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第3章 41
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しおりを挟む「みーくん…いっしょ?」
「いっしょだよ!こやっておててつないどこ!」
「うん…!」
今日は湧のモデルデビュー、初めての撮影日だ。
既にキッズモデルをしている海來君と手を繋ぎながら控え室へ向かう。
楓斗君の撮影場所と同じな為、幼稚園へと2人を迎えに行ってそのままきた。
楽屋だろう控え室に入ると海來くんが丁寧に「こんにちは!」と大きく笑顔で挨拶をしてみせると湧も「こ、こんにちは…!」とはにかみながら挨拶していた。
「海來君こんにちは。湧君も、初めまして、マネージャーの堤です。よろしくね」
2人の視線にあわせて挨拶してくれたおっとりとした青年。
確かキッズモデルや子役を相手に活動している、海來君のマネージャーで、仮に湧のマネージャーも引き受けてくれることになった人だ。
「湧君のお父様、三ツ橋様ですよね、本日からよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願い致します」
一応男なのでたまにお父さんと呼ばれることもあればお母さんと呼ばれることもある。面白いが少し忘れてしまう。
腕まくりをしたワイシャツにスラックスと普通の会社員のようだが、動き一つ一つが優しくてハッキリしている。
言うなれば…幼稚園の先生を見ているようだ。子役の指導もする時もあるというのだから元々演者だったりするのだろうか。
堤さんも綺麗な顔をしていらっしゃるし…。ただ、大柄な人ではなく、自分と同じくらいだろうか。
「あー、遅れました!堤君今日もよろしくお願いしますー」
湧と海來の着替えや、堤さんに説明を受けていると息を切らした楓斗君がやってくる。
「撮影お疲れ様」
「ありがとー、湧君緊張してる?」
「してるしてる。…海來君にベッタリだよ」
「あはは、海來は嬉しそうだから問題ないよ」
いつも以上に海來君にべったりくっつき、離れようとしない湧。
そんな湧を「だいじょうぶ!ついてきてね!」と自信満々に励ます海來君。
2人の利害が一致しているようで何よりだ。
実は潤也さんも来たかったらしいが、あまり見学者がいない方が良いのと、仕事を詰められているらしく来れなかったらしい。
先程、『写真送ってくれ😭』とメッセージが送られていた。
なのでピッタリ引っ付く2人を撮って送っておいた。
「はーい撮ります!こっち向いて~、楽しそうにね」
今日は雑誌の撮影と聞いていたが…セットがかわいい…!
お高めの子供服ブランドと聞いていたが本当にこだわっている。参考にしたいくらいだ。
「湧君~緊張してるかなぁ」
「…うん」
湧はカメラの前に立った途端、ほぐれかけていた緊張が戻ったらしい。
そりゃそうだよなあなんて思いながら見守っていると湧の隣にいた海來君が湧のお腹に手を添える。
「こちょこちょ!」
「っみーくん?!」
くすぐったい!とくすぐりには耐えられなかったのか声を立てて笑い始める。
「おっけー!ナイス!」
その途端にパシャパシャとシャッターを様々な角度から切るカメラマンさん。
海來君さすがだ…。
「どー?湧君」
そのまま順調そうに撮影が進んでいくと着替えを終えた楓斗君が帰ってくる。
「さっきまでガチガチだったけど、海來君のおかげで楽しそうだよ。海來君さすがだね、さすが楓斗君の息子だよ」
「そうかー、ありがと!でもね、昨日の夜から明日はゆーくんと一緒!って張り切ってたんだよ」
「そうだったんだ」
「ゆーくん緊張するから!ゆーくんのこと助ける!ってね」
その様子が目に浮かぶ。
良かったね、湧、いいお友達がいて
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