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しおりを挟む疲れた…。
なんでこうも会議がいくつも重なるのかとタクシーの中で潤也は携帯の待ち受け写真を見て息を吐く。
大事な会議なら重ねずに余裕を持ってやろうじゃないか、と会議中に叫びたくなった。
座りっぱなしかと思いきや移動が入り、急なトラブルに対応したりと忙しい。
父は忙しくても穏やかな人だが、自分も余裕を作れるように見習いたい。
とにかく、今は早く帰って愛しの透と癒しの湧に会いたい。
家に着き、料金を払うとフラフラと家の敷地へと入り玄関を開ける。
「ただいま…」
「おかえりなさい、お疲れ様ですね」
笑顔で出迎えてくれたのは眼鏡姿の透。前髪もポンパドゥールというのか、とても可愛い。
もう12時になるというのに起きていてくれたのが嬉しい。
リビングへ入ると机の上には広げられた資料や書類、何冊か生地のサンプル帳?が。
仕事をしていたのだろうか、iPadを見ていたからか眼鏡なのだろう。
「メガネ似合ってるな」
「そうですか?…最近目が疲れるようになっちゃって、歳ですね」
「酷いようなら病院に行った方がいい」
ジャケットやベルトを外して楽な格好になってソファへダイブすると透が頭を撫でて顔を覗き込んでくる。
可愛い…。
「お腹すいてませんか?」
「少し空いてる…明日は午後からだから風呂は明日…。」
「わかりました。…おにぎり作りましょうか」
「…鮭がいい…」
優しい女神のような彼に甘えつつソファでボーッとしていると透がホカホカの鮭おにぎりをもってきてくれる。
机の上を片付けて隣に座ってきた彼に更にくっつきながらおにぎりを頬張る。
やっぱり鮭のおにぎりが1番好きだ。
「そういえば、咲夜君が潤也さんに相談があるらしいですよ」
「…相談?」
「はい。僕には教えてくれなかったんですけど…そういうお年頃ですかね」
「かもしれないな。…また聞いてみる」
なんだろう、と透を膝に乗せて彼の胸元に顔を埋めながら考える。
透に言えないことなら…家族の事か、それとも同じαとして何かしらあるのか。
「最近湧に朝しか会えてない気がするな」
「湧も会いたいって言ってましたよ」
「…俺も会いたい。…お前にももっと早く会いたい」
「僕はしばらく家にいますから、いつでも会えますよ」
「湧、見に行きますか」と聞いてくる彼に頷き、彼ごと抱き上げる子ども部屋へ向かう。
「…可愛いなぁ」
「潤也さんにそっくりになってきましたね」
すやすやと眠る湧。我が息子ながらとても可愛い。幼児特有のぷくぷくのほっぺやツンとした唇。
今すぐ抱き上げて抱きしめてスリスリしたい。
休みが出来たらどこか出かけたい。
3人でゆっくり遊ぶのもいいかもしれない、旅行とかはなんやかんや行けてないので行きたい。
某遊園地なんてどうだろう。
腕の中の透を抱きしめ直し、子ども部屋を出る。まあ、今は夫婦水入らずということで…。
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