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2本目 親友と彼女と女子バスケットボール部
死守 27-8
しおりを挟むなお、胸が大きい人も、僕が心配していた程には揺れないようだ。おそらくスポーツ用下着の効果だろう。いや、僕なんかに勝手にそんな心配をされても迷惑なのは分かっている。
視線はバレバレだと成美さんも言っていたので、香織さんに目を引き付けられ過ぎないように気を付けないといけない……と思っていても気が付くと、一番背も高く動きも洗練されている彼女の姿を追いかけることで幸せな気持ちになっている、そんな僕がいるのだった。
そうして練習が終わると、女子部員たちが着替える間は体育館に残って用具の片付けをし、その後で部室へ連れていかれる。
僕の秘密を握っている部員たちの中で、誰がどの日に僕を使用するかというのは、副部長の翠さんが取り仕切る。
その日に担当する1人か2人の部員と最後まで部室に残り、完全下校の時刻までの間、言われるがままに奉仕する。それが僕の日課になった。
●
驚いたのは、部にスミレ子さんがいることだった。
「センパ~イ! 一緒に部活ができるなんて、信じられない、です!」
遠い国から来た20歳の新入生は、漫画やアニメなどの中でも特にバスケットボールものに憧れており、実は母国でもストリートバスケをやっていたという筋金入りだった。
癖のあるダークブロンドの髪を後ろでひとつに縛り、素人の目から見ても華麗な動きで先輩部員たちを翻弄している。明らかにシュートなんかも次々と決めるし、上手いのだろう。
実年齢はともかく1年生である彼女は、用具の準備や片付け・そしてモップがけなどを一緒に担当してくれることも多くて、色々な意味で未知の世界に放り込まれた僕にとって心強い存在になってくれた。
でも、だからこそ……彼女に下着泥棒のことが知られたら、どれほど失望させてしまうだろうか。アルバイトも続けられるかどうか分からなくなる。何としても秘密を守らなければならないと、改めて思わされるのだった。
●
先生が渡してくれた活動予定の資料。そこには早速、休日に練習試合のための遠征がある旨が記されていた。
その前日の練習後、翠さんに連れられて部室に入ると、中には3年生が勢揃いしていた。翠さんも含めて4人。もちろん、制服姿の香織さんもいた。長い髪も下ろしている。
翠さんからは「マネージャーとして部活動に参加して、部員の言うことをききなさい。一部には事情を知っている人もいて、マネージャーとしての範囲を超えたことも求めてくるから、それには従いなさい」というように命令されている。誰がどこまで知っているかは、僕には教えてもらえない。
だから練習後の部室に香織さんの姿を見て、一瞬で複雑な思いが心の中を飛び交った。
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