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本編〜アリアベル編〜
2.初夜 2 ※
しおりを挟む「あっ……っく……」
ようやく念願叶い一つになれたのに、テオドールは挿入した瞬間アリアベルの中に精を放ってしまった。
どくどくと問答無用で射出される感覚に、テオドールは情けなさで涙目になってしまった。
「テオ……?」
「ふぁっ、待って、ベル、そのまま……」
自身に覆い被さり半泣きになりながら息を整える夫を見て、アリアベルの下腹部がキュンと収縮した。
「ちょ、やめ、ベルっ……刺激が強すぎるっ!」
「えっ?えっ……」
じんじんと引き攣れ痛むそこも気にせず身動ぐと、テオドールは再び「ぅあっ」と呻いた。
「テオ……?えっ、と、……終わり?」
その言葉にテオドールは顔を歪め、力無くアリアベルの胸に顔を落とした。
「ごめん、あまりにも予想と違い過ぎて、無理だ……」
ボソボソと小さな声で呟かれた言葉に、アリアベルはショックを受けた。
きっと自分が至らないせいで……と、目頭に涙が溜まってしまう。
「ご……ごめんなさい」
「ああ、違うんだ、ベル。ベルのせいじゃない。いや、ある意味でベルのせいなんだけど、そうじゃなくてっ」
未だに剛直は埋められたまま、腰が砕け痺れそうな感覚に背中からゾクゾクしてしまうテオドールは、妻の涙を口付けで吸い取った。
「予想より、すっごく良くてっ、温かくて柔らかくて、練習より気持ち良くてっ……」
〝練習より気持ち良くて〟
その言葉にアリアベルの涙はとうとう決壊した。
「もう……もう!そうやって!他と比べないでくださいっ!」
泣きながらテオドールの胸を華奢な手でポカポカと叩く。
「待って、ちょ、ベル、止まって」
叩かれながらも中に入ったままのモノが締め付けられ、揺すられ、それがまた快感を生み出し、テオドールを苛んだ。
「しかも大事な初夜なのに!他のっ……女性と、シタ事を言うなんて……」
ポロポロと涙を流しながら、アリアベルはひっくひっくと泣き出した。
その様にテオドールは眉間に皺を寄せながらまずは誤射しないように耐えた。
「してない……」
「ウソよ!」
「嘘じゃない、俺だって初めてだよ!」
顔を赤くしながらテオドールが叫ぶと、アリアベルの瞳に溜まった涙が止まり見開かれた。
「うそ……だって、比べて……」
「比べたのはベルを模した人形とだよ。練習に使ってたのはそれ。無機質で冷たいモノと柔らかくて温かくてイイニオイするベルとじゃ比べ物にならないだろう……っぅあっ、ベル…ッ」
無意識に中のモノを締め付けたアリアベルに我慢も限界になり、テオドールは再び望まぬ解放をしてしまった。
「も……ごめ……、情けなくて泣きたい……」
精通を迎えた頃よりアリアベルに対しての劣情を必死に抑え込んで来たのだ。
結婚し、我慢しなくて良くなり、箍が外れたように妻を求め、想像以上のものにテオドールのコントロールはいとも簡単に狂う。
まだ挿入しただけだ。
だが二度発射しても衰えず、その温かな秘部にテオドールは離れ難い思いがした。
「テオも…初めて……?」
「うん。かっこ悪くてごめん」
「閨教育は……?」
「受けたよ。でも実践はしなかった。ベルが純潔を守ってくれてるのに、俺だけするのは何か違うと思ったから」
その言葉にアリアベルは目を見開いた。
閨教育を受けたのに実践しないなんて事があるのかと、戸惑った。
そんな妻の惑いを感じたテオドールは、額に口付けた。
「ずっとベルだけを抱きたいと思ってたんだ。
だから今すごく幸せ。
でも、ごめん。例え人形でも比べるとか最低だった」
頭を撫でながら、優しい瞳で見つめられればアリアベルもそれ以上は責める気になれなかった。
「比べないで。他の女性とは、しないで……」
「しない。ベルとだけ。ベル以外いらない。
愛しているよ。……ごめん、ベル、そろそろ動いていい……?」
快楽に耐えるようにテオドールが息を荒らげると、アリアベルはこくりと頷いた。
「ゆっくり、する。痛かったら言って…」
その言葉を合図に、ゆっくりと腰を動かすと先に放たれた白濁が潤滑油となりじんとした痛みは和らいでいた。
「ふ……ぅん…、あっ、あぅっんふっ…」
恥じらいながら喘ぐ妻の媚態に酩酊しながら、テオドールは腰を動かした。
胸の頂きを口に含み、舌で転がしながら互いの指先を絡める。
大切にしたい、傷付けたくない、優しくしたい。
そんな思いと、もっと乱れさせたい、激しくしたい、全てを暴きたい。
そんな相反する思いの全てを妻にぶつけるように行為に没頭した。
「ベル、そろそろ……っ」
「ぅあっ、あっ、テ、オ……、こわい、テオ……ぎゅってして……」
上目遣いの涙目で見られれば、背筋がゾクゾクとする。
「ああ、ベル、好きだよ。愛してるよ」
「テオっ……あっ、私も……あっ、ああっんっんぅー」
愛を囁き合いながら二人は高みに登り詰め、、テオドールはアリアベルの奥に精を放った。
ふっ、ふっと余韻に浸り、啄むように口付ける。
しっとりと汗ばんだ妻の額にかかる金の髪を避け、テオドールは何度も口付けた。
若さゆえか再び臨戦態勢になろうとしているが、流石に破瓜の痛みを思うと何度もしようとは思えず、テオドールは名残惜しさを感じながらずるりと己を抜いた。
こぷ…と淫靡な音を立てると、中から白濁と共に赤い純潔の証が流れ出る。
その事に分かってはいたが喜びが湧いてきた。
くたりとベッドに身体を投げ出している妻の為にあらかじめ用意されていた濡れたタオルを取り、身体を拭いていく。
「あっ…ん」
それすら今のアリアベルには快感となって伝わる事にテオドールは愛おしさが増して行く。
甲斐甲斐しく世話を焼くのは自分の特権だと言わんばかりに、アリアベルの身体を拭き、夜着を着せると自身の胸に抱き寄せて掛布に包まった。
すぐにすーっすーっと妻の寝息が聞こえてくる事に至上の喜びと幸福を感じながら、テオドールも目を閉じた。
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