先生、運命です

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先生の言葉が止まる。
聞いてはいけなかったのかもしれない…


「はい…でも、発情期は前もって休みますし、発情期出ない時も薬は飲んでます。…だから…御安心ください」

何か…勘違いしていないか?
Ωだから咎められると思っているのか…

それでも、発情への害を気にするということは番はいないのか。

「大丈夫ですよ、慌てないでください。…その…番はいらっしゃいますか?」

「…いませんよ」

よかった…
ほっとする。もし番がいたのなら暫く立ち直れないかもしれない。

「…そうですか…それじゃあ…運命の番って信じますか?」

「はい……信じてます」

「…あの…俺たち…」

言葉が出ない…
拒まれたらどうしよう

でも…

「「運命…ですか」」

「あ……」

声が重なった。


心臓がうるさい。


頭が混乱している。
つまり…本当に運命…?!

先生もわかってた…


「僕…今日の朝…三上さんが行った後、もう一度抑制剤飲んだんです。」

「それって…強制的に発情が始まりそうだったから…ですか?」

「そうです…少し危なかったので」

「それは…申し訳ない」

「いえ、何だか嬉しかったです。…番は…運命の番は諦めかけていたので」


そうか…
でも、すぐには番には慣れない。
本当に運命だからこそ、大切にしたい。


だから最初は…

御付き合いから始めたい。

そう伝えると
電話越しでも分かる、優しい声で「わかりました、よろしくお願いします」と言ってくれた。

来週末、デートの約束もした。






今日は…いろいろあったな。
明日も互いに仕事をだからと、名残惜しくも電話を切って寝室のベッドに入る。

早く…明日にならないかな

そう願うばかりで、少しづつ眠りへ落ちていった。


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