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しおりを挟む「同窓会?」
「はい。ずっと行ってなかったので…発情期が来る前に行きたいと思って。一応抑制剤も飲んでいくのでダメですか?」
「うーん…」
彼が複雑な顔をする。
先日、高校の同窓会の手紙が届いた。
数年おきに開催されていて、結婚してからは1度も行っていなかったし、1次会だけでも行きたい。
まあ、潤也さんが嫌なら行かないからいいのだが。
「…俺が迎えに行ってもいいか」
「?…もちろん、でも仕事終わりとか時間無理しないですか?」
「合わせる。…俺が迎えに行きたい」
「じゃあ迎えに来てください、僕の旦那さんがかっこいいこと、みんなに自慢することになっちゃいますね」
ソファに座る彼の隣に座り心配そうな彼の頭を撫でると嬉しそうに笑う。
何歳になっても彼はかっこいいし、可愛いままだなぁとこのままキスしたくなる気持ちを抑える。
「ママ!はみがき終わった!」
「いい子、じゃあ寝よっか」
「あのさ、湧、お願いがある」
ソワソワぴょんぴょん、落ち着かない様子でこちらを見あげる湧に2人で耳を傾ける。
「きょうさ、湧パパとママと同じとこでねたい」
「いいけど…どうしたの?」
「うんとね…ないしょ!」
うん?と彼と顔を見合わせるも、直ぐに彼が湧を抱き上げ「よし、寝るか」と笑う。
さては潤也さん、久しぶりに甘えられて嬉しかったんだな。
僕も嬉しいけど。
湧は昔から1人部屋で寝かせているのであまり一緒に寝る機会も無かった。
これから小学生になって、中高と大きくなったらもう一緒には寝られないかもしれない。
今のうちに楽しまないと。
川の字になって3人で布団に入ると幼児の温もりが愛おしい。
「湧、ママにだけなんで一緒に寝たいか教えてよ」
コソコソ話で聞いてみると少し迷った末に湧がコソコソ話で教えてくれた。
「あのね…えほんでオバケの話読んだの。ちょっとだけね、こわかった」
かわいいんだから!もう!
外面はそっかそっか、と真面目に聞いていると後ろから湧ごと潤也さんに抱きしめられる。
「大丈夫、オバケが出てもパパがママと湧を守るからな」
「パパおばけこわいでしょ?」
「え…」
湧にバッサリ言われてしまい、戸惑う潤也さんを撫でて慰めつつ
「じゃあ僕が2人のこと守るから大丈夫」
と2人を抱きしめた。
同窓会、何着てこうかな。みんなどんなになってるんだろう、親になってるのかなと思いをめぐらせながら3人で眠りに落ちた。
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