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しおりを挟む「じゃあみなさ~ん、12時に広場に集合ですよー」
「はぁい」
動物園に着くと、先生から時間のお知らせがあり各々自由に見て回ることになっていた。
「ゆーくん、行こ!」
「うん!」
当たり前かのように2人は手をしっかり繋ぎ「ままはやく!」とこちらを急かしてくる。
「距離近~」
「2人ともそんなにくっついて暑くない?」
「だいじょうぶ!」
「あつくない」
そ、そうですか。
手を繋ぐ、というよりピッタリとくっついていて距離感がバクっている。
「さーて…可哀想な旦那達のために写真撮りますか」
「あは、そうだね。送ってあげないと」
2人の後ろをついて行きながら動物達と写真を撮ったり、2人の姿を撮ったりした。
「ちょっと前までベビーカーで動物園に来てたのにな…」
「ほんとそれ!なんか毎日大きくなったなぁって思っちゃうんだよね」
うんうん、と時の流れを感じつつ頷く。
今考えると子供の成長って早いなあ、と思う。だからこそ写真を沢山残しておいて湧が独り立ちしたら潤也さんとアルバムを見返したい。
「まま、あれなにー?」
「あれ?…ああ、んとね」
海來君が指を指したのはとあるラブスポット。ちょっとしたチャペルのようなオブジェクトに鳴らせる鐘がついている。
ここで鐘を鳴らしたカップルは幸せになれる、らしい。
「ここでカランカランってするとずっとラブラブでいられるんだって」
「ふぅん」
「反応うっす」
海來君と楓斗君の会話を聞きながらぽけーっと海來君から目を離さない湧。
海來君が湧を引っ張って行きがちだけれどなんやかんや湧も大好きなんだよね。
「ゆーくん、いこ!!」
「?うん」
海來君が湧の手を引いて鐘の下に連れていくと鐘に手を伸ばす。
しかし本来は大人用だからか手が届かない。「抱っこしてくるから透、写真撮ってて」と楓斗君が行こうとすると海來君がプルプル震えながらも湧を頑張って持ち上げていた。
「とどく?」
「ん…!とどいた!」
弱々しくも可愛らしい音を立てる鐘。ビデオにしていて良かった。
「やったあ!」
ぴょんぴょん嬉しそうに飛び跳ねながら湧に抱きついた海來君。
「みーくん、らぶらぶはこうするんだよ」
「どうするの?」
なんと湧が海來君の頬にちゅ、とキスをしては「ぱぱとままがしてた」と自慢げに胸を張ったのだ。
恥ずかしい…。
湧の前で口へのキスは控えてたはずなのに頬へのキスもこうなるとは。
「お~、いい画が撮れた。…透、らぶらぶは悪くないよ」
「言わないでよぉ…」
からかってくる楓斗君の背中を軽く叩いて送られてきた写真を見る。
バッチリとほっぺへのキス場面が写っている。
潤也さんに送っとこ。
数分後、潤也さんから「うちの子はやらん」と来ていた。
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