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1話 引きこもりですが
しおりを挟む窓からうっすらと差し込む日光がカーテンにより乱反射のように反射している。
1人の少年がお風呂にも入らず、あたりにはカップラーメンのカップが投げ捨てられている。
パソコンは5台あり、全てが起動している。
青年は驚異的なスピードでタイピングしていく、なぜかキーボードが3個あり、キーボード選手かと思われるほどに驚異的な芸当であった。
青年はパソコンに映る自分の姿に辟易していた。
目元には隈があり、頭はボサボサでフケが散らばっている。
青年がやっていたのはMMORPGであった。
5垢を使って5人のキャラクターを操作するという事をしている。
そのゲームでは複数垢は当たり前であった。
青年は天井を見つめる。いつからこのように狂ってしまった人生を歩んでいるのかと、思えば小学生から高校まで驚異的なパソコン技能により勉強を全てマスターしてしまったことから始まり、勉強がつまらないものに感じた。
今頃学校とは勉強だけを学ぶ所ではない事を痛感している。
ゲーム三昧の日々がずっと続いてそれで終わるんだと思った。
青年は何気なくテレビをつけた。
そこは田舎で畑作業の仕事をしている所であり、引きこもりから脱する為にフォローしてくれると。
青年は頷いた。その日は待ちに待ったVRMMO【ウェイバリアンオンラインゲー】の発売日であった。
=====寺林の村=====
「アルマ、突然何を言い出すかと思ったら、仕事がしたいのね、あんたも今年で18歳よね、高校を主席で卒業した後に引き篭もるから驚いたけど」
「お前はやれば出来る。引きこもりから脱する事は大切だ。ペット達は俺が預かっておこう」
「アルマ兄ちゃん、いらなくなったゲームくれよ」
「お兄ちゃんどこか遠くに行くの?」
母親は驚いてくれたし、父親は飼っているペットを預かってくれそうだった。
「父さん、いいよ俺が自分で育てるし、まずは様子見でタツゴローとジキン・ザ・リドルとキャティを連れていくよ、できれば父さんの車で送って欲しいんだ。動物がいるからなるべくバスと列車は使いたくないんだ」
「それならいいぞ」
弟にいらなくなったゲームソフトなどを上げることにした。
パソコン5台は上げる訳にはいかなかった。
寺林の村には沢山のグループホームがあるとされる。
ちゃんと個室であり、一つ一つの部屋にバスルームとトイレや台所がある。
広さは1人暮らしには問題のない所であったし、ペットも許可されている。
色々な手続きは母親と父親と一緒にネット経由で終えている。
ある程度の周りの景色はネットで調べた。
地図マップに画像が付いているやつもあり、そこがどういう地域なのか分かった。
田舎に近い住宅街であった。
一部は畑でありながら、一部は住宅街となっており、ちゃんと分けられている。
そうしてそこに行くことになったのだ、引きこもりから脱する為に。
=====引越し完了=====
荷運びにグループホームの職員さんと挨拶をして、諸々の契約を終えて、父親と母親は自宅に帰っていった。
最初の仕事は1週間に2度とされ、午前中か午後に分けられる。
ここで昼夜逆転した生活リズムを治し、落ちた体力を取り戻す。その後お金を稼ぐ。
とにかく引きこもりから脱するために無理やりここにきた形となっている。
そうして数日後にウェイバリアンオンライゲームが郵便配達で送られてきた。
まだ仕事にも慣れていなのに、楽しみで仕方のないゲームがやってきたのだ。
なぜかVR機械が10個もくるという仰天ぶりであった。
確かネット販売で購入した時に、抽選で多数のVR機械が届くと書かれてあったが、全く不思議な事もあるものだと思った。
そうし9個のVR機械を押し入れにしまうと。
一つのパソコンを起動させる
そうしてアルマという青年は今日発売されたばかりのウェイバリアンオンラインゲームにログインしたのであった。
=====ゲーム内=====
最初に決めるのがキャラクター設定であった。今のリアルの顔をゲーム用にアレンジしたキャラクターがいる。
種族はヒューマンとした。つまり人間族である。
職業はなぜかランダムらしく、その人物の潜在能力を引き出すものになるらしい、ちゃんとクラスアップする事が出来るらしい。
周りの世界を確かめる。あたりはまるで電脳世界のようにキラキラとしている。
緑と白と赤の螺旋が生まれ、あたりには無数にキャラクターを作っている人々がいる。
きっと周りの人もこちらがキャラクターを作っているのだと思っているだろう。
眩しい光が周りを炸裂させると、アルマはそこに立っていた。
アルマという名前は本名ではないので、よくゲーム名として使っている。
両親も弟も妹もアルマが本名かのように使っている。
そんな昔の事を思い出していると。
周りの風景が切り替わっていく。
どこかの大きな建物の中にいるようだ。
ステンドグラスが壁中にセットされているので、ここが神殿のような場所だと思われる。
現実世界で神殿は見た事はない、しかし色々なゲームで見た事がある。
ゆっくりと体をイメージしながら動かす。
今のVR機械は頭にかぶるだけで全神経を操作する事が出来る。
無理矢理にVR機械を外すか、ログアウトしたり思わぬ事故でシャットダウンされない限り、ゲームを楽しめる。
アルマは機械技術の進歩に驚きつつも。
アラームを設定する事にした。
夜の0時に寝る事を決める。ようやく体が馴染んできたのだ。
ちなみにペットの犬と鶏と猫は部屋にいるが。こちらを邪魔する事はしない。
ペット達は不思議なほど賢かったりした。
辺りを見回すと、このウェイバリアンの世界に入ったばかりのプレイヤー達が驚異的な装備を身につけていた。
そしてそれがアルマの大嫌いなこと。
ゲーム課金者の存在であった。
あたりにいるプレイヤー達は驚異的な装備で初期モンスターを片端から倒している。
あっという間にレベルがあがって村に向かっている。
きっとそこで驚異的なパーティーを作ってレベリングして楽しむのだろう。
アルマは課金をしない、お金がないからという事もあるが、行方不明になったゲーマーである爺ちゃんがそうだった。
爺ちゃんはゲームの達人であり、絶対に課金をしなかった。
だからアルマは課金をしなかったともいうが、やはり金がなかった。
きっと爺ちゃんも金がなかったのだろう。
次から次へとキャラ製作を終えたプレイヤー達が登場する。彼等は課金パワーでモンスターを片端からぶっ飛ばしている。右から左にゴブリンが吹き飛んでいく。
中には何かの機能のせいなのか泳ぎながら吹き飛ぶ、ゴブリン達。
てかプレイヤー達の多さに驚きつつも。
アルマは片隅でモンスターを倒しまくっていたのであった。
ちなみに職業は「司令塔」であり戦い方はよくわからない。
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