無課金がポリシーです〜パーティーに入れて貰えないのでメンバーを作りました〜

元帥老師

文字の大きさ
上 下
1 / 11

1話 引きこもりですが

しおりを挟む

 窓からうっすらと差し込む日光がカーテンにより乱反射のように反射している。
 1人の少年がお風呂にも入らず、あたりにはカップラーメンのカップが投げ捨てられている。
 パソコンは5台あり、全てが起動している。


 青年は驚異的なスピードでタイピングしていく、なぜかキーボードが3個あり、キーボード選手かと思われるほどに驚異的な芸当であった。
 青年はパソコンに映る自分の姿に辟易していた。
 目元には隈があり、頭はボサボサでフケが散らばっている。

 
 青年がやっていたのはMMORPGであった。
 5垢を使って5人のキャラクターを操作するという事をしている。
 そのゲームでは複数垢は当たり前であった。


 青年は天井を見つめる。いつからこのように狂ってしまった人生を歩んでいるのかと、思えば小学生から高校まで驚異的なパソコン技能により勉強を全てマスターしてしまったことから始まり、勉強がつまらないものに感じた。


 今頃学校とは勉強だけを学ぶ所ではない事を痛感している。
 
 ゲーム三昧の日々がずっと続いてそれで終わるんだと思った。
 青年は何気なくテレビをつけた。
 そこは田舎で畑作業の仕事をしている所であり、引きこもりから脱する為にフォローしてくれると。
 青年は頷いた。その日は待ちに待ったVRMMO【ウェイバリアンオンラインゲー】の発売日であった。


=====寺林の村=====

「アルマ、突然何を言い出すかと思ったら、仕事がしたいのね、あんたも今年で18歳よね、高校を主席で卒業した後に引き篭もるから驚いたけど」
「お前はやれば出来る。引きこもりから脱する事は大切だ。ペット達は俺が預かっておこう」
「アルマ兄ちゃん、いらなくなったゲームくれよ」
「お兄ちゃんどこか遠くに行くの?」

 母親は驚いてくれたし、父親は飼っているペットを預かってくれそうだった。
 
「父さん、いいよ俺が自分で育てるし、まずは様子見でタツゴローとジキン・ザ・リドルとキャティを連れていくよ、できれば父さんの車で送って欲しいんだ。動物がいるからなるべくバスと列車は使いたくないんだ」
「それならいいぞ」

 弟にいらなくなったゲームソフトなどを上げることにした。
 パソコン5台は上げる訳にはいかなかった。
 寺林の村には沢山のグループホームがあるとされる。
 ちゃんと個室であり、一つ一つの部屋にバスルームとトイレや台所がある。
 
 広さは1人暮らしには問題のない所であったし、ペットも許可されている。
 色々な手続きは母親と父親と一緒にネット経由で終えている。

 ある程度の周りの景色はネットで調べた。
 地図マップに画像が付いているやつもあり、そこがどういう地域なのか分かった。
 田舎に近い住宅街であった。

 
 一部は畑でありながら、一部は住宅街となっており、ちゃんと分けられている。

 
 そうしてそこに行くことになったのだ、引きこもりから脱する為に。


=====引越し完了=====

 荷運びにグループホームの職員さんと挨拶をして、諸々の契約を終えて、父親と母親は自宅に帰っていった。
 最初の仕事は1週間に2度とされ、午前中か午後に分けられる。
 ここで昼夜逆転した生活リズムを治し、落ちた体力を取り戻す。その後お金を稼ぐ。
 とにかく引きこもりから脱するために無理やりここにきた形となっている。

 
 そうして数日後にウェイバリアンオンライゲームが郵便配達で送られてきた。
 まだ仕事にも慣れていなのに、楽しみで仕方のないゲームがやってきたのだ。

 なぜかVR機械が10個もくるという仰天ぶりであった。
 確かネット販売で購入した時に、抽選で多数のVR機械が届くと書かれてあったが、全く不思議な事もあるものだと思った。


