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クズ
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「クズゥ~、いつまで寝てるんだ?皆の朝飯作るんだからお前も手伝え!」
「神部、クズはマズイって、竜二って呼ぶことになっただろ」
「別にクズでも良いって言ったのはアイツなんだから良いだろ?」
「イヤイヤイヤ、今はまだその言葉の意味を分かってないんじゃないか?意味が分かって、怒らせるか、逆に変にイジケられたら、めんどうなだけだよ」
「意味って、九頭竜のクズなんだから別におかしくないだろ?」
「本当に、そういう意味で言ってる?」
「なんだよ保坂、他にナニがあるんだよ」
五月中旬、ここ数日穏やかな天気が続いている。
畑作業に追われる中、部屋を用意し、身の回りの物もそろえ、何をどうやったのか、住民票なんかも用意ができ、隣の山の土地神である竜神が、なんでも屋の新入社員『久東 竜二』として働き始めている。
『ワレは知ってる。最低な者を示す言葉だろ、やはり、ワレは最低なモノなのだな…そんなワレだから、クズと呼ばれてしまうのだ』
「だぁー、九頭竜様ぁ、いきなり背後に立たないで下さい。人として生活しているんですから、ちゃんと、階段を使い降りてきて、面倒がらずに、言葉を発して下さい!そして、そのボソボソと自己否定するような事も言わないで下さい!聞く側のメンタルもヤられますから!」
「ううう、やはり、ワレは皆に怒られるのだ。やはり、山に籠って充を見守っている方が…」
スパコーン!
「ただ見守る事が出来るのか?ここ数日やっと日が当たって畑の方の作業を進めることが出来たのに、これで籠ったとたん、また、天気が崩れたら、黄泉送りにしてしまうぞ!」
「そんなことをしたら充を観れなくなるではないか」
「それで天気が安定するのなら、俺はやるぞ」
「……やはり、ワレはいない方が…」
「ああ、居ても居なくても、俺は別に構わないぞ。いや。居ない方が、こうやって怒鳴らなくてもいいから、俺は助かるな。怒鳴られたくなかったら、さっさと、働け」
「ちょっ、神部!」
「保坂、腫れ物を触るように接したってコイツのためにならないぞ!神格化する前から不死なのだから、少しぐらい強く当たった方が良いんだよ」
「いやいや、それで面倒くさくなるんじゃないか?」
「うんにゃ、こんな頑丈な新入社員が出来たんだから、考える暇なんか与えずガンガン働かせた方が良いんだよ。ほれ、充くんのためになるように、料理を覚えるんだろ、ほら、先ずはサラダ用の野菜を洗え」
「充の為に頑張る」
「そうだ、その調子だ。しっかりやって充くんに、美味しいご飯を食べてもらえ」
「そうする!」
ここ数日、竜神様と神部のやり取りはこんな感じだ。……やはり、この二人のやり取りにはついていけないなと保坂はそっと息を吐く、社長達が言うように、竜神様の事は、下手に口出しせず神部に任せようと思うことにした。
「神部、クズはマズイって、竜二って呼ぶことになっただろ」
「別にクズでも良いって言ったのはアイツなんだから良いだろ?」
「イヤイヤイヤ、今はまだその言葉の意味を分かってないんじゃないか?意味が分かって、怒らせるか、逆に変にイジケられたら、めんどうなだけだよ」
「意味って、九頭竜のクズなんだから別におかしくないだろ?」
「本当に、そういう意味で言ってる?」
「なんだよ保坂、他にナニがあるんだよ」
五月中旬、ここ数日穏やかな天気が続いている。
畑作業に追われる中、部屋を用意し、身の回りの物もそろえ、何をどうやったのか、住民票なんかも用意ができ、隣の山の土地神である竜神が、なんでも屋の新入社員『久東 竜二』として働き始めている。
『ワレは知ってる。最低な者を示す言葉だろ、やはり、ワレは最低なモノなのだな…そんなワレだから、クズと呼ばれてしまうのだ』
「だぁー、九頭竜様ぁ、いきなり背後に立たないで下さい。人として生活しているんですから、ちゃんと、階段を使い降りてきて、面倒がらずに、言葉を発して下さい!そして、そのボソボソと自己否定するような事も言わないで下さい!聞く側のメンタルもヤられますから!」
「ううう、やはり、ワレは皆に怒られるのだ。やはり、山に籠って充を見守っている方が…」
スパコーン!
「ただ見守る事が出来るのか?ここ数日やっと日が当たって畑の方の作業を進めることが出来たのに、これで籠ったとたん、また、天気が崩れたら、黄泉送りにしてしまうぞ!」
「そんなことをしたら充を観れなくなるではないか」
「それで天気が安定するのなら、俺はやるぞ」
「……やはり、ワレはいない方が…」
「ああ、居ても居なくても、俺は別に構わないぞ。いや。居ない方が、こうやって怒鳴らなくてもいいから、俺は助かるな。怒鳴られたくなかったら、さっさと、働け」
「ちょっ、神部!」
「保坂、腫れ物を触るように接したってコイツのためにならないぞ!神格化する前から不死なのだから、少しぐらい強く当たった方が良いんだよ」
「いやいや、それで面倒くさくなるんじゃないか?」
「うんにゃ、こんな頑丈な新入社員が出来たんだから、考える暇なんか与えずガンガン働かせた方が良いんだよ。ほれ、充くんのためになるように、料理を覚えるんだろ、ほら、先ずはサラダ用の野菜を洗え」
「充の為に頑張る」
「そうだ、その調子だ。しっかりやって充くんに、美味しいご飯を食べてもらえ」
「そうする!」
ここ数日、竜神様と神部のやり取りはこんな感じだ。……やはり、この二人のやり取りにはついていけないなと保坂はそっと息を吐く、社長達が言うように、竜神様の事は、下手に口出しせず神部に任せようと思うことにした。
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