何をすれば良い?[なんでも屋の日常]

kaoru

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建て前 2

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「和みカフェに行く遊歩道の途中に、お社を造ることになりました。少し林に入り、四坪程伐採しその中央に建てる感じですね」

「設計や建築は、与一さんにところに頼んだ。木材の目処がついたら直ぐに取りかかりたいから、それまでに、伐採と地均しをしておいてほしいそうだ」

 社長と常務で、色々調整し、最短での作業計画を立てた。宮大工の棟梁にも話をし最速で取りかかるようにしてもらった。

「悦次さんの畑作業がなくなったんで、明日やっちゃいますよ。日置も連れてっていいですか?」

「池の向こうだから重機入れないだろ、全員で行った方がいいんじゃないか?」

「そうですよ。急ぎの仕事は無いですし、畑作業の手伝いの合間にでも皆が行けるようにしますよ」

「いや、竜二がいますし、ハニさまも居るから大丈夫ですよ。また、キョウさまも手伝ってくれると思いますし」

「ハニさまって、お前……」

「ナニか?」

「いや、まぁ、神々が文句を言わないならいいが…」

「ん?自分の社の為なのだろ?地均しぐらい造作もない」

「ありがとうございます。助かります」

 …………。
 …………。

 神部ほど神という存在に慣れていない、年長者二人は、本当に大丈夫だろうかと心配だが、下手に口出しして機嫌を損ねられたら困るので、口をつぐむことにした。

 ・・・・・次の日。

「なっ、なんで僕なんですか?」

 昨夜のうちに仕事変更は伝えておいたが、神様方に会っていなかった日置が出社してきて、神々と対面し、暫く放心状態になったが、仕事の説明を受けて、一声をあげた。

「元、林業だろ。それに、お前を連れていけば、アケビも来るだろ、枝打ちしてほしいのさっ」

「あ、それなら、アケビだけ連れていけばいいじゃないですか、慣れてない僕は皆さんの足手まといになりますから」

「そんなわけないだろ本職人が!ほら、さっさと行くぞ」

 神部と竜二に腕をとられて車に乗せられた日置の頭の上にアケビが乗り『諦めろ』と前足で額をさすり慰める。

 現地について、越してきてからの初仕事となったアケビが思いっきり張り切って作業をしてくれたおかげで、一時間程で作業が終わってしまった。

「ほら!僕なんて必要なかったじゃないですか!」

 アケビの動きに呆気にとられ、竜二の力に戦き、埴山毘売神の神通力に驚いてる間に終わってしまい、見てるだけだった日置が吠えた。

「うん、流石にアケビがここまで出来るとは俺も思ってなかった。スゴいなぁ…」

 怪異に慣れてる神部まで、驚きを隠せなかった。

『オサム共々役に立つだろ?』

「ああ、思った以上だ」

 当初、枝打ちだけお願いするハズだったアケビが、枝打ちした後『伐採もするゾッ』軽く言って、伐採予定の木をスパッと切ってしまった。しかも、あまりに真っ直ぐキレイに伐ってしまったので倒れる事もなくそのままに…さて、どうするかとなったところに、竜二が「担いで、キョウとやらに渡せば良いのだろ?」そう言って立ったままの十メートル前後の木をひょいっと持ち上げ、更に二本、三本まとめて抱えあげ、湖のキョウさまのもとに運ぶ、それを三往復、計九本を一人で運び、残った株を掘り起こそうとしたところで、再びアケビが『切り刻むゾッ』と言って、細かいチップにしてくれた。そうした働きに、埴山毘売神が大いに喜んで、地均しもご機嫌でやってくれたので、人間二人の出る幕がなかった。

「いやぁ、流石にここまで、楽させてもらったのは初めてだ。鎌鼬って、凄い能力持っていたんだな。もっと、正十郎さんに、依頼出せば良かったなぁ」

『ふふーん!』

 神部が感心して言うと、日置の肩の上でアケビがどや顔で胸を張る。
 
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