異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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新たな旅立ち

ダンジョン創り 16

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 出国手続きと行き先の提出をするために、メリロットのところへ。

「エンプは、女王様のところね。それから、スーン大陸だけ?諸島巡りにしなくて良いの?」

「ん?何が違うの?」

「スーン大陸だけだと、本土だけになってしまうわよ。タクマさん達、転異者の興した町や村は、スーン大陸の南西にあるヤーン諸島にあるのよ。それに、スーン大陸の周りには島々が多くて、採れる素材も違うから、冒険者は大抵、諸島巡りで出かけて行くわよ。スーン大陸は、観光で、食べ歩きが一番の目的の人達ね」

「あ、やっぱり、スーンは食材の宝庫なのか、リョウが住んでいた所と似た料理が食べられそうだから、行くことにしたんだけど、そうかタクマさんは、島の方にいるんだ…じゃ、諸島巡りでお願い」

「リョウくんのためなら、余計にそうしておいた方がいいわね」

「何で?」

「タクマさん達が同郷でしょ。調味料や保存食を直接買えるわよ。こちらの世界で受け入れられないようなのがあって、市場で見るより沢山の物を作って売っているらしいわよ」

「ああ、そういえば、イナゴだとか、地蜂とか虫も食べたことあるって言ってたな…」

「え?ディル、大丈夫なの?リッジが戻って来るから、リッジに頼む?」

「いや、リョウもその辺分かってくれてるから大丈夫。それより、リッジが戻ってくるの?」

「ふーん、リッジねぇ」

「な、なんだよ」

「まぁ、いいわ。ダンジョンやリョウくんの様子を見たいみたい。それに、かわいい弟の事もねぇ」

 かわいい…?別にお兄ちゃん子というわけでもなかったハズだけど?メリロット、ニヤニヤ笑いが気持ち悪いよ。

「いつ頃?」

「明後日には来るんじゃないかしら。魔物討伐が終わったから、しばらく暇みたいだし、森とシス湖辺りで、のんびりするみたいよ」

「それなら、ゆっくり話も出来そうだね。分かった。明後日、リョウの昇格試験でまた来るからって伝えておいて」

「分かったわ。あ、それから、タリクから伝言で、クラリーちゃんは、モン族のカトリーナちゃんの実家に居るそうよ」

「ありがとう、行ってみるよ。タリクさんにも、お礼言っといて」

「分かったわ、じゃぁね。ユキちゃんも、またね」

「ハイです。また、来ます」

 何気に、メリロットもユキ贔屓なんだな。俺達が役所に入ると直ぐに見つけて、ユキにおいでおいでと手を振って、呼び寄せて抱っこすると、自分のおやつらしい、焼き菓子を与えながら、俺達の相手をしてくれた。
 ユキは、俺のところに戻ってきて、鼻唄を歌いながら、機嫌よく揺れている。

『ユキ、鼻唄も、リズムを取るのもいいですけど、ディル様の頭を叩くのはいただけないですね』

「あ、ゴメンなさいです。つい…」

 役所の窓から、先に外に出ていたバレんがよってきて、ユキに注意をしてくれる。
 まぁ、太鼓代わりのようだけど、痛くないから別に良いんだけどね。子供だし…

『ディル様だから、そう言ってられますが、ちゃんとしつけておかないと、いつまでも、魔力操作を覚えませんよ。ペンダントに頼りきりも、いけないと思います』

 ああ、確かにそうだな。ありがとう。
 ちょうどいいから、おっさんの所でユキの戦闘力も見てみようかな。

『それが、よろしいでしょうね。雪の女王の訓練にもなるでしょう』

 バレンに乗っておっさんのところへ行くと、クラリーちゃんが、体長三メートル程のサラマンダーを相手に剣の稽古をしていた。しかも、鎧兜をつけて、盾まで装備してる…大丈夫なの?
 空の上から眺めていると、クラリーちゃんは、サラマンダーの攻撃を上手く避けながら、隙を狙っている。尻尾の攻撃で、近くの岩を粉々に砕いてるけど、クラリーちゃんは、上手く受け流したり…うわっ、ガッツリ盾で受け止めた。え?クラリーちゃんは、スピードだけじゃないのか?
 サラマンダーも、意外だったのか、一瞬動きが止まってしまった。クラリーちゃんは、その隙を見逃さず、尻尾を下から切りつけた。
 そして、間を置かず大きな氷の針が出現し、サラマンダーを貫いた。
 クラリーちゃんは、一瞬驚いて動きを止めたが、チラリとこちらを見ると、直ぐに動いて、サラマンダーの首を一刀で落とした。

 す、凄すぎる…

「クックック、やるではないか。確か、リッジの仲間に同じような事をしていた者がいたな。流石、女王!よく見ておるな。しかし、今は、クラリーの戦いだから、ジャマはよくないぞ」

 近くの岩場で腕を組んでクラリーちゃんを観ていたおっさんが、俺達を見上げ注意をしてくる。
 バレンに隣に下りてもらっていると、鎧を着けているとは思えない身軽な足取りで、クラリーちゃんが、岩場に登って来た。

 んー、いくら重量軽減が付いているとはいえ…しかも、俺達の元に着き、兜を脱ぐと可愛らしい笑顔を向けてくれる。
 ギャップが凄すぎて、ちょっとだけ引いてしまった。

 そして、ユキは、俺の髪を引っ張りながら、オロオロと「ジャマですか?ユキ、ジャマしたですか?」と呟いている。

「ユキちゃん、今のは、個人戦の練習なのよ。だから、私一人で、倒さなくてはいけなかったの、だけど、本当の戦いだったら、とても良い援助だったわよ」

 おや?会話に関係ないけど、俺の頭を見上げるクラリーちゃんが、この数日で、身長が少し伸びたような…

「えーと、今は、練習だから、クラリー一人で戦わないといけなくて…でも、でも、本当の戦いは、一緒に戦ってもいい?」




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