機人ヴォルフォリオスのぐうたらな日常

流星群

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第7話 機人には理解出来ねぇソレ

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 本日、ヴォルフォリオスはドラグブレイバーと共に天皇パレードの護衛任務の仕事をしていた。護衛とはいっても、近くで戦闘態勢を取っいるものではなく、近辺のビル屋上で、暗殺者がいないか、サーチしているところだ。
 カメラアイでサーチを終え、ヴォルフォリオスは「ふぅ」と一息降ろす。
「味方以外に武器を所持している奴はいないな」
 ここで、向かい側のビル屋上で待機しているドラグブレイバーから回線が入る。
「よう。そっちはどーよ?」
「ドラグブライバーか。問題はない。パレードは無事に終わりそうだ」
「だろーな。ところでよぉ~」
「?」
「皇太子の嫁さん? 腹、大きくね?」
 どれどれとヴォルフォリオスは下方を見やる。皇太子の隣にいる美しい女性は皇太子と共にパレード用荷台カー上で手を振っている。無難な笑顔を持って。そんな細身な彼女の腹だけが膨張しており、肥満というワケではなさそうな印象を受けた。
「ふむ。あれは妊娠という奴らしい。腹の中に子供がいる状態らしい」
「へぇ。あれが……。人工性授精の時代に珍しい」
「上流階級の人間は子孫を残す余裕があるのさ……。それに、ああいうのは血統を絶やさない方がイイらしい。俺にはよく分からん話だが」
「同感。俺っちら、機人にはパリサツ理解出来ねぇや。生まれた環境選べない奴を増やすとか、どんな鬼畜文化だよ。いやぁ、俺っち、天皇の血に生まれなくてマジラッキー」
「俺は……人間のままであっても、子孫繁栄には否定的な考えだろうな。選べない親や環境につきまとわれるなんて自分自身味わいたくないし、誰かに味あわせたくもないものだ」
「だよなー。『俺はお前の子供に生まれたくて生まれたワケじゃない』と文句言っていた奴が言われる立場になるとか、そーいう負の連鎖? 断ち切るべきだよなーマジで」
「昔は断ち切れなかったが、断ち切れるようにはなった。それだけでもよしとしておこうではないか……」
 赤い龍剣士人は青いガンマン機人の主張に頷いた。
「あぁ。子孫を残すとしたら、ありとあらゆる環境を与え・許すぐらい余裕で出来ねぇと。……そんな有能な金持ちな上、縛りの無い立場。あるワケねーか。アハハハハ……」
「長い歴史を掛けて、ようやく家族と言うものがエゴでしかないと大勢が理解した……か」
 ヴォルフォリオスは冷徹な機械仕掛けの瞳で皇太子夫妻を見下ろすのであった。
 





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