こっち見てよ旦那様

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咲夜の恋路

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「美味しかった…」

「ほんとな。…次は?どっか他にある?」

「うーん…ぶらぶらしよう。お土産とか雑貨見たいし…」

「いいね」

目当てのアイスクリームを食べ終え、近くの通りを散歩することにした。
雑貨店やお菓子の店など土産物まで並ぶ通りが近くにあったのでそこをフラフラ歩くことにした。

とは言っても、暑いのでお店を伝い伝い移動する。



何件目かの雑貨屋の一角で蓮が何やらじっと見ていた。

「何見てるの?」

「…。この指輪、可愛いなって」

「指輪か…買うか?前約束したし」

彼が見つけたのはシンプルだが、丁寧な装飾が施された指輪だった。
土産物の安っぽいものではなく、意外にもしっかりとした指輪で値段もめちゃくちゃに高いというわけでもなく、しっかりしていた。

「…うん。…これにしよう」

嬉しそうな蓮の頭をひとなでして、店員さんに声をかける。
サービスで内側に名前も掘れるとの事なので、待っている間に首から掛けれるようチェーンを探した。

「俺首輪あるから…二重になっちゃうね…」

「お洒落じゃん。…チェーン系のがいい?」

「うん。…皮とか布だと傷んじゃうから」

じゃあ錆びなさそうな素材がいいな、とチェーンを2本手に取り指輪と共に会計をするべくレジへ向かうと蓮が慌ててついてくる。

「自分の分は出すから」

「いいよ。俺が送りたいから。…俺が蓮に指輪をあげたい」

「…それαの本能?」

「かも。…けど、わかんないけど蓮と指輪お揃いにしたいから」

「…じゃあ…買って?」

「ん」

お互い照れくさいような空気に笑いながら会計を済ませ、出来上がった指輪の箱を受け取る。

受け取る際に「お幸せに」と店員のお姉さんに言われて大変恥ずかしかったが、「ども、」ともごもごする俺と違って俺の腕に抱きつき「…幸せになります」と笑った蓮が可愛かったので良しとする。

「そうだ、この近くにカップルに人気のパワースポットがあるんですよ」

帰り際にお姉さんがそんなことを言うので道を教えてもらって行くことにした。
店から歩いて五分ほどでちょっとした高さの崖があり、ちょっとした鐘とその柱であるアーチにはいくつものキーホルダーやら紐やら紙やらが結び付けられていた。

「あれ、鳴らすんじゃない?」

「…ほんとだ。…人もいないし…マイナー?」

「かもね」

なんて会話をしつつも少しドキドキというか、嬉しいというか。

ここで指輪を渡したら最高じゃないか?だよな。

意気込みつつ、2人で鐘を鳴らす。作法がよく分からず、蓮が何故か目を瞑って参拝??している間に箱から蓮の分の指輪を取り出し跪いてみる。
人が居なくてよかった。

「…おぉ…」

目を開けるなり跪いている俺を見て驚く蓮の手を取る。

「…これからも俺と一緒にいてください」

「はい」と頷いた蓮の指に指輪を填めて満足していると手を掴まれて引っ張りあげられる。

「次は俺の番。…咲夜の分出してよ」

そこまでは想定していなかった…。男前…

言われるがままに自分の分の指輪を蓮に明け渡すと蓮も跪いて俺の手を取る。

「…ずっと一緒にいさせて?…俺はこんなだから…いろいろ迷惑かけるかもだけど…よろしく…」

「もちろん!」と嬉しすぎて思わず蓮を抱きしめる。

人が居なくてよかった。





「俺のセリフ台無しだよ」と不満げな蓮とお互い指輪をらした手を繋いでホテルへと帰る。
帰ったら叔父さんと透さんに見せびらかそ。

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