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遊歩道整備 3
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建物の周りを点検し、建物の中も点検しようと、カフェの鍵を開けると、一陣の風が吹いた。
「ほっほっほっ、よう来た、よう来た。お主達、暴れん坊の九頭竜を引き取ったそうだな」
「……大黒様、いきなり現れて、人の頭の上に乗らないでいただきたい…、それから、何ですか?打出の小槌ですか?その硬いもので額を叩かないで下さい」
風と共に現れたのは、大黒さま。
七福神のイメージで大きな袋を持ったおじいちゃんみたいな外見を想像していたが、現れたのは、髪を神話の挿し絵でみられる角髪に結って、スタイルもいい美男子だ。今は体長六十センチ程の小さなサイズで、飯田に肩車をする形で頭にしがみつき、貝殻の美しい模様が見える小さな槌をブンブン振っている。
「大黒様は、あのモノをご存じで?」
「いや、噂を聞いた事がある程度だ。大昔、まだ、この地が混沌としていたときに暴れまわっておったとな。何やら、難しいモノのようじゃが、大事ないか?」
「どうなんですかね?神部に任せてます」
「ほーほー、あやつか、あのモノは本におかしいからのう。面白い事になりそうだのう」
「いやいや、そんな呑気なこと言わず、あなた様が指導に来てください」
「え?ヤだ。専門外。美しいおなごにでも、化けておるならまだしも、違うのだろ?」
「あー…、はい。では、商売の方がうまくいくようよろしくお願いします」
「うむ。そちらは、任されよう。琴子の料理は旨いからな。後は、時々でよいから、旨い酒も欲しいなぁ」
「……分かりました。何か見つけた折りにはおそなえしますね」
「ほっほっほぉー、で、今日は、琴子は来んのか?」
「はい、今日は、店を再開するにあたり、設備や周辺の様子を見に来ました。根棲達から何か聞いてますか?」
「んー?なんか言っとたかな?」
チューチュー、チュチュ!
大黒さまが首を傾げたところで、何処からかネズミが出てきて鳴き始めた。
「ん?ああ、そうだったか?池の西側の遊歩道道の下に水が涌き出た所があるらしい。雪解けで一時的なものかも知れんが、足場が沈み込んでるそうだ」
「げ!それは、大変じゃないですか!」
「竜二のせいで、雪も雨も多かったからな…」
「池が広がりますかね?」
「そういうことが分かるお方がいませんかね?」
「!」
「国常の処に行ってみるか、誰か来てくれるかもしれん」
「「え?」」
「なんじゃ?」
「「いえ、是非!お願いします!」」
「何やら、引っ掛かるが…まぁ、よい。ちょいと行ってくる」
「はい、三日以内にお願いします」
「……分かった」
何だか、渋々ではあるが、ちゃんと、返事をして、大黒さまは姿を消した。
…………。
「はぁー、言ってみるもんですね」
「だな。しかし、お前が一瞬、神部に見えたぞ」
「え?ヤだな。アイツと一緒にしないで下さいよ」
「しかし、賽銭もあげずに、神に頼み事するとはな。しかも、あんなに簡単に引き受けてもらえるとは…」
「…御酒、用意しておきますか?」
「だな。琴子にも言って、肴を用意しておくか、お前も、何か用意しておいてくれ」
「今の時期、筍とかですかね」
「だな、旬の物で、間違いないだろう…」
「遊歩道整備が、おかしな事になってきましたね」
「まぁ、上手くいけば、この辺一帯守護してもらえるかもしれん、気合い入れて迎えようじゃないか」
「はぁ…」
「ほっほっほっ、よう来た、よう来た。お主達、暴れん坊の九頭竜を引き取ったそうだな」
「……大黒様、いきなり現れて、人の頭の上に乗らないでいただきたい…、それから、何ですか?打出の小槌ですか?その硬いもので額を叩かないで下さい」
風と共に現れたのは、大黒さま。
七福神のイメージで大きな袋を持ったおじいちゃんみたいな外見を想像していたが、現れたのは、髪を神話の挿し絵でみられる角髪に結って、スタイルもいい美男子だ。今は体長六十センチ程の小さなサイズで、飯田に肩車をする形で頭にしがみつき、貝殻の美しい模様が見える小さな槌をブンブン振っている。
「大黒様は、あのモノをご存じで?」
「いや、噂を聞いた事がある程度だ。大昔、まだ、この地が混沌としていたときに暴れまわっておったとな。何やら、難しいモノのようじゃが、大事ないか?」
「どうなんですかね?神部に任せてます」
「ほーほー、あやつか、あのモノは本におかしいからのう。面白い事になりそうだのう」
「いやいや、そんな呑気なこと言わず、あなた様が指導に来てください」
「え?ヤだ。専門外。美しいおなごにでも、化けておるならまだしも、違うのだろ?」
「あー…、はい。では、商売の方がうまくいくようよろしくお願いします」
「うむ。そちらは、任されよう。琴子の料理は旨いからな。後は、時々でよいから、旨い酒も欲しいなぁ」
「……分かりました。何か見つけた折りにはおそなえしますね」
「ほっほっほぉー、で、今日は、琴子は来んのか?」
「はい、今日は、店を再開するにあたり、設備や周辺の様子を見に来ました。根棲達から何か聞いてますか?」
「んー?なんか言っとたかな?」
チューチュー、チュチュ!
大黒さまが首を傾げたところで、何処からかネズミが出てきて鳴き始めた。
「ん?ああ、そうだったか?池の西側の遊歩道道の下に水が涌き出た所があるらしい。雪解けで一時的なものかも知れんが、足場が沈み込んでるそうだ」
「げ!それは、大変じゃないですか!」
「竜二のせいで、雪も雨も多かったからな…」
「池が広がりますかね?」
「そういうことが分かるお方がいませんかね?」
「!」
「国常の処に行ってみるか、誰か来てくれるかもしれん」
「「え?」」
「なんじゃ?」
「「いえ、是非!お願いします!」」
「何やら、引っ掛かるが…まぁ、よい。ちょいと行ってくる」
「はい、三日以内にお願いします」
「……分かった」
何だか、渋々ではあるが、ちゃんと、返事をして、大黒さまは姿を消した。
…………。
「はぁー、言ってみるもんですね」
「だな。しかし、お前が一瞬、神部に見えたぞ」
「え?ヤだな。アイツと一緒にしないで下さいよ」
「しかし、賽銭もあげずに、神に頼み事するとはな。しかも、あんなに簡単に引き受けてもらえるとは…」
「…御酒、用意しておきますか?」
「だな。琴子にも言って、肴を用意しておくか、お前も、何か用意しておいてくれ」
「今の時期、筍とかですかね」
「だな、旬の物で、間違いないだろう…」
「遊歩道整備が、おかしな事になってきましたね」
「まぁ、上手くいけば、この辺一帯守護してもらえるかもしれん、気合い入れて迎えようじゃないか」
「はぁ…」
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