上 下
112 / 155
マクー大陸で家造り

漆黒のユニコーン

しおりを挟む
 そんな簡単に…と、驚いている間に、今まで感じたことのない魔力が近づいて来たことを察知する。
 テレキネスの所にいくからと、ガーラの街を歩きながらの会話だったのに…

「う、ノワールさん、いきなりここに呼ぶのはマズイような気がします。急いで、町から出ましょう」

 僕は、そういって走り出した。

「大丈夫です。門の外での待ち合わせにしておりますから」

「え?あっ…」

 トットッとぉー…!

 まるでコントのように、間抜けな格好で急ブレーキをかけ止まってしまった。

「そ、そうなんですね。でも、本当に大丈夫ですか?なんか、スゴい魔力を感じますよ」

「ほぉ、やはりリョウ様はスゴいですね。まだ、大分離れている上に、こちらの観察の為の曾祖父の魔力を感じ取れるとは…」

 何やら感心して呟いていたノワールさんが、ニヤリと笑みを浮かべた。

「やはり、地上人離れしておりますね」

 うっ…何だろう?何か、ダメージを受けた感じがする。

「深く考えないようにしているので、今後、その話題は、ナシでお願いします」

「おや?…分かりました。ふむ。やはり、興味深いお人だ」

 僕の言葉に首をかしげながら、そんなことをノワールさんが、呟く…なんで?僕が?何か変わったことしてる?

 そんな感じでガーラから出て、直ぐに合流かと思っていたけど、何故か、魔力は感じるけど姿がみえない。ノワールさんに、促され、岩山群に向かうと、一番手前の山の影が膨れ上がる。

「もしかして、曾祖父さんですか?」

 ノワールさんに聞くと、膨れ上がりだんだんと、馬の様な形になっていく黒いモノの近づいて、こちらを向いた。

「そうです。元は、ヘパイトス様に造られた槍で、地上では、一番最初に創られた巨人族の手伝いをするために、巨人族の影から生まれ出たとされる漆黒のユニコーンのローサです。それと、私達の子孫のスオーです」

 ノワールさんが、紹介してくれたけど…

「でかいッスねぇ~」

「うん…」

 シリュウと二人、天を見上げるように上を向いたけど、下からのアングルじゃ、大きい馬の顎しか見えない。ユニコーン特有の角は?それに、子孫さんも紹介してたけど、姿が見えないんですけど…

「シリュウ、この方に、つっかかかってこられたの?よく無事だったね」

「いや、ワレが見たのは、地上に居る馬と同じぐらいの大きさでしたよ」

『ふん、お主と会っていたのは、分体だ』

 お、ちょっとハスキーな感じの声色だけど、聞きにくい訳ではなく、しっかりとした念話が聞こえてきた。

「リョウ様方、ちょっと失礼します」

 ノワールさんが、近くに戻ってくると、直ぐに詠唱を始め、僕達は岩山の上に降り立った。
 目の前には、漆黒の艶やかな毛で、たてがみも、磨きあげられた黒曜石の様にかがやいていて、更に額から伸びる角は黒水晶のような光沢があり、こちらを見る大きな眼は、光が差し込んだ海の中の青色のような色をしている。

「うわっ、綺麗…あ、失礼しました。ローサさんですね?はじめまして、リョウ ハバー タテマツです」

『曾孫のノワールが世話になってる御仁だな。ローサという、よろしくな』

「世話だなんて…いえ、こちらこそ、よろしくお願いします」

 前世が日本人だったからね。恐縮していたら、ノワールさんから、なんか圧が…こ、怖かった…

『地竜の剣よ。そんな風に隠れんでも良いではないか、本気で、お主を壊す事など考えておらん。ただ、気に入った住まいだったからな、少しぐらいイヤミを言ってもよかろう?』

 僕の背中に張りついてるシリュウに向かって、ローサさんが言う。なんとなくSな人のような感じで、含みを持ってるような喋りだ。

「もう、昔の事じゃないッスか、それに、ワレが生まれたばかりの時の事ですよぉ…ハッキリ言って、あんまり覚えてないことなのに…それに、今はシリュウって名前をもらったスよ」

 うん、人の背中に張りついて、ぶつぶつと言ってる。ちゃんと、面と向かって言いなよ。と、背を押してやる。

「なっ?なっ、なにするんスか?ワレはいいです。会いたくないです」

 と、直ぐに、また、僕の背に隠れてしまう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

もういらないと言われたので隣国で聖女やります。

ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。 しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。 しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

処理中です...