172 / 219
46
...
しおりを挟む「ぱぱおかえりー」
「ただいま、遠足楽しかったか?」
夜、帰宅した潤也さんに抱っこしてもらいながら先程まで眠そうにしていたのが嘘のようにはしゃぐ湧。
そろそろ寝かしつけようと思っていたが、明日は休みなのでまあ…いいか。
「湧は本当に海來君と仲良しなんだなぁ」
タブレットで今日撮った写真を湧に見せられながら少し寂しそうに潤也さんが湧の頭を撫でる。
が、そんなことは気にせず湧が「みーくんとゆうはずっとなかよしだよ」と屈託の無い笑顔を向ける。
極めつけは「みーくんとけっこんする」と湧が言い放ったことだ。
それは僕も初耳。
「湧、結婚って何か知ってるの?」
放心状態の潤也さんを救うべく湧に尋ねると湧が少し考え出す。
まだ小さい子の考えることだ、結婚の意味も曖昧だろう、多分。
「ままとぱぱみたいになかよし?…で、ちゅーってしてぎゅーする」
なんてこった。
「な、なるほど。…みーくんとちゅーとぎゅーするの?」
「ぎゅーはまいにち」
ちゅーはわかんない、きょうした!と潤也さんに例の頬っぺにちゅーの写真を無邪気に見せる。
…潤也さんは…
既にオーバーキル状態。
湧を寝かせ寝室に戻ると潤也さんが何やらベッドに腰掛けていた。
「まだショック受けてるんですか?」
「だって…あんなに小さかったのに…もう彼氏が…」
「寂しいんですか」
「寂しい…」
湧が寝た後も何故かしょげている潤也さんを見て思わず笑ってしまう。
「湧がいつか結婚してって考えたら、なんだか感慨深いな」
「まだまだ先の話ですよ。…確かに海來君とは凄く仲良しですけど…」
「その積極さは流石、廣瀬と楓斗さんの子供って感じだな」
「それは僕も思います…うちの子は押しが弱いんですかね…でも弱いってわけでもないですし」
「そうだな…控えめで紳士的と思って欲しい」
「っあは、なんですかそれ」
紳士的かぁ、と笑いながら彼の手を取り「確かに紳士的で僕は好きです」と言うと手の甲に口つけられる。
「手の甲へのキスは忠誠とか尊敬らしいですよ」
「間違ってないな…俺はお前のものだし、お前を尊敬してる。お前のためならなんだってするんだから」
「僕だけの潤也さん、っいうのは嬉しいです。けど僕は口へのキスが1番好きですよ」
「俺はお前へのキスだったらどこでも好きだが…口が好きなら何回でも」
ちゅ、ちゅ、と何度も唇を啄むようなショートキスを繰り返し、手を握り指を絡める潤也さん。
こうやって向かいあわせで密着していると包み込まれる感じが良くて好きだ。
安心する。
1
お気に入りに追加
1,499
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
森の中の華 (オメガバース、α✕Ω、完結)
Oj
BL
オメガバースBLです。
受けが妊娠しますので、ご注意下さい。
コンセプトは『受けを妊娠させて吐くほど悩む攻め』です。
ちょっとヤンチャなアルファ攻め✕大人しく不憫なオメガ受けです。
アルファ兄弟のどちらが攻めになるかは作中お楽しみいただけたらと思いますが、第一話でわかってしまうと思います。
ハッピーエンドですが、そこまで受けが辛い目に合い続けます。
菊島 華 (きくしま はな) 受
両親がオメガのという珍しい出生。幼い頃から森之宮家で次期当主の妻となるべく育てられる。囲われています。
森之宮 健司 (もりのみや けんじ) 兄
森之宮家時期当主。品行方正、成績優秀。生徒会長をしていて学校内での信頼も厚いです。
森之宮 裕司 (もりのみや ゆうじ) 弟
森之宮家次期当主。兄ができすぎていたり、他にも色々あって腐っています。
健司と裕司は二卵性の双子です。
オメガバースという第二の性別がある世界でのお話です。
男女の他にアルファ、ベータ、オメガと性別があり、オメガは男性でも妊娠が可能です。
アルファとオメガは数が少なく、ほとんどの人がベータです。アルファは能力が高い人間が多く、オメガは妊娠に特化していて誘惑するためのフェロモンを出すため恐れられ卑下されています。
その地方で有名な企業の子息であるアルファの兄弟と、どちらかの妻となるため育てられたオメガの少年のお話です。
この作品では第二の性別は17歳頃を目安に判定されていきます。それまでは検査しても確定されないことが多い、という設定です。
また、第二の性別は親の性別が反映されます。アルファ同士の親からはアルファが、オメガ同士の親からはオメガが生まれます。
独自解釈している設定があります。
第二部にて息子達とその恋人達です。
長男 咲也 (さくや)
次男 伊吹 (いぶき)
三男 開斗 (かいと)
咲也の恋人 朝陽 (あさひ)
伊吹の恋人 幸四郎 (こうしろう)
開斗の恋人 アイ・ミイ
本編完結しています。
今後は短編を更新する予定です。
伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜
にゃーつ
BL
大きなお屋敷の蔵の中。
そこが俺の全て。
聞こえてくる子供の声、楽しそうな家族の音。
そんな音を聞きながら、今日も一日中をこのベッドの上で過ごすんだろう。
11年前、進路の決まっていなかった俺はこの柊家本家の長男である柊結弦さんから縁談の話が来た。由緒正しい家からの縁談に驚いたが、俺が18年を過ごした児童養護施設ひまわり園への寄付の話もあったので高校卒業してすぐに柊さんの家へと足を踏み入れた。
だが実際は縁談なんて話は嘘で、不妊の奥さんの代わりに子どもを産むためにΩである俺が連れてこられたのだった。
逃げないように番契約をされ、3人の子供を産んだ俺は番欠乏で1人で起き上がることもできなくなっていた。そんなある日、見たこともない人が蔵を訪ねてきた。
彼は、柊さんの弟だという。俺をここから救い出したいとそう言ってくれたが俺は・・・・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる