こっち見てよ旦那様

俊の話

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「甥っ子…？」

 「そうそう。弟がいてね、その息子なんだけど…これが可愛いんだな」

風呂から上がり、髪を拭きながら一期に説明する。

「これが弟。君と同じオメガ、で、この人がその夫。気持ち悪いくらい透がすきだよ…で、この子が俺の甥っ子」

3人の写った写真を手渡すと、壊れ物を扱うような手つきで写真を受け取り、何とも言えない表情で写真を見つめている。
一期の家庭環境は酷い。この写真を見せるのは無神経だったかと心配していると「この子を、預かるんですか？」と聞かれる。

「その予定だったけどね。…一期が嫌ならそれを優先するよ」

「いや…でも家族のことだし。俺なんかが」

「言っただろ？衣食住は保証する、君の嫌がることは何もしない。…それに、俺は一期のことをほんとの家族みたいに思ってるよ」

そこまで言ってしまうと、彼がキョトンとしている。

「キ、キモカッタカナ？？」と慌てて弁明しようとすると一期が笑い出す。

「ありがとうございます…嬉しい、です。…俺、子供の世話とかしたことないですけどやってみます。ちゃんとしますから」

そう言ってくれる一期の頭を撫で礼を言う。
さすがにいきなり当日、という訳にはいかない。一応それまでに顔合わせをしようか透にも聞こうと思っている。

「そういえばね、透の家に旦那の方…潤也って言うんだけど。その潤也君の甥っ子も住んでるんだ」

「その子も来ますか？」

「え、いや…あー確かにな。」

確かその子も学校の為に住んでいると聞いた。
この家は駅からも近いし、通えないことも無い。

いやでも、高校生だったか。幼児はともかく、アルファがもう1人増えるのは不味いのでは。

そしてふと大事なことを思い出す。

「一期の発情期っていつ？」

「あんまり来てなくて…不定期…多分」

女性の生理と同じで発情期も栄養不足やストレス過多だと来なくなるのか？
とはいえ、急に来られても困る。

「明日病院行ってみるか。薬は持ってるか？」

「ちょっとだけ」

「じやあ明日行くか」

仕事は早退して、と。
二次性関連は取り返しのつかないことにもなる、後回しは良くない。

俺はアルファだし、理解しようとしても理解しきれないとこや相談されにくい。
もし一期に何かあったらどう対処するのが正解なのだろう。

「…一期は怖くない？アルファと同じとこに住んで」

「あー…考えたことはないって言ったら嘘です。…けど、 大丈夫って何となく」

変ですよね、と苦笑する彼に少し安堵すると1度生まれた不安は拭えない。
とりあえず、透に顔合わせの要望だけ送って病院の予約をとることにした