上 下
61 / 155
マクー大陸で家造り

スカウト 21(回想:エンプ初級ダンジョン)

しおりを挟む
 こちらの世界の人達みたいに、歌うように詠唱出来たり、昔の複雑な言いまわしが出来れば良いけど僕の場合は、ストレートに精霊達にお願いする感じだから、複雑なモノを描いたことがないんだよなぁ…少し考えて、今回は、少し回りくどくするために…

「さいしょは、火をおこせる子と光をだせる子あつまってぇ」

 …昔見ていた子供番組に出てきた、お兄さんをマネて幼い子達に説明するように、言葉を多くしてみた。最初に描くのは、直径十センチ程の魔方陣から始める。

「つぎは、火をおこせる子達から、ねつをうばえる風の子達あつまってぇ」

「風の子達のまわりに、水をだせる子あつまってぇ~」

 ここからは、ちょっと、複雑な事をお願いしていくから、身ぶり手振りを加えて、精霊達に説明していく。

「さいごは、闇の子達がまわりのあかりをおおって、くらくなったら、みんな、はじめてぇ」

 僕のは、逆三角錐になる感じで、魔方陣を描き、階段を少し上がった所で、大きく手を降り皆に合図を出した。すると、上から広間を照らしていた灯りにシャッターが下りる様に暗くなっていく。
 辺りが真っ暗になると、広間の中心部にホワンと火が灯ったかと思うと、その周りに、ピキピキと氷の柱が出来る。しかも、透かし彫りされているように所々花をイメージしたような模様が出来上がる。その氷の柱の中では、青や緑、赤に黄色と火の色が変わってゆく。

「「『『うわぁ…』』」」

「きれいですぅ」

「あ、周りに色とりどりの花も咲いています。美しいですね」

「これは…」

 皆、僕が起こした現象に驚きの声をあげたあと、笑顔で周りを観ている。いや、魔王様(仮)は、驚きの表情のままで観ている。そして、五分程で、魔術が解けて広間があかるくなると、魔王様(仮)が、ギロリと僕を見た。

 わー、整い過ぎてるイケメンさんが、睨むとメチャ怖いんですけど…

「な、なにか?」

「素晴らしい!」

「え?」

「生まれたばかりの不安定な精霊だけを集め、あの様な魔術を発動させる事が出来るとは…本当に、素晴らしい…今回は、私の負けだ」

 おや?なんか思っていた以上に魔王様(仮)が驚いている。

「わー、やったですぅ」

 まぁ、ちょっと引っ掛かるモノはあるけど、ユキちゃんの様に、ここは、素直に喜んでおこう。

 ラッキー!

『もしかして、ダンジョンクリアですか?』

 ミンテは、戸惑いながら確認してきた。そんな、ミンテに魔王様(仮)が、笑顔を向けてから、僕達を見て大きく頷く。

「そういうことだ。好きな魔道具を与えよう。何が良い?」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

処理中です...