オラクル

kaoru

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第二章 青玉

六話

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「スゴイ技術?」

「そう、他人の動きを見て適確に指示を出すという、指導者に打って付けの特技さ。そのおかげで、鍛冶師の見習いの時も、殆ど雑用をやらずにいたそうなんだよ」

「えーと?自分でやらなければいけないことを、他人にやってもらっていたの?」

「•••うっ、そんな言い方をされると、罪悪感が•••やはり、クーリィ様の血を受け継いでおられますね」

「ハハ、クーリィと一緒の時は、雑用も文句なくやっていたのだから、出来ないことは無いのだろ?だったら、酒造場の修行も出来たんじゃないのか?」

「チッチッチッ、ジャスパー様、あれは、クーリィ様だったからです。あの方は、こちらの考えの一歩前をいき、退路を塞いでしまうのです。その作業しかやることが無いという状況に持っていかれるのです。しかも、効率的なやり方も教えてくれるので、つい面白くなってしまうんですよ」

「それで、更に、指導者として拍車がかかったのか•••失敗だったか?」

「いやいや、あんなのマネそうそう出来ませんよ。ただ昔は、動作だけで出来そうな者に声をかけてましたが、クーリィ様に会ってからは、話をし、得手不得手を考えてから、仕事を割り振るようになりましたよ」

「•••まぁ、問題がないわけではないが、お前のところが一番不満が少ないそうだから、良いとするか」

 え?今、船長さんを•••

「お前?」

「そこに反応するのか?」

「え?だって先生が、誰かを『お前』って呼ぶの初めて聞いた気がする」

「おやぁ?ジャスパー様は、素を隠してらっしゃったんですか?」

「仕返しか?隠していた訳ではない。教育者として、手本になるように振る舞っていただけだ。あの島に暮らして居た者たちは、粗野なところが少なかったからな」

「ああ、だから時々、父さんと剣の練習して大声出してたの?」

「ん?聞こえてたのか?」

「フフフ、子供ってもんは、本当に周りをよく見てますからね。下手なことは出来ないですよ。先生」

「分かっているが、グラドに言われると、無性に腹が立つ気がするのは気のせいか?」

「え?いや、失言でした。お許しください」

 外見からいくと船長さんの方が年上みたいだけど、先生は、聖人と言われる人だったから、船長さんより年上なんだよね?だから、船長さんの方が丁寧に接してる?

 でも•••

「仲が良いですね」

「「••••••」」

「な、なんだろう?一瞬、サファイア様に言われたのかと思ってしまいました」

「私もだ•••」

 思ったことを口にしたら、船長さんと先生が驚いた顔を向けてきた。
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