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しおりを挟む「もし潤也君がなんかしたらなんでも私に言ってくださいね、叱っておきますからぁ!」
「いえ、潤也さんはいつも優しいですから…何も不自由してませんよ」
…嫌な空気だ。
食事がやってきたあとも、ゆりあさんの調子は変わらない。
「潤也君もお酒飲も~よ」
「いや俺はいい」
「そっかぁ、透さん飲んでるから運転しないとだもんね」
ちらりとこちらを見てきたのは気のせいか。
悪かったですね、お酒飲ませてあげられなくて!なんて思いながらもうお酒をぐい、と流し込む。
「透には好きなだけ飲んでもらいたい。…今夜はここの部屋を取ってるから心配するな」
「好きなだけ飲めばいい」とこちらを向いていつもの優しい調子で言ってくれる彼に少し落ち着く。
「ありがとうございます、潤也さんの分までいただきますね」
「そうしてくれ。…俺は部屋で飲むから」
「えー、2人で二次会?ずるい~」
私も混ざりたい!とむくれて言い出したゆりあさん、少し苛立つ。
今日、潤也さんしか来なかったらどうなっていたのだろう。
「そうだ、ゆりあさんのストーリーに上がってたリップ、可愛い色ですよね」
「…。そうなのー、特別に貰って気に入ってるんです~」
「僕もたまに使うんですけどいい香りだし長持ちしますよね」
「透さんも持ってるんですか、?」
「はい」と頷くと少し驚かれてしまった。まあいいか。
そんな調子で落ち着かないまま食事を終え、お開きにしようと言う形になった。
もともと、ゆりあさんの分もこちらが支払うと話し合っていたから難なく会計を済ませてレストランを出てロビーへと戻る。
「…チェックインしようか」
「そうですね。…ゆりあさん、タクシー呼びますか?」
ロビーのソファに座っているゆりあさんに尋ねるとほろ酔い気分のゆりあさんが首を振りさっと潤也さんの方へ行ってしまう。
「2人とも今からお部屋でお酒飲むでしよー?ゆりあも行きたいー、もっと飲みたぁい」
ふらついたゆりあさんを慌てて潤也さんが支えるとそこから腕に絡みつくゆりあさん。
まただ。
潤也さんに匂いが着いちゃう。
思わずカッとなって近くに寄ろうとするといきなり潤也さんがゆりあさんを引き剥がす。
「離れてくれ。…もう帰れ、ゆりあ」
「なんでー、酷いよ潤也君。いつもこんなんじゃないのに、今日は透さんいるから?」
「あのな…いつもは会社だっただろう。最悪、お前との契約は切っても問題ない。…いい加減にしろ、自分に透以外の匂いがつくと思うと正直吐き気がする」
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