84 / 149
冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 29
しおりを挟む
「転異者…、しかし、元は獅子王レオン様の剣だったのだろ?」
「そうっスよ。一千年程、ゲトー大陸の獣人国の王家の証しみたいな事やってたっス」
「…それなら、我ら、獣人族の元に来ても良いのではないか?地上を見て回りたいというのであれば、Sランク冒険者の我らと一緒の方が直ぐにでも回れるぞ」
「イヤっスよ。何度言えば分かるんスか?魔力が合わない者とは、一緒にいかないっス」
「しかし…」
「リーダー、あまり無理言わないで下さい。天の怒りをかえば、冒険どころか、住む場所もなくなっちまいますよ」
「うっ…」
俺達が戻ると、一応、話がついたようだった。
「地竜の剣に、ちょっと聞きたいことがあるんだが…」
俺が声をかけると、少年が目の前に飛んできた。
「なんスか?あっ、その前に、さっき飲んでたお茶、ワレにも入れてほしいっス。赤い実も!」
「え?飲食出来るのか?」
「決まってるじゃないっスか。魔獣ですよ!」
いや、新種の魔獣なんだから、生態なんて知らないって…
そんな風に思いながら、お茶を入れると、カップを抱えて飲み始めた。
「プハー、美味しいっス。頭もスッキリする良いお茶っス」
本当に飲めるんだ。
変なところに感心しつつ、この地の結界についてじいちゃんが何か言っていたか訪ねてみる。
「はぁ?聖域?知らないっスよ」
「えーと、じゃぁ、君がこの地から離れると、加護が無くなる訳じゃないのかな?」
「それって封印石みたいな扱いになるってことっスか?それじゃぁ、ワレ、ここから離れられないっスか?」
「いや、その辺が知りたいから聞いたんだけど…」
『呼び掛けたら来てくれそうですが、どうします?』
バレンが、提案してきたが、じいちゃんは、来てくれそうにないんだよな…観てるだけで…となると、シスか?
シスね…
「あっ!リョウ、地竜の剣を鑑定できないか?」
「え?えーと…ダメ。何か、弾かれちゃう」
「じゃぁ、落雷があった大木を観てもらえるか?」
◇◇神木◇◇
最高神 ユピローが加護を与えるための的になった大木。
六百年かけて育った樹、焼けてしまったが、加護により、再生可能。
焼けた部分を取り除いてあげましょう。
ディルへ
地竜の剣は、関係ないぞ。
お前達がここに来る準備をするのに、ちょうど良かったから一緒に落としたのだ。パーティーに加えてやってくれ。
追伸:ワシだって呼んでくれれば降りてくぞい。
『じいちゃん?えー、だったらリョウを見つけたときに来てくれても良かったんじゃない?』
転異門についてはワシだって知らんのじゃ、説明しようがないワ。
『マジで?』
マジじゃ。創造神ではないのでな、ちなみに、創造神についても知らんぞ。
『えー、なんで?』
何でと言われても、先に生まれたのは、形作りの神じゃし、生まれる前の事など記憶にありゃせんワ。誰が親なのかも分からんしな。
『そうなの?知識の神なのに?』
ああ、ワシらは、気づいたらここにおったでな。ここに来たときからで良ければ答えられるが、転異門の事は分からんな。
『そうなんだ…』
「ディル?どうしたの?難しい顔して、焼けたところ取っちゃダメなの?」
「い、いや、取り除こう。せっかく再生出来るらしいからな。ただ、地竜の剣をパーティーメンバーにするのは、決定事項らしい」
「そ、そうなんだ…修行か…」
一部、鑑定結果を話して皆で焼けた箇所を取り除くと、樹の中央に芽が出ているのを発見した。すると、そこに天上から光が降り注ぎ、あっという間に、元の樹よりも一回り大きく成長した。
「「「おおー」」」
皆、驚いて、天に向かって感謝をしている。
「はぁ…、マジで、神の縁者か…こりゃぁ、太刀打ちできんな」
「そうですよ。下手すれば、俺等なんて一瞬で消されちまいますよ」
「うう、しかし…あの、伝説の『地竜の剣』だぞ」
「はいはい、うだうだ言ってないで、尊敬するレオン様の愛刀だった地竜の剣に、ちゃんと失礼をお詫びして、その仲間の皆さんとお近づきになっておいた方が良いと思いますよ」
「そうですよ。最高神のお孫さんに、竜王様に、大精霊のお知り合いですからね」
「「賛成ー」」
