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2本目 親友と彼女と女子バスケットボール部
RULE THE GAME 15-8
しおりを挟む翠さんは、良い考えがあるとばかりに胸の前で両手を合わせて微笑んだ。
「何でも言うことをきいてくれる男の子ができるなんて! 私、きょうだいもいないから、とっても楽しみ」
ああ、弟分が欲しいのか――と少し微笑ましく思った僕は甘かったとしか言いようがない。
「小暮君のアルバイトって、毎日・毎週というわけではなかったわよね?」
「え? はい……基本は長期休みの間で、後は人手が必要な時に不定期で入るくらいなので……」
特例で許可を得ているアルバイトなので、制限も課されている。流河自体も毎日僕を必要とする状況でもないし、スミレ子さんもいるので。そのあたりは、お客さんとして食事に来る彼女たちにも話したことがあった。
お金を巻き上げる対象としてはあまり美味しくありません――と言外に伝わるだろうか。
しかし翠さんは、それならよし、というように幾度か頷いてから片手の人差し指を立てた。
「何をお願いするにしても、私たちのそばにいてくれないことには、どうしようもないじゃない?」
「それはまあ……」
「だから小暮君にも女子バスケットボール部に入ってもらうわ」
たっぷり5秒くらい、僕は言葉が出てこなかった。
「どうしたの? 質問があれば許可するわよ」
「……あの、女子バスケ部なんですよね?」
「ええ、女子しかいないの。監督の千華子先生も女性」
「僕は男子なんですが……」
「知ってるわ。まだ確かめたことはないけれど」
「一緒に競技はできませんよね? そもそもバスケは授業以外でやったことがないですけど」
「練習は男女混合でする運動部もあるみたいだけど、公式戦には出られないわね。大丈夫よ。さすがに選手として参加しろとは言わないから」
そうして翠さんは長椅子に下ろしていた腰を上げて、両膝を揃えて僕の前にしゃがみ込み、肩に手を置いてきた。
「運動部にはマネージャーという立場があるじゃない」
また3秒くらい、僕は何を言われているのかが分からなくなった。
「……女子の運動部の男子マネージャーって、あまり聞いたことがないんですけど」
「そうね。男子部や男女混合の部活だと、男の人がマネージャーに専念していることもあるようだけど。でも、男子部の女子マネはいるんだから、逆があってもいいんじゃない?」
健一が活躍している野球部にも女子マネージャーがいる。テレビ番組やネットニュースなんかでも女子マネージャーは紹介されていることがあるし、漫画やアニメなどでもよくある設定だと思う。
でも確かに、どうして逆の例は……女子運動部の男子マネージャーという設定には、覚えがないんだろう。
「……それって、何をするんですか?」
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