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マクー大陸で家造り

地竜の住み処

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 砂漠ダンジョンから東に、標高二千メートルを越える山脈がある。その北の傾斜部分に大きな窪地があり、そこに、大きな湖があった。カルデラ湖って言ったっけ?火山の頭頂部が陥没したところにある湖。九州に旅行に行ったじいちゃんが教えてくれた感じに似ている。

 ……。

「植物が無いわね。リョウくん、リゾート地なら、柔らかな緑の絨毯に、優しい木漏れ日溢れる林なんかの方が、気分転換には最適だと思うのだけれど、どうする?」

 僕は、シス様の提案に飛び乗った。

「で、出来ますか?烈震くん皆の邪魔にならない場所で緑化しても良い場所ある?」

「ギャウゥ、ギャッ」

 少し首を傾げ考えてから、シス様の腕から飛び出し、少し離れたところで本来の姿に戻った烈震…さん、この姿だと、くん付けが似合わないんだよなぁ。

 体長三十メートル、黒曜石の様な光沢の黒い鱗を持ち、尻尾の先にはトゲトゲになっている。モーニングスターって言ったっけ?鎖についたトゲトゲの鉄球の武器、あんな感じ。顔も、ネズミみたいな可愛らしい顔だったけど、トカゲやヘビ…いや、図鑑で見た肉食恐竜を思わせる顔つきで、漆黒の闇の様な目に金の瞳孔が見える。

『ここから、西側を森にして、この辺りに家を建てればよい。東側には、何か実のなる植物が良いだろう。南の斜面にも樹を植えた方がよいか?』

 低く落ち着いた声が頭に響く。本来の姿になれば、念話で話せる。
 初めて聴いた時は、イケボ過ぎて、普段の姿とのギャップで、何を言ったのか、理解できなかった。その所為で、目茶苦茶、お説教されたけど…なんか、特撮映画を立体で観てる感じというか、変な気分だった。

「本当にいいの?皆さんの邪魔にならない?」

『この山脈全てがワシらの住まいだ。問題ない』

 うう…竜王である烈震くんの住み処は、地属性の竜種の皆さんの溜まり場で、しかも、草や樹の代わりに水晶と思われる六角形の柱が飛び出ていて、中には、金や銀、赤、青、緑…の石もキラキラ光ってるから、宝石箱に入ってるようだ。
 転移者に狙われていたけど、地竜がどうのというより、宝石類に目が眩んだんじゃないの?って感じがする。

 それに、見ないようにしてるけど、居るんだよ。大蛇に、ゲームやアニメ、映画なんかに出てくるワームぽいモノが、なんか湖畔で長々のびて日向ぼっこしてるみたいなんだよね…あれって大丈夫なの?日の光が苦手だから、地中で生活してるんじゃないの?
 デカイいし、動いてないから、まだ、見られるけど…うう…絶対、ヘビやらミミズやらも出てきそうだよねぇ…

『リョウ安心しろ、小さなヘビやミミズは居ないぞ。鉱石の毒素類で下位のモノは生存できないからな』

「はぁ?それって、僕達は大丈夫なの?湖も綺麗すぎるけど、泳げるの?」

「皆、魔力量が多いから問題ないわよ。心配なら、聖域にしちゃう?」

「いやいやいや、竜王の住み処を更に聖域にって、一体どうなるの?」

 僕が質問すると、シス様が一瞬遠くを見た。

「…やってみましょうか」

「シス、待った。相乗効果が分かってないなら、辞めてくれ」

「えー、ディルのケチ!」

 シ、シス様、あかんべーって、可愛いけど…僕から見ても、可愛いけど…ディルの曾祖母ちゃんで…いや、考えちゃいけない。
 
 風の大精霊シス様は可愛い!良し!

「ケチとは違うだろ、ちょっと、被害が出ないような所で、検証してからにしてくれよ」

「分かったわよ。ユピロー様に相談して検証してみるわね。この辺の緑化は…烈震、肥沃な土地にしてもらえるのよね?」

『勿論!任せておけ』

 烈震…さんがそう言うと、ゴゴゴという音と共に近くに合った六角形の柱が地面に埋まっていき、辺りは平な地形になり、今度は、乾いて白っぽかった土が、ポコポコとかわいい音を立てて、焦げ茶色に変化していった。

 
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