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しおりを挟む「すぐ寝たな…」
「たくさん遊びましたからね」
旅行から帰った日の夜、湧も咲夜君も蓮君も倒れるように寝てしまった。
蓮君は夜も遅いので泊まっているのだが、疲労具合から正解だろう。
楽しかったな、行ってよかったな、と子供達の寝顔を見て思いながらも大量のお土産と荷物を見て再度現実逃避もしたくなる。
大きい荷物は後から郵便で来るのだが、下着系や水着など、汚れが酷いものやその他諸々は持って帰ってきた。
明日やるのも嫌だし今日のうちに終わらせてしまおうと潤也さんに任せて片付けていたのだが…5人だと洗濯物が多い。
洗濯物を回している間にざっと掃除をして、ソファで休憩していると潤也さんが隣に来た。
「…お風呂はいって寝ますか」
「あぁ。…バスタブ洗ってスイッチ入れてきたからすぐ入れる。湯船入ろう」
子供達はシャワーだけで済ませたらしいが大人にはもう少し休息が必要だ。
湯船で2人ゆっくりするのもいいかもしれない。
しばらくしてお湯が溜まり、軽く体を流して湯船に浸かる。大人二人が浸かるとたくさんお湯が溢れてしまった。
彼の足の間に座り、もたれるとやっとゆっくりできるような気になる。
見上げると目が合ったのでそのまま軽くキスをすると彼がすん、と項へ鼻を近づけた。
「発情期近いか?」
「多分…確かにもうそろですね」
すっかり忘れていた。
薬もらいに行かないとな、と思いながら「潤也さん、休み取れそうですか?」と尋ねると頬を触られながら彼が微笑んた。
「多分取れる、いや、取る。前に比べて大分落ち着いてるし湧も大きいから2人で過ごせる。母さん達にも聞いてみるな」
「ありがとうございます」
くるりと向きを変えて彼に抱きつき、もう一度キスをする。
少し深く長めのキスだったが、湧も心配だし、あまり長く風呂にいるわけもいかないので早々に切り上げてお風呂から出る。
「…続き…駄目か」
「元気ですね」
「疲れてるが…これは別だ」
だめか?と子犬みたいにこちら見る彼に負けて「仕方がないですね」と了承すると嬉しそうに顔を緩める彼の髪を乾かす。
「…後処理とかいろいろ、やってくださいね」
「もちろん。…というか、いつも俺がやってるからな、プロだぞ」
「それは…まあ、そうですね」
確かにいつもいつも彼が後処理から何までやってくれる。あまり記憶には残らないが、朝起きると体も部屋も綺麗になっているからそういうことだ。
「…はやく行きましょうよ」
廊下でぴょん、と彼に飛び乗ると軽々受け止めてそのまま抱かれたまま寝室へと運ばれた。
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