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しおりを挟む「寝たか……」
そっと忍び足でベッドから降り、子ども部屋から出る。
あれから帰って、ご飯作って、食べて。お風呂入って、今、凪を寝かせ終わった。
帰ってからずっと、そう先生のこと話していたな。
せな先生は担任をもっていないらしく、今日は凪の傍にいたらしい。
そして凪もべったりだったらしい。
凪が持た帰ってきた連絡帳をベランダに出て開く。
『凪君、初めましての挨拶もきちんと出来ていました。お遊びの時間は皆からも遊びに誘われていましたが、僕にぴったりで可愛かったです。
それでも皆と仲良く隠れんぼや鬼ごっこをしていました。
お給食も残さず食べて、好き嫌いのある子には「頑張って食べよ!」と声掛けもしていました。
お昼寝の時間では、前の幼稚園ではお昼寝の時間がなかったからでしょうか、緊張して眠れないようでしたが、付き添っていると少しして眠ってしまいました。
トイレもバッチリ。いい子でした。
また何かお家でのことでも何でも、心配な事があればいつでもお話くださいね。
松郷 瀬名』
松郷 瀬名…っていうのか。
可愛い名前だ。
読んでいるうちに自然に笑みが浮かんでしまう。
そしてふと、交換したLINEを思い出す。
今…連絡しても大丈夫だろうか。
トーク画面を開いて「こんばんは、今大丈夫ですか?」と送ってみる。
すると直ぐに「大丈夫ですよ!」と帰ってきた。
会話出来ると次に次にと欲が出て、声が聞きたくなってしまう。
「電話してもいいですか?」
と送ると「いいですよ」
と来たのでそっと電話をかけてみる。
「もしもし?」
電話越しの先生の声、
「もしもし…すみません、こんな夜に」
「いえ、大丈夫ですよ。湯涼みでベランダにいたので」
「そうなんですか、俺も今ベランダにいるんですよ」
あ、今の発言ちょっとキモかったかな……
やばい…失敗した。
「ふふ、そうですか…同じですね」
「はい…そうですね」
ほっとして小さく笑ってしまう。
すると先生が
「あの…連絡帳には書いていなかったんですけど…今日、凪君が寝起きに泣いてしまいまして。僕がお母さんのことを口にしてしまったのがきっかけかな…とごめんなさい。」
そのことか…
話して置くべきだろう。
いや、話さなくては行けないと思った。
「いえ…気にしないでください。…そのことで…話してもいいてすか?」
「僕で良ければ」
「…凪は…俺の元妻との子で…いわゆる急な発情に俺が当てられて、出来てしまった子なんです。勿論、凪のことは愛してます。でも妻は…もともと他人だった俺と凪を置いて、出ていくことを選びました…。凪にはあまり悲しい思いをさせたくはなかったんですが…やはり難しくて。
でも、今日は瀬名先生のことばかり楽しそうに話すんです。」
「そうですか…話してくれてありがとうございます。」
「いえ、凪を…よろしくお願いします。」
「はい、勿論です!」
…先生と会えてよかった、そう言いそうになってしまい、慌てて口を噤む。
「……先生は…Ωなんですか?」
「…」
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