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2本目 親友と彼女と女子バスケットボール部

違う 20-8

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「成美さんは、そんな人じゃないでしょ……」

 派手に見えるのは、おしゃれだからで。ノリが軽いように思えるのは、誰にでも気を遣えるからで。

 1年以上同じクラスでいた上に、恋人である健一からも話を聴かされてきた。保健室で直接、思うことを聴かせてくれた。

 僕はもう、彼女が真面目で優しい人だということはよく分かっている……はずだった。

 そんなふうに扱われていい人じゃない。また、親友の大切な恋人を、誰かにそんなふうに扱わせたくない。そう思う。

 けれど……僕の知っている面が彼女の全てではなかったのか。真面目で優しいからといって、性欲がないわけではなかったのか。

「ねぇ……本当にあたしたち二人のことを考えてくれるなら、小暮っち自身があたしの処理をしてくれた上で、黙ってればいいんだよ。自分自身でできることなんだから、それが一番確実でしょ? そうしたら、あたしはアイツとうまくやってみるからさ」

 言いながら彼女は、スカートの下で、お互いの股間を擦り合わせてくる。

「本当に……」

「ん?」

 僕は瞼を一度閉じてから、成美さんを見上げた。
「本当に、僕のことを好きなようにすれば、それで成美さんは他の人と変なことをせずにいられる? それをしながらだったら、健一と付き合っていられるの?」

「うん」
 彼女の髪が僕の頬に柔らかく降ってくる。
「小暮っちは優しいね」

 そうして、唇が塞がれた。

   ●

 健一は言っていた。成美さんは初めての時は痛がって、その後ずっと誘いを断っていたと。

 けれど彼女は自ら服を脱ぎ、奉仕するよう僕に言ってきた。

「どうしても嫌だったら、自分からはしなくていいけど」

「いや……大丈夫。ちゃんとするから」

 僕で満足してくれている限りは、赤の他人とはしないでくれる。だからできる限り、よろこばせなければならない。

 そんな理屈は、罪悪感から逃れるための口実かもしれなかった。

 実際に僕を動かしたのは、親友の彼女を守るためというような義務感ではなく、未知の行為への好奇心と、この機会を逃さず気持ち良くなりたいという欲求だったのかもしれない。

 彼氏が今は望んでも触れられずにいるというその体を、僕はおそるおそる触った。とても柔らかくて滑らかで、どう扱っていいか分からないくらい細いことに驚いた。

 服の上からではあまり目立たない胸も、ちゃんと膨らんでいて女性そのものだった。

「痛かったら言うし、それだけで怒ったりしないから……そんなにビクビクしてないでちゃんと触ってみなよ。初めてなんでしょ?」

 胸を触っているのに成美さんが嫌がったりも怒ったりもしないというこの状況が、なんだかとても奇妙に思えた。

 ましてや、脚を広げてその部分まで見せてくれるなんて。

「口を付けるのは、無理だったらしなくていいから」

 顔を近付けてみたら、成美さんが何を気にしているかは大体分かった。ただ、不快だとまでは思わなかった。異性のものだからだろうか。興奮と好奇心の方が上回ったからだろうか。もしかしたら健一は、してくれなかったのかもしれない。

 むしろ指で触る方が痛くしてしまわないか心配に思えたので、舌を使う方が気は楽だった。

 どこをどうすればいいのかなんて分からなかったけど、それでも彼女は凄く興奮して、そしてよろこんでくれたように見えた。座った椅子はガタガタと音を立てた。


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