オラクル

kaoru

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第二章 青玉

九話

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 長らく他のモノとの接触してこなかったから、時間の概念もなく、静かなものだったが、昨日、使者が来てからは、止まっていた時が、突然動き出したように、ザワザワとして、落ち着かない。

 使者に言われるままに、神子に会いに行き、その後、次の準備で、神殿に行けば、そこに新たな使者が居て、今、地上で暮らしているモノ達の文化、生活や習慣なんかを覚えさせられた。

『こんなこと覚えて何になる?私は、フーという子がなくならない様に守っていれば良いのだろ?』

『フー様を目的地まで連れてきて頂きたくのは勿論ですが、アーレィ様は、クク様に、他人との交わり方も学んで欲しい。と仰られておりました』

『何故?私が一人で居ても平気だろうに』

『ヒノヒカリがあるところには必ずカゲが出来るものなので、強い光は、濃い影を生み出しますので、何時までも不在ではバランスが崩れてしまいます』

『•••戻ったところで、何ら変わりはないだろう』

『火の神が勢力をつけております』

『戦が起きると?』

『私には分かりかねますが、その影響は出ているように思われます』

『ハッキリ言えば良い。結局は、今回の騒ぎは私が原因なのか?』

『それは•••ただ、ステア様が、漆黒の谷の上からの動こうとしませんので•••』

『はぁー、星空の女神を説得したほうが良いのではないか?』

『クク様が、してくださるので?』

『私の言葉などあの神には伝わらぬ。だから、地上に降りたのだ』

『貴方様の声すら聞こえぬなら、他のモノの声など全く意味をなしません』

『それこそ、火の神が居るではないか』

『今のところ、それぞれの想いは一方通行でございますので、火の神も、かの御方にはその他に入れられてしまいます』

『何故、私なのだ?』

『さぁ?あのような想いは経験したことがないので、分かりかねます』

 はぁー

 ただ容姿が気に入ったというだけで、居座られた。
私の住処であった「漆黒の谷」に、光を差し込み、私の居場所を奪った女神…興味がない、ハッキリと迷惑だと言ったこともあるが、何故が違う解釈をされ困り果てているところに、女神の許嫁と名のる火の神が、何故か一騎打ちをしろと割り込んできた。訳のわからない私は、意味もなく争うことは嫌だと逃げ出した。
 意識の殆どを移した別身体で、本体は残して地上に来た。星空の女神は、地上の人々が祀る神の石像や木像のようにただそこに置かれている私の本体を眺めて暮らしているという…
 
 なんだかなぁ。

 私自身は、神の力などどうでも良かったから、本体を壊され天界に戻れなくなっても別に構わなかったが、それでは、世界のバランスが崩れると、他の神々まで巻き込んで、星空の女神や火の神を説得しだしたと聞いていた。それが、どういうわけか更に他を巻き込み、変な方向に向かいだしたという。

 逃げ出さずに、戦えばよかったのか?いや、そうしていれば、火の神が…
 地上人は、火を使えるようにはなったから、発展したのだと聞いた。火で暖を取り、調理もする。闇を照らし、縄張りを増やしていった。
 地上人は闇を恐れている。その恐怖を取り除いたのが、火の神だという。

 現に、他の大陸では、火の神を祀る神殿が増えているという。この状況で一騎打ちなど…
 私は、神の力に執着はしてないが、初めてアーレィに呼ばれ、対面してみれば懇懇と私の力に関して説明を受けた。
 アーレィ曰く、アーレィと私は一対なのだという?始めから、言っていることが分からなかった。
 私が力を失うとアーレィの力も衰えて、この世界を維持できなくなるという。だから、私はこのまま存在し続けなければならないと…
 そんなこと言うのなら、意思など持たせなければいい。

『選んだのは、お前自身だ!』
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