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マクー大陸で家造り

番外編 初めてのおつかい

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 あまりに暑いので、涼しくなる話をと思ったのですが•••登場人物は涼しい、冷たい感じの子だけど、長くてあまり涼しくない話になってしまいました•••

 雪ん子 ユキちゃんの番外編です。

    ❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅

 今日は…いえ、昨日から、みんながソワソワとしています。
 なんでも、リョウが『成人の義』というものをやるからなんだそうです。『成人の義』とは、人として一人前になりましたよ。と、周りの人達に認めてもらうための儀式なんだそうです。それで、リョウは、砂漠のダンジョンに一人で入り、バジリスクを倒さないといけないらしいです。
 その事で昨夜は、シリュウや新しく来たスオウちゃんがなんか騒いでいたけど、今日は、朝早くから、ユピロー様やノワールさんと、始まりのダンジョンに出掛けていきました。
 残っていたディルやクラリーは、リョウの世話を…いいえ、ディルが、リョウの世話を焼き、そのディルがやり過ぎないようにクラリーが止めていてなんだか忙しそうです。
 ユキは、いつものようにその光景をココの背の上で見てました。

「ココとユキは暇そうね?」

 そんなユキ達を見て、タランティーヌ様が側に来て仰りました。

『ワタシは、暇なわけではないですよ。今日の予定は決まっております。ただ、クラリーが、あの状態なので、待っているだけです』

「あら?そうなの?」

『はい、リョウを見送った後は、リョウの為のお祝い料理を用意しなくてはいけないので、クラリーと買い出しに行く予定です』

「あら?まだ、これからの事なのに、もし、負けちゃったらどうするの?」

『負けると思いますか?』

「かわいくない聞き方するわね」

「モンディール様が創りましたからね」

 タランティーヌ様とココの会話は何だか引っ掛かる言い回しがあって、ユキにはよく分からないけど、タランティーヌ様が、ナゼか、ユキでも寒さを覚える笑顔を向けてきて…

「ユキは、ちょっと、お散歩行ってき…」

 ココの背から離れようと飛び立った直後に襟首をタランティーヌ様に捕まれてしまったです。

「な、なんですか?ユキはなにもしてないですよ?」

「そう、何もしていないわね。それに、今日の予定も無いようね?」

「ユキは、クラリーの手伝いですよ?でも、今はやる事ないからお散歩に…」

「そう!なら、ユキちゃんにも、リョウのお祝いの準備の買い物に行ってきてもらいましょうかね?」

「え?えーと、ココとですか?」

「ココは、クラリーとでしょ。だから、ユキちゃんは一人で行ってきてくれないかしら?」

『タランティーヌ様、ユキは、一人で行動したことないですので、私も一緒に行きますよ』

「あらあら、生まれて直ぐに、遠いところを一人で飛んできたのに、それからは。一人で行動させないなんて、甘やかしすぎよ。リョウと一緒に『成人の義』をやってもらいましょう」

「!、ユキも、『成人の義』やるですか?一人前になれるです?」

『ユキ、タランティーヌ様にのせられてはダメですよ。ユキは、精霊に近い魔獣なのですから、関係ないですよ』

「えー、でも、リョウだけ、イベントあって面白そう」

「でしょう。だから、ユキちゃん、一人でお使いに行けるかな?」

「行けますよ。何を買ってくれば良いですか?」

「いいお返事ね」

 タランティーヌ様に交換の為の食材をいくつか貰い、一人でお使いです。頑張るです。

 あ、タランティーヌ様に言われて出てきちゃったけど、リョウはまだ出発してなかった…まぁ、ユキの方が遠いところに行くからいいよね。と、言っても、タランティーヌ様に言われたものは、ユキの仲間が作ってるジェラートです。五年前にリョウ達と一緒に作ったアイスにはまり、いろいろ作ったら、お店が出来るほど評判になったです。今では、雪ん子印のアイスクリームとジェラートは、全大陸で人気のあるお菓子になっているんです。
 人族が多いスーンや寒いエンプでは、生クリームたっぷりのアイスクリームの方が人気があり、暑いゲトーやマクーでは、さっぱり味のジェラートが人気なんです。どちらも同じくらい人気があるのは、エルフの多いハバーなんです。
 そして今回、タランティーヌ様の目当ては、女王様が指揮をとり新しく作ったジェラートです。なんでも、昨夜、連絡が入り、リョウの成人のお祝いにと女王様が言ってくれたそうです。
 
 なんで、女王様と繋がっているユキではなく、タランティーヌ様に?

