こっち見てよ旦那様

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「…1杯どうだ?」

「それ、ラウンジのじゃないですか。部屋に持ち込み禁止じゃ」

「特別にな」

夜、湧を寝かしつけて、衣類の整理をしているとついさっきラウンジに行った潤也さんがワインボトル片手に戻ってきた。

ラウンジ限定のワインは昼間に味見した時にとても美味しかったのだが、部屋に持ち帰りは禁止で残念に思っていたのだが…。

「ラウンジのホテルマンにお前がとても気に入っていた事を話したら内緒で持っていってもいいと言ってくれてな」

「ベランダでどうだ」とグラスを掲げる彼の誘いに頷く。
ベランダは海を一望できるオーシャンビューで、外専用のソファに2人で腰掛けワインを煽る。
彼はお先にあまり強くないので炭酸で割ってカクテルにしていた。

酔った彼もかわいいのに。
彼の頬下に頭を擦り付けて甘えてみる。髭のジョリジョリした感覚が好き。

「…明日は水族館か」

「はい、楽しみですね」

水族館、と言っても動物園にイルカやアシカのいる大きな施設だ。
動物園に近いよな気がするが前から行ってみたかったのだ。

咲夜君と蓮君にはもし他のところがいいならお金は出すので別行動でもいいと言ったが、一緒に来てくれるらしい。

ここ2日、咲夜君は蓮君をとても可愛かっているというか。
潤也さんと自分も傍からみたらあんな感じなのだろうか。

「…今咲夜達は何してるんだろうな」

「お楽しみなんじゃないですか」

元気ですね、と笑う。高校生だから早いとか以前は少し思っていたが咲夜君が蓮君を蔑ろにしたりすることはないだろうと思っている。
ただ何かあれば相談にも助けにもなりたい。

「…俺らもするか」

「湧が起きちゃいますから」

「そうだな。…親のは見たくないよな」

「ですね。僕は見たことないですけど」

気まずいだろうな、と笑いながらもう一口ワインを飲む。
あんまり飲みすぎると明日に障るのでやめよう、と栓をする。

「おいで」

「もう…なんですか」

膝をポンポンする彼に笑いながら上に座ると「せっかく来たんだ、俺だってイチャイチャしたい」

「仕方ないですね」

まあ、満更でもない。
何回かショートキスを繰り返し彼の後頭部を撫でる。

これ以上先に進むと止められなくなってしまうからやらないが…。

「…だめだ…これ以上すると抑えられない」

考えることは同じようでそう言いながら笑う彼に「同じく」と頬を撫でる。

最後にもう一度キスをして中に入った。

中に入るとベッドでは大の字ですやすやと気持ちよさそうに眠る湧。

浄化される…。

「…煩悩が消えていくな」

「消えました…ほんと、寝てる時は大人しい天使です」

「最近表情がお前そっくりでな。甘やかしてしまう」

「だめですよー。…寝顔は潤也さんそっくりですけど」

「この口とか」彼と湧は寝る時に少し尖らせ気味の口になる。普段はそんなことないのに、可愛くして仕方ないのだ。

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