機人ヴォルフォリオスのぐうたらな日常

流星群

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第3話 あのオッサンは何故か人間のまま

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「フッ。そりゃあ、力は無いよりあった方がイイさ。選択肢が増える。だからといって、力を悪いことに使っていい理由にはならないだろう」
 右腕のシールドをスナイパーライフルに変形させ、ヴォルフォリオスは暴漢機人の両腕を器用に根こそぎ持っていった。
 流石に「覚えていろよ~」と古典的な捨て台詞は吐かなかったが、暴漢機人は尻尾を巻いて逃げていくのであった。
「ま、最悪相手に手を上げる直前だったし、見逃しておいてやるか」
 ふぅ。と、ヴォルフォリオスは脱力し、尻餅付いている中年男性を発見する。
「オッサン、大丈夫か?」
「問題ねぇよぅ。保安ロボのにーちゃん、あんがとよ」
「しかし、何故あんたは狙われたんだ? 心当たりは?」
「腹いせだそうだ。ワシみたいな時代遅れは存在する意味が無いだとかぬかしよって……」
「時代遅れ?」
「今時珍しいだろ? こんな醜い短足チンチクリンハゲジジイなんてよぅ」
「確かに、今は優れた理想の容姿を簡単に手に入る時代だからな。機人にならない人間は子供以外では今時珍しいのは事実か」
「ワシはどんなに醜いと言われようとも、生まれて来たこの身体を捨てたくなくってなぁ。まぁ、あんちゃんには分からん話だし、理解なんかされなくても構わんよ」
「確かに理解は出来ない。俺は人間時代、自分を無力だと思っていたから……。やはり、世の中は無力で醜い人間には冷たいように出来ている。悲しいことだけど。だから、歴史上貧乏な人間は子孫繁栄辞めていき、裕福な人間の子孫の方が相対的に増えた。更には不完全な人間よりも優秀な機械の身体を人間は得ようとした……」
「まぁ、あんちゃんの言う通り、無力さ・醜さで苦悩する人間を減らせる分、昔よりはイイ時代よぅ。ワシもガキの頃は金持ちや顔のよい奴を妬んだものだよ」
「それでも、あんたが変わりたくないんだな」
「あぁ。勝っている奴の真似をしたら、それこそ屈服しているみたいでワシはどうも……。差別されるのも覚悟の上。さて、そろそろ職場へ戻らないとなぁ」
 そう言い残して、小さく丸まった背中をヴォルフォリオスへ向けて、中年男はこの場を後にするのだった。
「ま、色んな奴がいるってことか……。俺は俺の人生ならぬ機人生を生きて行こう……」
 ヴォルフォリオンは狼モードへ変形。
 ワァオーンと、孤高の咆哮を一発奏でて、四肢を使って駆けて行った。








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