えーと、黒狼の刃の皆さん…丸聞こえ何ですが…
「そうっスよ。一千年程、ゲトー大陸の獣人国の王家の証しみたいな事やってたっス」
「…それなら、我ら、獣人族の元に来ても良いのではないか?地上を見て回りたいというのであれば、Sランク冒険者の我らと一緒の方が直ぐにでも回れるぞ」
「イヤっスよ。何度言えば分かるんスか?魔力が合わない者とは、一緒にいかないっス」
「しかし…」
「リーダー、あまり無理言わないで下さい。天の怒りをかえば、冒険どころか、住む場所もなくなっちまいますよ」
「うっ…」
俺達が戻ると、一応、話がついたようだった。
「地竜の剣に、ちょっと聞きたいことがあるんだが…」
俺が声をかけると、少年が目の前に飛んできた。
「なんスか?あっ、その前に、さっき飲んでたお茶、ワレにも入れてほしいっス。赤い実も!」
「え?飲食出来るのか?」
「決まってるじゃないっスか。魔獣ですよ!」
いや、新種の魔獣なんだから、生態なんて知らないって…
そんな風に思いながら、お茶を入れると、カップを抱えて飲み始めた。
「プハー、美味しいっス。頭もスッキリする良いお茶っス」
本当に飲めるんだ。
変なところに感心しつつ、この地の結界についてじいちゃんが何か言っていたか訪ねてみる。
「はぁ?聖域?知らないっスよ」
「えーと、じゃぁ、君がこの地から離れると、加護が無くなる訳じゃないのかな?」
「それって封印石みたいな扱いになるってことっスか?それじゃぁ、ワレ、ここから離れられないっスか?」
「いや、その辺が知りたいから聞いたんだけど…」
『呼び掛けたら来てくれそうですが、どうします?』
バレンが、提案してきたが、じいちゃんは、来てくれそうにないんだよな…観てるだけで…となると、シスか?
シスね…
「あっ!リョウ、地竜の剣を鑑定できないか?」
「え?えーと…ダメ。何か、弾かれちゃう」
「じゃぁ、落雷があった大木を観てもらえるか?」
◇◇神木◇◇
最高神 ユピローが加護を与えるための的になった大木。
六百年かけて育った樹、焼けてしまったが、加護により、再生可能。
焼けた部分を取り除いてあげましょう。
ディルへ
地竜の剣は、関係ないぞ。
お前達がここに来る準備をするのに、ちょうど良かったから一緒に落としたのだ。パーティーに加えてやってくれ。
追伸:ワシだって呼んでくれれば降りてくぞい。
『じいちゃん?えー、だったらリョウを見つけたときに来てくれても良かったんじゃない?』
転異門についてはワシだって知らんのじゃ、説明しようがないワ。
『マジで?』
マジじゃ。創造神ではないのでな、ちなみに、創造神についても知らんぞ。
『えー、なんで?』
何でと言われても、先に生まれたのは、形作りの神じゃし、生まれる前の事など記憶にありゃせんワ。誰が親なのかも分からんしな。
『そうなの?知識の神なのに?』
ああ、ワシらは、気づいたらここにおったでな。ここに来たときからで良ければ答えられるが、転異門の事は分からんな。
『そうなんだ…』
「ディル?どうしたの?難しい顔して、焼けたところ取っちゃダメなの?」
「い、いや、取り除こう。せっかく再生出来るらしいからな。ただ、地竜の剣をパーティーメンバーにするのは、決定事項らしい」
「そ、そうなんだ…修行か…」
一部、鑑定結果を話して皆で焼けた箇所を取り除くと、樹の中央に芽が出ているのを発見した。すると、そこに天上から光が降り注ぎ、あっという間に、元の樹よりも一回り大きく成長した。
「「「おおー」」」
皆、驚いて、天に向かって感謝をしている。
「はぁ…、マジで、神の縁者か…こりゃぁ、太刀打ちできんな」
「そうですよ。下手すれば、俺等なんて一瞬で消されちまいますよ」
「うう、しかし…あの、伝説の『地竜の剣』だぞ」
「はいはい、うだうだ言ってないで、尊敬するレオン様の愛刀だった地竜の剣に、ちゃんと失礼をお詫びして、その仲間の皆さんとお近づきになっておいた方が良いと思いますよ」
「そうですよ。最高神のお孫さんに、竜王様に、大精霊のお知り合いですからね」
「「賛成ー」」
えーと、黒狼の刃の皆さん…丸聞こえ何ですが…
0
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる