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しおりを挟む「ぱぱおかえりー」
「ただいま、遠足楽しかったか?」
夜、帰宅した潤也さんに抱っこしてもらいながら先程まで眠そうにしていたのが嘘のようにはしゃぐ湧。
そろそろ寝かしつけようと思っていたが、明日は休みなのでまあ…いいか。
「湧は本当に海來君と仲良しなんだなぁ」
タブレットで今日撮った写真を湧に見せられながら少し寂しそうに潤也さんが湧の頭を撫でる。
が、そんなことは気にせず湧が「みーくんとゆうはずっとなかよしだよ」と屈託の無い笑顔を向ける。
極めつけは「みーくんとけっこんする」と湧が言い放ったことだ。
それは僕も初耳。
「湧、結婚って何か知ってるの?」
放心状態の潤也さんを救うべく湧に尋ねると湧が少し考え出す。
まだ小さい子の考えることだ、結婚の意味も曖昧だろう、多分。
「ままとぱぱみたいになかよし?…で、ちゅーってしてぎゅーする」
なんてこった。
「な、なるほど。…みーくんとちゅーとぎゅーするの?」
「ぎゅーはまいにち」
ちゅーはわかんない、きょうした!と潤也さんに例の頬っぺにちゅーの写真を無邪気に見せる。
…潤也さんは…
既にオーバーキル状態。
湧を寝かせ寝室に戻ると潤也さんが何やらベッドに腰掛けていた。
「まだショック受けてるんですか?」
「だって…あんなに小さかったのに…もう彼氏が…」
「寂しいんですか」
「寂しい…」
湧が寝た後も何故かしょげている潤也さんを見て思わず笑ってしまう。
「湧がいつか結婚してって考えたら、なんだか感慨深いな」
「まだまだ先の話ですよ。…確かに海來君とは凄く仲良しですけど…」
「その積極さは流石、廣瀬と楓斗さんの子供って感じだな」
「それは僕も思います…うちの子は押しが弱いんですかね…でも弱いってわけでもないですし」
「そうだな…控えめで紳士的と思って欲しい」
「っあは、なんですかそれ」
紳士的かぁ、と笑いながら彼の手を取り「確かに紳士的で僕は好きです」と言うと手の甲に口つけられる。
「手の甲へのキスは忠誠とか尊敬らしいですよ」
「間違ってないな…俺はお前のものだし、お前を尊敬してる。お前のためならなんだってするんだから」
「僕だけの潤也さん、っいうのは嬉しいです。けど僕は口へのキスが1番好きですよ」
「俺はお前へのキスだったらどこでも好きだが…口が好きなら何回でも」
ちゅ、ちゅ、と何度も唇を啄むようなショートキスを繰り返し、手を握り指を絡める潤也さん。
こうやって向かいあわせで密着していると包み込まれる感じが良くて好きだ。
安心する。
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