上 下
125 / 155
マクー大陸で家造り

様子見

しおりを挟む
 普段の生活では使わないし、ダンジョンに入った時にも、今みたいな魔術は要らないからねと剣に向かって説明していたら、ユピロー様から待ったが掛かった。

「地属性の者が行った追跡型の石礫は、必要だぞ。爆破は入らんが、的に正確に当たる石礫は使えるぞ」

「あっ……」

 た、確かに…僕の場合、手で投げたり、弓なんかは何故か軌道がそれてしまう。サッカーをしていたせいか、足で蹴った方が命中率が良いという、皆に不思議がられる程のノーコンなんだった。

「確かに、あれは、便利そうで良かったね。後、最初の石礫もいい感じだった。風の方も、よく考えたら大型の魔物には、必要だね。闇も使えそうだし、火の方は…雪の女王のダンジョンや竜王のところなら、使える場所あるかもしれないし、水は…科学が得意な人に聞いてみるよ」

「スーンには、使える者が居そうですね」

「!、そうか。魔術が苦手な人たちだから、科学が発達してる?」

「はい、転移者の影響もあり、魔術ではないモノづくりがいろいろなされてます」

「じゃぁ、ここが落ち着いたら、スーンにも、行って…」

「リョウ様?どうせれましたか?」

 突然黙りこんでしまったので、ノワールさんが、首をかしげながら聞いてきた。

「い、いや、スーンで思い出した。スーンに行くなんて言ったら、また、ディルが付いてきて、お城とか、五重塔とか造るとか言い出しそうなんだよなぁ」

 スーンは、人属が多く暮らす大陸で、転移者の影響が一番大きい場所で、いろんな国の影響が出ている地域で別れている。高層ビルが立ち並ぶなんてところまではいってないけど、レンガの建物が多い地域や、木材が多く使われる地域や金属やコンクリートが多く使われている地域、広い草原地帯には、遊牧民のテントの様なモノで生活してしている人達もいる。そして、ディルがハマっているのが、日本式の建物で、しかも、僕が、あまり馴染みがないようなもの…お城や寺院、お社や目茶苦茶広い武家屋敷とか、変に凝った忍者屋敷みたいなカラクリなんかも造り出しちゃいそう。

「城や塔ですか?」

「そう、エンプみたいな石造りじゃなくて、木や…漆喰って言ったかな?白い壁のお城なんだ」

「ああ、ヒメジジョウとかいうのですね」

「え?ノワールさんなんで、姫路城知ってるの?」

「スーンの街に建ってますよ」

「え?本当に?」

「はい。何でも転移者が指揮をとり完成させたとか、その城の周りの城下町も、木の家や漆喰、瓦屋根を使った家が並んでいますよ。最近来た転移者には、映画村のようだといって人気があるんですよ」

「どの辺りですか?」

「スーンの南、転移者が興した島々に近い半島にです」

 タクマさんが居る島には何度か行っていたけど、空から観てもそんなの気がつかなかった。とはいえ、スーンの大陸は起伏が激しく山が多いから見えなかったのかな?

「観てみたいな」

「なら、ちょっと、行ってみるかのう。その間に、スオウの馬具を見繕っておいてくれるか?」

『え?ワタシは、お留守番?』

「ふむ。お主には、ちと窮屈な町なのだ。それに、お主が天上に居たからな、存在がまだ知られておらん、皆が驚いてしまうから、今回は、藍ちゃんと留守番じゃ。テルキネスに着心よい馬具を見繕ってもらってくれ」

『むぅ~、分かったの…、でも、早く帰ってきてね』

「もちろん、ちょっと、様子を観に行ってくるだけだから、直ぐに、戻ってくるからね」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

その国が滅びたのは

志位斗 茂家波
ファンタジー
3年前、ある事件が起こるその時まで、その国は栄えていた。 だがしかし、その事件以降あっという間に落ちぶれたが、一体どういうことなのだろうか? それは、考え無しの婚約破棄によるものであったそうだ。 息抜き用婚約破棄物。全6話+オマケの予定。 作者の「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹が登場。というか、これをそっちの乗せたほうが良いんじゃないかと思い中。 誤字脱字があるかもしれません。ないように頑張ってますが、御指摘や改良点があれば受け付けます。

処理中です...