくりと歩みを進めながら、成美さんが口を開いた。
「合宿、明日で終わりだね」

「うん」

「最終日は合宿所の片付けと、あとはアレか……」


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