 そうし9個のVR機械を押し入れにしまうと。
 一つのパソコンを起動させる
 そうしてアルマという青年は今日発売されたばかりのウェイバリアンオンラインゲームにログインしたのであった。

=====ゲーム内=====

 最初に決めるのがキャラクター設定であった。今のリアルの顔をゲーム用にアレンジしたキャラクターがいる。
 種族はヒューマンとした。つまり人間族である。 
 職業はなぜかランダムらしく、その人物の潜在能力を引き出すものになるらしい、ちゃんとクラスアップする事が出来るらしい。
 周りの世界を確かめる。あたりはまるで電脳世界のようにキラキラとしている。
 緑と白と赤の螺旋が生まれ、あたりには無数にキャラクターを作っている人々がいる。
 

 きっと周りの人もこちらがキャラクターを作っているのだと思っているだろう。
 眩しい光が周りを炸裂させると、アルマはそこに立っていた。
 アルマという名前は本名ではないので、よくゲーム名として使っている。
 両親も弟も妹もアルマが本名かのように使っている。


 そんな昔の事を思い出していると。
 周りの風景が切り替わっていく。
 
 どこかの大きな建物の中にいるようだ。
 ステンドグラスが壁中にセットされているので、ここが神殿のような場所だと思われる。
 現実世界で神殿は見た事はない、しかし色々なゲームで見た事がある。


 ゆっくりと体をイメージしながら動かす。
 今のVR機械は頭にかぶるだけで全神経を操作する事が出来る。
 無理矢理にVR機械を外すか、ログアウトしたり思わぬ事故でシャットダウンされない限り、ゲームを楽しめる。


 アルマは機械技術の進歩に驚きつつも。
 アラームを設定する事にした。
 夜の0時に寝る事を決める。ようやく体が馴染んできたのだ。
 ちなみにペットの犬と鶏と猫は部屋にいるが。こちらを邪魔する事はしない。
 ペット達は不思議なほど賢かったりした。


 辺りを見回すと、このウェイバリアンの世界に入ったばかりのプレイヤー達が驚異的な装備を身につけていた。
 そしてそれがアルマの大嫌いなこと。
 ゲーム課金者の存在であった。

 
 あたりにいるプレイヤー達は驚異的な装備で初期モンスターを片端から倒している。
 あっという間にレベルがあがって村に向かっている。
 きっとそこで驚異的なパーティーを作ってレベリングして楽しむのだろう。

 
 アルマは課金をしない、お金がないからという事もあるが、行方不明になったゲーマーである爺ちゃんがそうだった。
 爺ちゃんはゲームの達人であり、絶対に課金をしなかった。
 だからアルマは課金をしなかったともいうが、やはり金がなかった。
 きっと爺ちゃんも金がなかったのだろう。


 次から次へとキャラ製作を終えたプレイヤー達が登場する。彼等は課金パワーでモンスターを片端からぶっ飛ばしている。右から左にゴブリンが吹き飛んでいく。

 中には何かの機能のせいなのか泳ぎながら吹き飛ぶ、ゴブリン達。


 てかプレイヤー達の多さに驚きつつも。
 アルマは片隅でモンスターを倒しまくっていたのであった。


 ちなみに職業は「司令塔」であり戦い方はよくわからない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの

つくも茄子
ファンタジー
サビオ・パッツィーニは、魔術師の家系である名門侯爵家の次男に生まれながら魔力鑑定で『魔力無し』の判定を受けてしまう。魔力がない代わりにずば抜けて優れた頭脳を持つサビオに家族は温かく見守っていた。そんなある日、サビオが侯爵家の人間でない事が判明した。妖精の取り換えっ子だと神官は告げる。本物は家族によく似た天使のような美少年。こうしてサビオは「王家と侯爵家を謀った罪人」として国外追放されてしまった。 隣国でギルド登録したサビオは「黒曜」というギルド名で第二の人生を歩んでいく。

処理中です...