こっち見てよ旦那様

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咲夜の恋路

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「ほんとにそれだけで足りるの?」

「うん…さっき食べたから」

「確かにね」

映画の後、近くのファミレスで昼を食べることにした。俺がパスタを頼んだのに対して、先程大きなスイーツセットを平らげた蓮はポテトだけを頼んでいた。


「…咲夜」

「んー?」

「発情期…ヤる?」

水をむせてしまった。
唐突すぎないか。

「やっ…おま、…あー、うん…」

「慌てすぎ」

ふ、と笑って先に来たポテトを一つつまむ蓮。

「で…その、何?」

「どこでヤる?」

「どこでって…家くらいしかなくない?」

「じゃあ俺ん家…ね」

発情したまま出歩きたくないし、と黙々と話を進めていく蓮。
それでいいのだろうか。

「心配しなくても…母さんも父さんも1日いないから…多分」

「いや、そういう心配はしてない。…」

「やっぱしたくない?」

「それはない」

食い気味に答えてしまった。

その日までにゴムと、一応ローションとかいるのだろうか。発情期のオメガとなんてやったことないし、分からない。

蓮へ片思いにしていたものだから童貞なわけで…。誰か経験豊富な人に相談出来ればいいが、学校の奴らはNGだ。
ネットで調べるのも手だが…ネットだとイメージしにくい。

でも用意不足で蓮に辛い思いはさせたくないし…どうしたら良いのだろう。
なんてパスタを巻き付けながら悶々と考える。

「咲夜、あーん」

「え?…あ、あぁ…はいはい」

一口よこせと口を開けてきた蓮の口にパスタを入れてやり、汚れた口も拭いてやる。

いや、待てよ。
いるじゃないか。

経験豊富かつ、話しやすい相手。
叔父である。
今夜は少し相談してみよう。






「俺…奢ってもらうつもりなかった…」

「ポテトくらいいいよ。俺が奢りたかったんだから気にすんな」

αの性か、蓮に何でも買ったり奢ってやりたくなる。
午後はウィンドウショッピングやゲームセンターをうろうろして夕方には解散した。

「じゃあな」

「うん…また学校で…」

蓮が降りる駅で一緒に降りて途中まで送って行くことにした。
ここまで、と言う彼とハグをしていると別れがたくなってしまいなかなか彼を離せない。

「…咲夜」

「どうした?」

「ん」

下を向くといきなり唇を奪われる。

「またね」

パッと離れて手を振りながら歩いて行った蓮を見送りながら乙女の如くはぅ、と息を吐く。
あー…なんて男前。

しばらく乙女の余韻に浸った後、駅へと引き返した。



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