こっち見てよ旦那様

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俊の話

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「…美味かった」

満腹感に若干眠気を感じつつ、ソファで明日の予定を確認する。

このまま俺、太ってかないかな…なんて心配しつつも一期の料理は美味くて残せない。

一期自身もきちんと食べているし、やせてはいるが当初のガリガリ感はかなりマシになった気がする。


「風呂…入りますか」

「ん?、ああ、ありがとう。ちょっとやる事あるから先入ってていいよ」

「ありがとうございます」

早く出ます、と言って風呂場へ向かった一期の後ろ姿にゆっくり入っといでーなんて声をかけ先程来たメッセージに目を向ける。

透からだ。
約1週間後くらいに発情期、とな。

さてどうするか。
バタバタしていて透にはまだ一期のことを言っていない。
湧を預かる1週間は在宅ワークにするつもりだが、一期は小さい子、大丈夫だろうか。
透も透で身内以外か住む家に子供を預けるのは大丈夫だろうか。
透はOKしそうだが、義弟はかなり過保護なので心配だ。

今言うか、と透に電話をかける。


『もしもし?兄さん?』

「透ーごめんな、夜遅くに」

『いいよ、別に。急にどうしたの?』

背後でドタバタと追いかけっこする音が聞こえる。

「いや…あのな、急なんだけど、同居人ができて」

『え?!…彼女?彼氏?』

「違う違う。その…家政夫的な、ちょっとわけアリの子で、今は住み込みで家事してくれてる」

『なるほどね。どうする?湧預かるの無理そう?』

「いや、俺はいいんだけど…家政夫君とお前たちが大丈夫かなと」

『僕はその人が兄さんの信頼出来る人ならいいよ。潤也さんもたぶんそう、たぶん。…その家政夫君次第かな』

「そうか。なら聞いてみる、また連絡するよ。ありがとう、おやすみ」

電話を切り、ため息をつく。
もし一期が子供が苦手なら、ホテルを手配するか…いや、俺が出ていくべき?

湧連れて1週間ホテルは…少し気が引ける。
うーんうーんと頭を捻っていると髪を拭きながら一期がリビングへ入ってくる。

「出ました。…ありがとうございます」

「うん、いいよ。…あのな、ちょっと後で話あるから寝ないで待てるか」

「ぇ…あ…はい。」

一瞬、この世の終わりのような顔をした一期。
どうかしたのだろうか。

「体調悪い?」

「いや…えっと…俺、クビ…かなって」

「え?いやいや、そんな訳ないって。違う違う、簡単に言うと、小さい子は平気?」

「平気…です」

ほっとしたような一期の頭をわしゃわしゃ撫でると水滴が飛ぶ。
なんだかワンコみたいだ。
一期自体はちょっと猫っぽいけど。

「詳しいことは後で話すよ」

安心した一期を見て自分も安心した。
先に入ってしまおうと風呂へ向かいながら彼の絶望顔が何となく頭に残った。
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