 って、女王様に質問してるのですが、全然返事がありません。何を考えておいでなんですかね?

 久しぶりの全速力でマクーからエンプに向かい、今は、吹雪の結界は無くなり見晴らしのよい、雪の平原を進むと少し青みがかった銀色に輝く氷の城が見えてきました。二年前、宿泊施設を視野に入れ増築された新館と観光用にドワーフの特技を持つ雪ん子達が作った氷の彫刻が並ぶ庭園が見えたので、速度を落とし女王様の気配を探るです。
 いつものように、旧館の大広間に居るようなので、そちらに向かいます。途中で、氷の乙女に見つかり、平時は、城内での飛行は禁止だと注意を受けてしまったです。
 ちょっと、反省しつつ氷の乙女に案内されて、女王様がいる大広間に入りました。ユキが生まれたときは、少し薄暗くて女王様の後ろには、女王様の母上様が氷漬けになっていましたが、今はなくなり、母上様をモデルにした美しい女性と綺麗な花を描いたステンドグラスが嵌め込まれています。室内も明るくなり、前はなかった綺麗な花が飾られています。

「ユキ、お帰りなさい」

 前は無表情だった女王様が笑顔で迎えてくれました。

「ただいまです。女王様、ユキはちゃんとお使いが出来ますよ?なのに、なんで、タランティーヌ様にお願い……あれ?女王様?」

「どうしたのユキ?」

 元々、お綺麗だったけど、柔らかな笑顔を見るようになって、先ずそちらに目がいくから気がつくのが遅れたです。

「じょ、女王様、大きくなったですか?」

「ふふふっ、分かる?少しだけど、身長が伸びたのよ」

「おお!な、何があったですか?」

「ユピロー様方、天上の神々が、雪ん子達の認知度が上がったから、種族として確立しないかと言ってくださったの」

 ???

「どういうことですか?」

「今まで、皆が私と繋がっていたでしょ」

「はいです。モンディール様から、分身体に近いって聞いてました」

「そう、それぞれ外見だけを他の種族に真似たりして、それっぽくなるような能力を一応付けてはいたけど、ユキとハナ以外は、思考は出来なかったの、あくまでも私が興味を持ったものをやってもらっていただけで個性は無かったのよ」

「そうなのですか?」

「ユキとハナも始めはそうだったけど、直ぐに私から離れて他の人達と接したからか、直ぐに自我が芽生えて、個としての存在になったでしょ」

「よくわからないです。ユキは女王様に創られて、旅をしていろいろ見てくるように言われたから、そうしていたですよ?」

「そうね。でも、旅だけじゃなくて、料理をしたり、家を建てたり、花を編んだりしてるでしょ?」

「はい、みんないろいろ教えてくれるから楽しいです」

「そう、ユキがいろいろ体験してくれるから、その学習したことを私も吸収し、他の子達に与えることが出来ていたし、他の子が学習したことを、ユキに伝えることが出来たけど、雪ん子を種族として確立したから、私との繋がりがなくなり、これからは、私から伝えられなくなってしまうけど、個々の考えで、何をするのか決めることになるの、それに、たぶん個として成長のバラつきも出てくると思うわ、ユキやハナのようにね」

「えーと?」

「他の種族を真似た特徴以外は皆同じで違いは無いでしょ。特に顔に関しては」

「はい」

「それが、考え方や育ち方、育った場所なんかで変わってくるの、それに人の様に性別なんかも出てくるかもしれないと仰ってたわ」

「えーと、ディルやクラリーみたいな違いですか?」

「そうよ」

「おお!」

「そこで、一部の子達を種族として確立させたの、そうしたら、背が伸びたのよ。父が言うには、ここ数年いろいろ体験し吸収していた事を雪ん子達と共有していたけど、その繋がりがなくなったから、その子達と共有していた魔力の分、身体に変化があったということらしいの、そしてね、ユキやハナを含めた一番古くからいる子達も、種族として確立さるかどうか、ユキとハナの意見を聞きたいと思ったのよ。どう思う?」

