こっち見てよ旦那様

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咲夜の恋路

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「やば…部屋…めっちゃ広い…」

「ね…」

カードキーで部屋に入り、2人して唖然とする。
自分の家も三ツ橋家の分家なので裕福ではあったが、こんな部屋は泊まったことがない。

天井の高い部屋は海が一望できて、ひろびろとしたベランダには外用のソファやハンモックがあった。
またもや広い寝室には真ん中に大きな天蓋付きのベッドがあって、2人で寝ても十分すぎるくらいのベッドだ。
一応、もうひとつの寝室にもベッドはあったが…同じベッドで寝たい。

ちらりと蓮を見ると既に天蓋付きのベッドに乗り、ふかふかと寝心地を確かめているようだった。


「…うん…これなら2人寝ても…ゆっくり寝られるね」

ふふ、と笑って勢いよく倒れこむ彼に抱きつくように自分もダイブ。

「なんかさ…城みたい」

「確かに。…俺が姫?…てこと?」

「うーん…役割的には?」

「確かに」

っはは、と2人で笑い合い、その後どこへ行こうか話し合いが始まった。

「散歩でも行く?…近くに色々お店とかあるし」

「んー…俺アイス食べたーい…」

「おっけ、じゃあ叔父さん達に連絡しとくから起きて用意して。…ちゃんと首輪つけてね」

「ん」

のそのそと立ち上がり、肩掛け鞄から日焼け止めを出して塗り始めた彼をちらりと見る。
オーバーサイズのTシャツから覗く白い肌が…。俺が日焼け止め塗りたいくらい。

まあ、そんなことをすれば変な気がお気かねないので我慢。

「行こうか」

「うん」

忘れ物確認、鍵おっけー。
カードキーをフロントに預け、ホテルを出てバス停へと歩く。

「なんか、海辺の街っていいね」

「ねー…将来は海辺に住む?」

蓮が何気なく言った言葉に「そ…だね」とカタコトに返す。
一緒に住む前提?…

彼にとって何気ない一言だったと思うが自分にとっては嬉しくてたまらなかった。
ニヤニヤしているのがバレないように窓の外を見るふりをする。

どうしよう、ニヤニヤしすぎて景色見れない。

蓮はと言うと、アイスクリームの店を調べていた。



無自覚め。

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