「ハナは、なんて言ってるですか?えーと、種族になると、個々で考え行動するって、ユキはディル達と離れないといけないですか?」

「ハナは、私の側に居られるからどちらでも構わないと言っているわ。だから、ずっと離れているユキに任せるそうよ。それと、繋がりが無くなった後はユキの自由よ。今まで通りディル達と一緒に行動しても良いし、一人で何かを始めてもいいのよ」

 ハナは一緒に居られる•••?女王様にも、シス様にも教えてもらってない!ヒドイです。ユキ知らなかったですって、今は、それどころじゃないです。

「後、女王様と繋がりが無くなると、女王様とは自由に話せなくなるですか?」

「それは、レベルと相性次第と言っていたわね」

「レベル?相性?」

「そう、何でも、今まで曖昧だった冒険者なんかの職業のランク付けをもっと分かりやすくするそうなの、その基準となる能力を数値化してレベルを決めて、ランク分けするようになるそうよ。今までの様に、この魔物が倒せたからとか、この魔術が使えるからとか、これだけの依頼を受けたからとか、魔力量が多いからだけじゃ駄目なんだそうよ。その職業にあった技術レベルがいくつ以上って決められるらしいの、以前あった他の大陸に行くための審査のような感じが、近いそうよ」

「んーと、今は、女王様と繋がっていて、膨大な魔力があって、しかも、うまく扱えないから、シス様に貰ったペンダントで抑えているけど、その魔力が無くなるんですよね。そのレベルは、いくつぐらいになるですか?」

「それは分からないわ、種族として繋がりが切れたところでユキ達がどのくらいなのか、神々も測れないそうよ。ただ、ユキとハナは、いろいろな場所に行き、いろいろ体験してるから、他の子達よりレベルは高くなるだろうと仰ってたわよ。後、アイス作りや彫刻なんかをしてる子達は特殊技能が付いているかもと仰ってたわ、そういう子もレベルが高くなるらしいわよ」

「じゃ、じゃ、じゃぁ、種族になったばかりの時は、女王様との繋がりが切れるけど、自分の頑張り次第で、またお話を出来るってことですね」

「そうよ。後、繋がりが切れたところで、モンディール様の転移の魔方陣も使えなくなるそうよ。あれは、膨大な魔力が必要なんですって」

「ええー、じゃ、じゃ、女王様のお土産はどうするですか?」

「フフフ、繋がっているからそう思ってくれるけど、種族として独り立ちしたら、そんな事思わなくなるかもしれないわよ」

「え?なんでですか?お土産いらないですか?」

「いいえ、ユキが選んでくれる物は、綺麗で可愛くて全部好きよ」

「!、女王様のお土産は、運んで来ればいいんですよネ。ユキは、飛べるのだから」

「あ、それも•••魔力量が減るから、もしかしたら飛べなくなる子もいるかもと•••」

「え?そうなのですか?」

「そう、それに関する魔術が使えないと無理で、今まで多く使用していたモノは定着し残る可能性はあるけど、あまり使用していなかったモノは消えてしまうかもしれないと聞いたわよ」

「もし消えたら、もう飛べないですか?」

「他の人達と同じように練習して使えるようにはなる可能性はあるそうよ。種族の魔術として習得可能にしてくださったから」

 練習!リョウの様に特訓するです!

「フフ、そんな風に考えるということは、種族として確立したいと言うことかしら?」

「ハイです。ミンテやココは、直ぐに成長したし、クラリーはゆっくりだけど、背が高くなってきてます。リョウなんて、ディルより大きくなって、今日は『成人の儀』で、大人になったと認めてもらうそうです。だから、ユキもここに『成人の儀』として、タランティーヌ様にお使い頼まれたです」

「『成人の儀』•••独り立ちというのは、あっているけれど•••魔力が減るのだから、今まで出来ていたことが出来なくなるのよ。それでもいいの?」

「大丈夫です。今まで、魔力が多すぎてダンジョンでも戦えなかったし、リョウ達と特訓して、女王様とお話したり、空を飛ぶのは習得します!」

「そう、では『成人の儀』の為の商品を渡し、家に無事に着いたら、残っている雪ん子達全員を種族として確立するわね。魔力だけじゃなく、身体にも変化があると思うから、無理せずゆっくりと馴染んでね。そして、時々、遊びに来てくれると嬉しいわ」

「ハイです」
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